これからも君と話をしよう

一度はここから離れたけれど、やっぱりいろんな話がしたい。

この本がすごい!2022年下半期

 遅ればせながら、昨年2022年下半期に読んで良かった本の紹介、今回も行いたいと思います。今回は、新書も小説も短歌集も学術書も全部ごちゃ混ぜのランキングです!

17位 「18歳選挙権」で社会はどう変わるか

 著者を含んだトークイベントが数年前にあり、その時に購入し、途中まで読みかけていたままでしたが昨年、読了しました。

 何気に一番印象的だったのは、冒頭に出てくる、著者の娘さんのセリフと、それに対する著者の姿勢です。選挙ポスターを見た幼い娘さんの「私は女だから、女の人がいい」と考えることを尊重する姿勢がまず、印象に残りました。

 

16位 言語が消滅する前に

 哲学者ふたりの対談本。千葉雅也さんは、サイゼリヤのメニューの番号表記をめぐるツイートが話題になったりもしましたね。

 この、サイゼリヤの炎上の後にこの本を読むと、このひとはほんとうに「言葉」を大切にしているんだなぁと痛感しました。
 千葉さんの『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫)』、國分さんの『中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)』はいずれも買っていたけど積読で、それらを読んでから読んだほうが良かったかも、と少し後悔しました。

 國分さんの、住民運動をめぐる新書『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』は2014年頃に読んでいたので、懐かしくなりました。

 そのほか、「詩」についてのカルチャー、勉強して「キモく」なること、法的な責任の話や「正義」の話、セクシャルマイノリティクィア・ポリティクスの本質の話が特に興味深く読めました。

 

15位 男が介護する

 確かこの本を知ったのは、「家族と性愛」を軸に活動する文筆家の、佐々木ののかさんが紹介していたのがきっかけ。

 これまで介護は女性のものとされてきていて、介護をする男性は「ケアメン」などと呼ばれるようになったけれど、そもそも「男が家族を守るもの」として男性が介護をすることも歴史的には珍しくなかったことなどの話から始まり、興味深く読めました。

 男性介護者の集うコミュニティがどのような盛り上がりを見せるかについてのくだりも面白かったです。そのほか、介護保険制度の話や、「弱いロボット」の話からの「弱さや脆さが、周囲との関わりの欲求につながる」エピソードなど、タイトルよりも幅広い「介護」をめぐる一冊でした。

 

14位 ケアとは何か

 これも確か、ののかさんが紹介していて知った本だった気がします。先述の『男が介護する』よりも平易で読みやすかったような。

 いわゆる「介護」の話だけでなく、幅広い「包摂、コミュニケーション」について言及している本という印象を受けました。

 私は広告の炎上に興味があるので、2018年の「人生会議」のポスターに対する批判のくだりは興味深かったです。また、私の大好きなノンフィクション『こんな夜更けにバナナかよ』も引用されていたのも嬉しかったです。

 

13位 アルバイトの誕生

 編集者の友人が関わった本ということで知り、テーマも気になったので読んでみました。

「アルバイト」の概念そのものの歴史というより「大学生活におけるアルバイトの位置づけの変遷」の本、というかんじでした。
 終盤での、アルバイトと大学の授業をつなげるのは良い案に思えるもののあまり実例がないのは、双方ともにあまり需要がないのかもしれません。

「ブラックバイト」の章での、「ブラック」という言葉の使い方についても著者の慎重な姿勢が垣間見れて好感が持てます。職業訓練のためのバイトと言いつつ実際は異なることの違和感は私も同意できました。

 

12位 対岸の家事

 友人主催の読書会の課題図書になったので読んでみました。

 連作短編集っぽくなっていた点は私好みだったものの、どうにも登場人物があまりにもステレオタイプというか「記号」的で、リアリティを感じられず最初はなかなか感情移入がしづらかったです。ただ、話が進むにつれて、仲が悪かった人たちが次々連携していく様子は痛快だし、キャラのベタさも相まって、ドラマ化したらすごく映えそうな気がするなぁ、と思いました。
(そういえば私は、著者の別作品「わたし、定時で帰ります。」も、ドラマ版も全話見て原作小説も読みましたが、こちらもドラマのほうが作品として魅力的でした)

 この作品に登場する誰の立場だったとしても、この展開は「この人たちに出会えてよかった」と思えそうな気がします。ラストも番外編も好きです。

 

11位 こころとカラダが楽になるツボ押し養生

 マッサージや整体、セルフケアに関する本は割と好きなのですが、「ツボ押し」に関するものは読んだことがなかったので購入。

 どこを押したりさすることでどのような部位や不調に効くのか、わかりやすく丁寧に書かれています。この本の使い方としては、「ここに効くツボってないかな」と探しながらパラパラめくって読む、という読み方が想定されているとは思いますが、この本は読みやすかったので、普通に読み物として一冊通して読んじゃいました。

 読んでる最中、自分でもいろんな部位を触ったりさすったりして、少し自分を労れるようになった気がします。

 

10位 水上バス浅草行き

「ほんとうにあたしでいいの?〜」の歌が有名な歌人による短歌集。ほかの歌も、好みなものが多かったです。

 著者は私と歳が近いことにも親近感を抱きました。全体的に「犬」への愛を歌ったものが多かったのが印象に残ります。

 この人の歌は「わかる」部分と、少し想像力を膨らませるといろんなシチュエーションをイメージできる部分のバランスが見事だなぁ、と思いました。なんというか、「歌としてのリズム、綺麗さ」と「共感」の配分がとても良いな、という感じです。

 この本は、神保町のブックフェスのときに出版社から新刊本を買ったのですが、挟まれている読者カードや挟み込みチラシの言葉選びもとても粋で、お気に入りです。

 

9位 日本の下水道を守る! 地下の勇士たち

 私が仕事でお世話になっている、管清工業の歴史や取り組みについての本。下水道の敷設やメンテナンスがどのような会社によって行われているのか、垣間見ることができます。

 ……といっても、会社の歴史や取り組みに関して、創業者や役員などの「会社を経営する側」の目線ではなく、社員に焦点を当てた部分が多く、読み物として面白く読めました。

 有名なインフルエンサーや経営者などの仕事論ではなく、土木業の、ごく一般のサラリーマンの仕事に関する「お仕事本」はなかなか手に取る機会がなかったので、そういう意味では新鮮でした。

 本筋と関係ないところで印象に残ってしまったのは、創業者の方が亡くなられてしまった経緯について。そんなことがあったのか……とショックを受けました。

 

8位 月経と犯罪

 一昨年、図書館で見かけて気になっていたところ、電子版がセールになっていたので購入しました。

 犯罪に関してもジェンダー関連についても興味があったので読んだものの、「月経と犯罪の因果」ではなく「月経と犯罪はどのように結びつけられて語られてきたか」という視点の内容の本でした。

 昔の女性蔑視的な価値観の記述も多いため、読んでいてイラッとくる部分も多いものの(苦笑)、生理休暇や女性の労働環境をめぐる歴史も垣間見れて興味深い一冊でした。

 

7位 ブルシット・ジョブの謎

 2020年に邦訳が発売されて話題になった『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』をもとに、そこでの論点をまとめた本。私は『ブルシット・ジョブ』そのものは読んでいませんでしたが、それでも問題なく理解できました。

「ブルシット・ジョブ」は、邦訳本では「クソどうでもいい仕事」と訳されています。いわゆる「無駄な仕事」という意味だけに限らず「取り繕い、ごまかし、欺瞞がある」など、さまざまな意味を含んだ言葉の模様。

 特に印象的だったのは「他者の助けやケアに関する仕事は、それ自体が報いになるため、報酬は少なくあるべきとされる」といったニュアンスのくだり。これは一理ありそうな気がします。そして、教育や保育や介護などのエッセンシャルワークのあり方や、セックスワークの賛否を考える上での一助になりそうな考え方に思えました。

 

6位 子育て支援と経済成長

 秋に、3週連続で少子化に関する本の読書会を行ったとき、最初に読んだ本。

「左翼寄りの本と、右翼寄りの本と、学術的な本を読もう」ということで、「左翼寄りの本」として読んだのがこちらの本です。

 この本は「経済成長」の観点から少子化を論じています。

 もっとも印象的だったのは、冒頭にある「日本の根本的な問題は財政難。もし仮に日本のあちこちに油田があって外貨を稼げるなら少子高齢化はこれほどまでには問題にはならない」「極論をいえば、オイルマネーなどによって財政に十分な余裕があれば、いくら少子高齢化が進んでも社会保障を手厚くできる」といった意味のくだり。

 少子化問題を考える際、つい、子どもの数を増やすことばかり考えてしまいがちですが「そもそも、少子高齢化によって何が起こるのが問題なのか」が置き去りにされがちだよなぁ……と再確認しました。

 また、私は社会学者の古市憲寿さんが大好きなので、あとがきで古市さんのことが賞賛されており、嬉しかったです。

 

5位 これが答えだ! 少子化問題

 この本は、少子化本読書会の第2回の課題図書になりました。「右翼寄りの本」としての扱いです。

 著者はクセのありそうな人かな、と覚悟して読みましたが、ところどころ引っかかる箇所や主観の強さが気になる言い回しはあるとはいえ、思ったより腑に落ちる内容でした。

 そもそも私自身も、もともと少子化に関してはこの著者と考え方が近いので、そういう意味でもあまり違和感はなく読めました(政府が行っているのは的外れな政策だし、そもそも子ども増えないのは仕方ないし、でもそれはそれで良いのでは、という立場)。

 少子化の本というよりは「データの読み方」「メディアリテラシー」の本としての興味深さを感じました。

 そして、知人である、KYさんのブログが引用されていたのには驚きました。

 

4位 死刑 その哲学的考察

 昨年は、この本以外にも死刑に関する本を2冊とも読みましたが(半年前の「読んで良かった本」でも紹介しています)、この本はそのどちらとも違う視点から「死刑」を扱った本でした。

「道徳」という言葉が頻繁に出てきて、哲学的な観点から死刑はどうあるべきかの問いを考えてゆく本。実在の事件を用いての思考実験は興味深かったです。

 途中、読んでいてやや飽きがきたものの、終盤の「冤罪」をめぐるエピソードからは、死刑に限らず「公権力はどうあるべきか」を考えさせられ示唆に富みましたし、飯塚事件は(別の本で概要は知ってはいたものの)改めて悔しくなり、国家権力が恐ろしくなりました。また「遺族感情に寄り添うこと」についても考えさせられます。

 

3位 身体を売ったらサヨウナラ

 ずっと前に買って積読していたものを読みました。著者は、夜のお店で働き美意識も高く華やかな生活をしつつも、東大の大学院を出て記者になるほどの知性もある。私とはほぼ別世界の人だなぁ……と思いつつ、時々すごく共感できる描写を見つけてしまうと嬉しくなる、そんな一冊でした。

 前回の「読んで良かった本」記事でも紹介した『JJとその時代 女のコは雑誌に何を夢見たのか (光文社新書)』に比べると文章が冗長で若干の読みづらさも感じたものの、これはあえてそういう書き方をしているんだろう、と思いました。

 知性ある筆致で、性愛やお金にまつわる感情の吐露をする書き手という意味では、佐々木ののかさん、雨宮美奈子さん、北条かやさんの書いたものを彷彿とさせるものを感じました。また、親子で性愛の価値観の話をするところは、下田美咲さんのことも思い出します。

 

2位 経済政策で人は死ぬか?

 フォロワーさんがTwitterで紹介していて知った本。

 私はソフトカバーの単行本で買いましたが、最近、文庫版も出たようです。

 ロシアの経済政策についても触れているということで気になり読んでみましたが、読書中にちょうど安倍元首相銃撃事件が起こり、安倍政権が見直されている中でこの本を読めたのも、なんだかタイムリーでした。べつに経済政策の失敗で殺されたわけではないけれど……。

 さまざまな国のデータから、失業と自殺率やうつ病の関係、不況下での政策決定についてはどのようにあるべきかを考察した一冊。経済と公衆衛生についてのくだりは、前回の「読んで良かった本」の中でも紹介した、『自由の国と感染症』を彷彿とさせる部分もありました。

 

1位 [続]少子化

 少子化本読書会の、最後に読んだ本。ハードカバーの学術書ですが、テーマに関心が強かったというのもあり、比較的短期間で読み切りました。

 いろいろな「少子化」本を読んだ中で、この本がいちばん分析も考察も提案も丁寧だったと思います。本の最後に書かれている結論には納得しました。

少子化対策のためにはこれをすべき」という意見としてはさまざまなものが出るものの、「地域によって、少子化対策の課題はそれぞれ異なる」ということは忘れられがちですよね。個人的には、そのあたりに目を向けられていたことが印象的でした。

 

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私にとっての「今年の漢字」2022ver.

 2022年は魚座にとってラッキーイヤーだと占い雑誌で読み、ちょっと期待していたものの、まさかのおみくじは「凶」で始まるスタートという。

 思い返せば、ここ数年間、年末年始は結構悪いことが起こってるんですよね……。

 2022年の年明けの際は、年始の挨拶も、とてもじゃないけど「おめでとう」と言える気分ではなく、「今年もよろしくお願いします」だけにしていました。

(「その年が良い年かどうか」という話とは別として、年末年始に悪いことが起こってます。今回は起こりませんように!)

 初詣の際、友人たちに不安な気持ちを打ち明け、年始の悩み事は結果、問題ないカタチで落ち着きました。

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今年の振り返り

「2022年は魚座にとってラッキーイヤー」とのことでしたが、すごくドラマチックな出来事はなかったものの、全体的に良いこと多めの、楽しい年になった気がします。

 今年を振り返ってみると、今年満遍なく行っていたこととしては、下記の内容が当てはまりそうです。

  • 職場近くのスポーツセンター
  • セルフエステを契約
  • 四谷三丁目のチェコ料理屋「だあしゑんか」
  • 動物の施設に色々行った
  • プロレスを何種類も観た
  • 新しく近所にできたサウナにいくつか行った

スポーツセンター

 今まで、自宅近くや隣の区のスポーツセンターによく行っていたんですが、今年の1月からは、職場近くのスポーツセンターにも行くようになりました。

 職場からは思いの外近くてアクセスも抜群です。ただ、通勤経路とは正反対の方向なのがちょっとめんどくさい。

セルフエステ 

 今年、あまりにも太ってしまったというのもあり、春から「ボディアーキ」に登録しました。

 ここに通い出したからといってすぐに劇的に痩せる、ということはありませんが、普通のダイエットと併用して効果を出す感じのセルフエステ……という感じでしょうか。

 マシンの使い方に慣れてからは、施術中にスマホで映画やドラマ、アニメなどを観るのにハマってます。エステの機械の操作の都合上、Bluetoothイヤホンの使用が難しいところがあるので、イヤホンジャックのある端末で、有線のイヤホンを使って観るのがおすすめです)

 ちなみに私の招待コードは「8hteq5467」です。

 初回体験・入会は次のリンクよりお願いします。

s.bodyarchi.com

だあしゑんか

 四谷三丁目と曙橋駅の間にある、チェコ料理屋のお店です。今年3月から、毎月のように行っていました。

 ここ、よく遊ぶ友人たちの行きつけのお店で、店内にはそのうちの一人の著書も置いてあったりします。

 私がだあしゑんかに行っているツイートを見たフォロワーさんが、行ってくださったりもしたようです。

htnmiki.hatenablog.com

 ブログ内にもありますが、週末のランチの開催は不定期なので、お店のTwitterで確認して行ってみるのがオススメです。

 ちなみに店名は、チェコの作家・カレルチャペックの飼い犬の名前「ダーシェンカ」からだそうです。

動物関連施設

 2月の和歌山旅行で行った「アドベンチャーワールド」のほか、幼少期に行ったことがある「羽村市動物公園」、そして知人がイベントのスタッフをしていた「千葉市動物公園」と、3種類の動物園に行った年になりました。

 あと、亀戸にある「シマリスカフェ」にも行ってみました。最高でした!

 今年、私のインスタでは、シマリスカフェの投稿が最も「いいね」がつきました。

www.instagram.com

プロレス

 プロレス、これまでは2017年の夏に一度、愛知県岡崎市で観たことがあるだけだったのですが、友人からお誘いいただき、今年はプロレスの試合をいくつも観にいっちゃいました!

 DDT、スターダム、大日本プロレス、どれもそれぞれ違った魅力があって面白い。

 人を軽々と投げ飛ばしたり、飛び降りながらキックしたり、衣装も煌びやかで華やかだったり、デスマッチでは流血しながらも戦いを続けたり……。

 まるで、漫画やアニメの世界を見ているような気分になれます。

サウナ

 2018年頃から、銭湯巡りが好きであちこち行ってはいたのですが、サウナはそれほど興味がなくて、あまり行ったことがありませんでした。

 ところが最近、家の近所に次々とサウナができ始めて、それを機に(というわけでもないんですが)サウナにも興味を持つようになりました。

 個室サウナの「Little Retreat」、生姜焼き専門店が運営するというサウナ「金の亀」が割と近所なのですが、どちらもとっても良かったです!

「金の亀」のサウナ飯、生姜焼き。

 

 普通の銭湯だけじゃなく、スーパー銭湯も今年はいくつも行っちゃいました。

 有明にある「泉天空の湯」、巣鴨にある「染井温泉SAKURA」はいずれも2回ずつ行っちゃいましたね。

 そのほか、千葉市動物公園の帰りに友人と行った「蘭々の湯」も良かったです。

 そして、和歌山旅行の際も、白浜では温泉を楽しみました。(すでにブログで書いてているので割愛)

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今年の漢字

 さて、前置きが長くなりましたが、私にとっての「今年の漢字」を発表しようと思います。

 今回はもう、割と早い段階で「今年の漢字は、これしかないな」と決めていましたね。

「紀」以外は、考えられませんでした。

 

 

 半年前のブログにも書きましたが、友人が昨年12月に出版した『21世紀の道徳』という本を読んだことは私の中で大きな出来事でしたし、
 この本の出版の決定がきっかけとなり、友人を通じて出会った和歌山在住の方とも仲良くなり、彼の地元の和歌山に訪れることができたのも、とても大きな出来事でした。

 そんなわけで、私にとっての「今年の漢字」は、「21世紀の道徳」と、和歌山を意味する「紀の国」からとって「紀」としたいと思います。

 

 ちなみに、今までの「今年の漢字」はこんな感じ。

2006年 諦(受験で諦めるものが多かった)
2007年 再(再会、再開、再履修。笑)
2008年 文(文芸部に加入)
2009年 人(新しいバイトやビジコン参加で出会いが増えた)
2010年 会(Twitterでさらに出会いがたくさん)
2011年 繋(東日本大震災、友達同士をたくさん引き合わせた)
2012年 動(引っ越しや就活や旅行での移動)
2013年 交(みんなより少し遅れて社会人に。いろんなひととの交流が増えた)
2014年 焦(結婚や独立する友達への焦り)
2015年 (結婚話が破談、引っ越し、家族とのあれこれ)
2016年 (旅行、身近な人の独立、訃報など)
2017年 (ものづくり好きな人との交流、同人誌やハンドメイド)
2018年 (脱毛、献血、親知らず抜歯など)
2019年 (転職や営業の仕事で「選ばれること」を意識)
2020年 ベトナム旅行、新潟の人たちとの縁)
2021年 (水商売と下水道)

 それではみなさま、良いお年を。

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グルメとまち歩きと、そしてこれからと(3日目:金沢)

 思えば、こういう旅行ってだいぶ久しぶりかもしれません。「友達に会う」のがメインの旅行。
 東京に長く住むようになってからは、「友達と旅行」をすることはあっても「友達に会いに行く旅行」はしたことなかったかも。

 そんな、ゴールデンウィークの金沢・富山旅行、3日目について書こうと思います。

 前回の記事はコチラ

戻ろう、金沢へ

 前日の夜は割とゆっくり休むことができ、この日は割とのんびり朝ごはんを食べることができました。

 

 ホテルを出たあとは、地下道を通って富山駅へ向かいます。

 いろんな掲示物があり、気になったのでつい撮影してしまった。

 観光地じゃない、こういう、住民の生活空間で見かけるものを観察することのほうが実は好きです。

 

 富山駅からは、高速バスに乗りました。

 そして、バスに揺られること1時間とちょっと。金沢駅に到着します。

 

 金沢でまず会うのは、Eちゃん。私より二つ年下の女友達です。

 私の大学時代の友達を通して4年前に知り合い、一緒にフリマに参加したことも。

www.wuzuki.com

 コロナ禍を機に地元の金沢に戻り、勉強をしてデザイナーになったというEちゃん。会うのは3年ぶりかもしれません。

 

 Eちゃんは、金沢駅まで車で迎えに来てくれました。あいにくこの日は雨だったので、車を出してくれるというのはありがたい……。

 事前にLINEでおすすめの美味しいお店も色々教えてもらっていたので、この日はそれらを巡ることにしました!

 

お昼ごはんにはお寿司を食べよう

 まずEちゃんに連れていってもらったのは、コチラ。

saemon-kanazawa.com

「左衛門(さえもん)」というお店。回転寿司のお店だそうですが、ランチのセットがコスパが良いんだとか。

 家族連れっぽい人たちが多く、賑わっていました。

 

 お寿司も茶碗蒸しもとっても美味しくて、東京にあるチェーン店とは違う……ということを改めて実感しました。

 ひと口ずつじっくり味わい、1時間近くお店にいました。

ハンモックのあるカフェに行こう

「左衛門」を出たあとは、30分近く車に乗ります。

 次に行ったのは、店内にハンモックがあり、田舎のいい感じの風景を楽しめるというコチラのカフェ。

yalebanobiru.wixsite.com

 

 この日はあいにくの雨ではありましたが、それでものどかな雰囲気は伝わってきました。

 また、このカフェは普段は、ハンモックの席は人気なのですぐに埋まってしまうんだとか。この日は雨だったこともあってか空いていたので、私たちはハンモックの席に座ることができました。

 

 コーヒーの器もいい感じ。このお店、割と新しいみたいで、店内がとても清潔感があります。木を基調としたインテリアも、新しいのにどこか懐かしくて好きな雰囲気です。

 可愛いハンドメイド品なんかも売っていました。

湯涌温泉に行ってみよう

「とある丘」に向かう途中の車の中で、私が「今回、温泉には行けそうになかった」という話をしたら、Eちゃんが「じゃあ、湯涌温泉に寄ってみる?」と提案してくれました。

「とある丘」から、車で10分くらいのところにある、コチラに寄りました。

yuwaku.gr.jp

 1時間ほど、Eちゃんと一緒にお風呂に入りました。このときは雨も一時的に落ち着いていました。

 露天風呂は屋根もあり、快適でした。私たちの貸切状態。

 新緑を眺めながら、ふたりでいろんな話をしました。

 共通の友人の近況、仕事の話、そして、恋愛の話……。

 

 私まわりの温泉・銭湯好きな友達って男性が多いので、こうして女同士で温泉でおしゃべりするの、すごく久しぶりで新鮮でした。

近江町市場や、フルーツパーラーを楽しもう

 温泉から出たあとは、金沢市内の中心部に戻ることにします。

 車で30分ほど走り、まずはお土産を買いに近江町市場へ。

ohmicho-ichiba.com

 

 この商店街の中にある「酒の大沢」という酒屋さんで、お土産用の日本酒を買いました。

(あと、なぜかここではおまけとして東京オリンピックのキャラのキーホルダーやマグネットももらえるようになってた)

ohzawa.jp

 

 近江町市場は、お天気が悪かったにもかかわらず賑わっていました。

 観光地でもあるし、日常の買い物をする場所でもあるんでしょうね。

 

 そして買い物のあとは、少し歩いてコチラに行きました。

www.murahata.co.jp

 フルーツパーラーが有名なお店なんだとか。

 少し並んだものの、そんなにすごい行列というわけではない感じでした。

 この日はお天気があまり良くなかったからかな。天気の悪い日だと、普段はもっと並ぶらしいお店でも、そんなに並ばずに入れるのはメリットですね。

 

 フルーツのパフェ、爽やかな甘さで美味でした。行列ができるのも納得の味。

 

「フルーツむらはた」を出たのは、16時50分近く。

 

 夕方、17時半からは、私は別の人と金沢駅で待ち合わせをしています。

 Eちゃんは、駅に向かう途中まで車で送ってくれました(途中で道が混み始めたので、歩いたほうが早く着きそうだった)。

 

 Eちゃんと初めて会ったのは2018年、共通の友人と自由が丘の「ピーターラビットカフェ」に行った時でした。

 2019年、吉祥寺のフリマに一緒に出店したあと、2人で吉祥寺のカフェでしばらくおしゃべりしていたことはあったものの、最初から最後まで2人だけで遊んだのは、初めて。

 改めてじっくりお話することで、いろんな価値観が垣間見れて楽しかったなぁ、またこうして遊びたいなぁ……と思ったものの、もう金沢で暮らしているEちゃんとはそうそう簡単には会えないんだな、ということを感じてふと寂しくなったり。

 なんだろう。私は転勤族育ちだったから、仲良くなった友達とも離れることがあるのは普通のことでした。でも大人になり、なまじ遊びに行けるからこその寂しさもあるんだな……なんてことも、今回ふと感じました。

 ただ、寂しんでばかりもいられません。私にはこれから会う人がいます。

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金沢は芸術の街、最後の夜が始まる

 金沢駅に着き、ロッカーに余分な荷物を預けます。お手洗いにも行っておこう。

 そんなこんなでバタバタしながら、17時半過ぎ。私は待ち合わせ場所へと向かいます。

 金沢駅東口の、もてなしドームにある「思い出のピアノ」。

pianos.pub

 待ち合わせにここを指定したのは彼でした。多才でピアノも得意な彼らしい、ロマンチックな選択です。

 近寄ると、ピアノを弾いていた彼が立ち上がり、両手を広げて私を迎えてくれました。

「Aさん!」

 

 そう、私が金沢で最後に会うつもりだったのは、最近よく一緒に遊んでいるAさんでした。

 普段は関西に住んでいるけれど、東京にも頻繁に来ているAさんとは去年の夏に共通の友人を通じて出会い、今年の2月は一緒に和歌山旅行もしました。

www.wuzuki.com

 昨年7月から、なんだかんだ月に一度は顔を合わせていたものの、今年の4月は初めて一度も会うことがありませんでした。

 なので、5月の最初にようやく会えたのは、すごく嬉しい!

 

 ……ただ、Aさんが北陸に行く理由をはぐらかしていたことや、やり取りの中で「最近は事情があって、お酒を控えている」という話をしていたことが気になっていました。もしかして何かの病気かな……?

 

 Aさんと金沢駅で合流後は、まずはバスで「21世紀美術館」を目指します。

 バスの中では、大学生くらいの男性二人組が「4°Cは女性へのプレゼントにどうなのか」といったTwitterみたいな話をしていたのが印象的でした。

 バス停から歩いて、美術館に向かいます。

 

 ジョジョ展がやっていました。時間的に観れなかったけど。

 

 21世紀美術館、到着が遅かったので展示室には入れなくなっていましたが、館内にあるベンチに座って、外の景色を眺めながら、Aさんと二人でずっとおしゃべりしてました。

 そういえば大学時代、文芸サークルの先輩から、ジョジョの小説版を貸してもらったこともあったなあ、なんてことを思い出したり。Twitter有名人の話をしたり、共通の友人の話をしたり。

 

夜の兼六園カップルでいっぱい

 美術館に1時間ほどいたあとは、兼六園へ向かいます。

 有名な観光地なので、楽しみにしていました。

 とても賑わっていて、歩きながら写真を撮っていたので、ブレてしまったものがたくさん……。

 

 夜の兼六園は夜景を観にくるカップルが多い、ということはEちゃんからも聞いていました。

 若い人だけでなく年配の方もいて、私とAさんに対して「若いお二人」と言われるような場面もありました。私たちも結構いい年なんだけど若く見えるのかな、なんて心の中で苦笑したりも。

 兼六園やその周辺をひたすら歩き回り、ふたりでいろんな話をしました。漫画にも造詣の深いAさんと、黄金期の「りぼん」の話をしたり、少女小説の話をしたり。

 あとは、「旅行では、本当は観光地にはそこまで魅力を感じない。見せられるために作られたお庭とかよりも、大きな岩のような自然物や、見せ物としては作られていないような建物や街並みに興味がある」という点が一致したのも、嬉しかったです。

 

 そして、Aさんが北陸に来ていた理由、お酒を控えている理由についても教えてもらいました。

 まさかの、「車の免許を失効させてしまったため、再取得のための合宿で能登半島に来ている」というオチだったとは……!(笑)

 あぁ、お酒を控えているのもそういう理由だったか、私とホテルに泊まれないのもそういう理由だったか……と、全てが腑に落ちました。

 

 そして、あまりにも外を歩き回りすぎたので、ふたりで夕食を食べる時間がない!

 慌てて金沢駅に戻りましたが、もう、どこの飲食店も閉まっていました。

 私はお土産屋で、お土産の他に自分が食べるお弁当を買います。

 そんな、最後の最後までAさんは付き合ってくれました。

 

 私はこの日で金沢から帰りますが、Aさんはもうしばらく北陸にいるそうです。

新幹線の中で、嬉しい連絡が

 それにしても、普段は東京でよく遊ぶ人と、まさか金沢でふたりで一緒に過ごせるなんて、ちょっぴり不思議な気がしました。

 そしてその一方、もうどんなことがあっても不思議じゃないな、なんてことも同時に思いました。

 

 思えばこの旅行で会った友人たち、みんな誰ひとり「会社員」じゃないんですよね。

 初日に会ったMくんはトロンボーン奏者、2日目に会ったKくんは文学研究者、そして最終日に会ったEちゃんはフリーのデザイナーで、Aさんは翻訳者。

 知り合い方も、みんなバラバラ。

 そんなバラバラなみんなと、久々の再会での思い出話だけじゃなく、今の話、これからの話など、とにかく全体的に「前向き」な話ができたことが嬉しい旅でした。

 

 そんなことを考えながら、私は帰りの新幹線の中で、買ったお弁当を食べることに。

 

「……あ」

 

 そのとき気づきました。指輪を、Aさんと会う前に寄ったお手洗いに忘れてきたことに。

 私がこのツイートをしたら、その瞬間、Aさんから電話がかかってきました。

「駅の忘れ物センターに指輪が届いていないか訊いてみる。もし指輪が届いていたら、自分が受け取って、次に会うときに渡す」と……!

 

 指輪自体は安物だし、思い入れがあるわけでもないので、そんなに悔しさはありません。

 それよりも、Aさんがこうして気遣ってくれたことが何よりも嬉しく思えました。

 

 もし指輪が見つかったら──Aさんは、どんなふうに私に指輪を渡してくれるかな?

 彼が私の指に指輪を嵌めるところを想像し、ひとりで赤面しながら新幹線に揺られていました。

 

 

(※結論からいうと、指輪は結局見つかりませんでした)

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本とお酒と、そして思い出と(2日目:金沢〜富山)

 転勤族育ちだった私が大人になってから絶対やろうと思っていたのは、「友達が引っ越したら、その地域に遊びにいくこと」。

 わざわざ遊びにいきたいと思えるような友人ができたことも、会いに行こうと思ったら連休を利用して遊びにいけるくらいの余裕ができたことも、ささやかだけど私にとっては喜ばしいことだったりします。

 遅くなってしまいましたが、金沢・富山旅行記2日目です。(前回の記事はコチラ

旅行中、唯一の晴れの日

 金沢1日目はぐっすり眠ったかと思えば、起きがけに足が攣ってしまったり。2日目の朝は少し慌てながら朝食会場へ。泊まったホテルの隣の建物が朝食会場でした。

 

 そして10時過ぎ、ホテルをチェックアウト。

 前日と違い、外は晴れてる……! テンション上がります。

 そして、昨日も行った「石川県立音楽堂」に向かいました。

ピアノコンサートで癒されよう

 今回のお目当ては、こちらのピアノコンサート。

concert-search.ebravo.jp

 オーディションに合格した子たちによる、ピアノの演奏会なんだとか。「風と緑の楽都音楽祭」の企画の一つだそうです。

 この日は夕方から富山で友人と飲むことになっていたものの、それまではだいぶ時間があるので、何かイベントないかな……と思っていた矢先に見つけたのがこちらのコンサート。プロではない子ども達の演奏ではあったものの、皆さんオーディション合格者だけあって上手い!

 そして演奏会が終わり、昨日Mくんにおすすめしてもらったお店でどこかランチを食べよう……と思ったものの、外、なんだかちょっと寒い。

 私の中では、ゴールデンウィークは「初夏」として過ごすことが多かったので、この日はだいぶ軽装でいました。

 しかし、金沢は晴れていてもちょっと寒い。

 駅構内で、厚手のハイソックスとストールでも買おう……と思い、お昼ごはんより先に衣類を買うことにしました。

駅構内で見かけたもの

 金沢駅構内を歩いていて、こんなデジタルサイネージがあり、思わず見入ってしまいました。

 この金沢の男性の殺人事件は、身内の誕生日と同じ日に発生したのでなんとなく覚えていました。しかもWikipediaでも警察署のページでも「独身男性殺人事件」なんて名称がついているんですよね。なぜ「独身」を事件名にいれているんだろう。

ja.wikipedia.org

 

 事件解決を願いつつ、商業施設「金沢百番街」の中へと向かいます。「靴下屋」でハイソックスを買い、3coinsでストールを買い、靴下はトイレで履き替えました。

 あったかくなったので、昼食を食べにいくことに。

「とんとん亭」でランチを食べよう

 金沢駅から歩くこと、10分と少々。昨夜、Mくんから教えてもらったお店のひとつ「とんとん亭」に着きました!

tabelog.com

 なかなか混雑しており、人気店ということがひと目でわかるくらい。

 ただ、そんなに待つことなく入れました。

 そして、待ちに待ったトンカツ……非常に美味しい!

 衣のサクサク感もお肉の柔らかさも、今でも思い出せます。人気店になるのも納得。

 

 食べ終えたあとは、再び金沢駅方向に歩きます。

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電車の中で楽しもう、どこかに着く前に

 今回、富山旅行が決まった日から読み進めていた本はこちら。

 先日、私のブログでも紹介したので覚えている方もいるかもしれませんね。

 富山出身のサブカル好きな女性が夢破れて地元に戻り、そこで改めて地元の富山で頑張っていく様を描いたエッセイ。読了まであと少し、というところまで読んでいたので、富山に向かう電車の中で読みました。

 そして、富山駅に到着するのとほぼ同時に読了!

 

 ほんとは、本の表紙と同じところで写真を撮ってみたかったんですが、本の表紙はおそらく北陸新幹線のホーム。今回は諦めました。

 

 駅構内では、古本市が行われていました。

 あとから知りましたが、この古本市、『どこにでもあるどこかになる前に。』の著者の藤井さんも出店されていたそうで。なんだかタイムリーな巡り合わせでした。

 

 そして一旦、富山駅を離れてホテルにチェックイン。

 今回の富山のホテルは、こちら。

www.h-prime.jp

 前日に泊まった金沢のホテルよりも安かったものの、フロントが豪華でちょっとリッチな感じ。テンション上がりました。

 そして部屋に旅行の荷物を置き、最低限の所持品を持って、この日会う予定のKくんとの待ち合わせに向かいます。

出会ったのはもう8年前

 この日会うKくんは、私より3つ年下の文学研究者。今年度から富山の学校で教えているんだとか。

 私たちが初めて会ったのは2014年、お互い名古屋に住んでいた頃です。Kくんは大学院生でした。私も運営に携わっていたこともある「ゲンロン名古屋クラスタ」主催の読書会で知り合いました。

 その読書会で読んだ本は何だったかな。『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』だったような気がします。

 それからも読書会で顔を合わせたり、一緒にお芝居を観に行ったり、夜中に今池の安居酒屋で飲んだこともあったような。演劇と文学と映画とお酒が好きなKくん。私と同じ、劇作家の鴻上尚史ファンという点が同じなのも親近感が湧きました。

 2015年夏に私が名古屋を離れてからも、1〜2年に一度くらいのペースで会う機会があり、去年と一昨年は一緒に福島旅行に行ったりも。

▼2020年9月、いわき・双葉など浜通りの旅行

www.wuzuki.com

▼2021年3月、白河・郡山など中通りの旅行

www.wuzuki.com

 なんというか、異性の親友というものがあるとすれば彼のような存在かもしれない、ということを感じる存在です。

 特に、文学やアカデミアや映画批評の話に関しては、いつも刺激を受けています。

 本や作品に対しては厳しい意見も出しつつ、普段のメッセージのやりとりでは絵文字やスタンプの使い方もすごく可愛い。

 私は20代前半くらいの頃までは、頭の良さそうな人、知的な人と出会って「仲良くなりたいな」と思っても、なかなか仲良くなれない(恐れ多くて近寄れない)ことが多かったんですが、思えばKくんと出会い、互いにそれぞれ知性や価値観に一定の信頼を置いていることが分かってからは、ほかの「知性を感じる人」たちと仲良くなれることが多くなった気もします。

 Kくんみたいな人に気に入ってもらえていることが、自分の自信に繋がったのもあるかもしれません。

海鮮と地酒を楽しもう

 Kくんとは駅付近で17時前に合流し、さっそく飲みに行くことに。

 今回訪れたお店はコチラ。

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 ホタルイカの沖漬けや、お刺身をいただきました。昨日に引き続いてのホタルイカ

 私は2018年春にも富山旅行したことがあるんですが、やっぱり富山のお魚は新鮮で美味しい!

 Kくんとはこのときは何を話したかな。Kくんと最後に会ったのは2021年の春なので、それ以降の近況報告をしました。

 夏に小さな出版社に転職したこと、そして(仕事とは関係なく)アカデミックな友人たちと再会したり新たな出会いがあったこと、そしてそんな友人たちが出版した本の話や、みすず書房など学術書の出版社、献本制度についての話をしたり、Twitterでも有名な某社会運動系の教授の話をしたり……。

 

 1時間ほど飲んだところで、そろそろ次のお店に行こうか、というところで店を出ました。

 

 富山、町並みも美しい。ガラス美術館があるからか、ガラスモチーフのオブジェも飾ってあります。

コンテナ横丁にようこそ

 10分ほど歩き、富山の中心部にある総曲輪(そうがわ)エリアに来ました。

『どこにでもあるどこかになる前に。』の中に出てきたビリヤード店と思しきお店を見つけて「これって、あのお店じゃない!?」なんて盛り上がったり。

 

 そんなことを話しながら歩いていると、コンテナがずらりと並んだ場所を発見。

 ここは、コンテナ横丁「あまよっと横丁」だそうです。

amayot.jp

 ここのどこかで飲もう、ということになり、次のお店はコチラにしました。

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 もつ鍋を食べました。店内は狭めではあるものの、清潔感はあり、お肉も鍋も美味しく快適に楽しめました。少し肌寒い春の日の鍋も良いですね。

 

 ここを出たのは何時なのかあまり覚えていません。コンテナ横丁を離れ、アーケード街へ。

 もう1軒くらい行ってもいいかもね、という話をしながら歩いていると、雰囲気の良さそうなバーの立て看板を見つけました。

「ここ、行ってみようか」ということで店内へ。

夜中のバーは幻想的

 入ってみたのは、ここ。「日本酒Bar UZUMAKI」というお店です。

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 ビルの2階にあるお店。ほんのり薄暗い店内ではありましたが、オープンから日も浅いお店のようで、綺麗な店内でした。カップルのお客様も何組かいたような。

 まるで隠れ家にしたくなるような、どこか幻想的な雰囲気も感じるお店でした。

 

 1軒目と2軒目でたくさん飲んでいたので、ここでは軽めのお酒とデザートを注文。

 Kくんとシェアして食べました。

 このときはどんな話をしていたかな。仕事にしろプライベートにしろ、キャリアプランの話が中心だった気がします。いや、キャリアプランなんて大げさなものじゃなくて、今後どうしていきたいかとかそういう話。

 

 Kくんとはそれまでも「異性の友人とこうして二人で旅行できるのも、もしかしたらもうないのかもしれない」という話をしたことがあります。で、「できれば、Kくんとこうして旅行するのもこれが最後になったらいいな」ということをそのたびに私は思っていました。

 そもそも旅行とはいっても、どちらかというと「出張の同行」に近くて、別々の布団で寝て、指一本触れていない状態なわけで。でも、それでも私が他の人と交際や結婚している状態だったら、さすがに旅行するわけにもいかないでしょう。

 今回の、この金沢〜富山旅行は私の一人旅なわけですが、これから一緒に旅行はできなくなっても、こうして現地で顔を合わせて近況報告をする関係は悪くないな……なんてことを思いました。

 そして、私がよく遊んでいるあの人たちにもKくんのことを紹介したいな、ということも思ったり。

 文学や映画やアカデミアの話、あの人やあの人なら、私よりもっと話題が広げられるのかも。

 Kくんは富山から時々、都内に来ることもあるようなので、いつか良いタイミングがあればいいな。

 

 そんなことを考えたり、話したりしながら夜の富山の街路を歩き、途中の交差点でKくんと解散しました。

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グルメと音楽、そして思い出と(1日目:金沢)

 昔はさほど魅力を感じていなかったけれどやがて魅力がわかるようになったもの、いろいろあると思いますが、私の場合、それがもっとも顕著なのは「旅行」かもしれません。

 

 4月29日(金祝)〜5月1日(日)にかけて、金沢富山に行ってきました!

 あまり旅行する趣味を持たないので、「ゴールデンウィークに、新幹線を使った旅をする」のは、じつは初めて。

 結論からいうと、今までにないタイプの楽しさがありました。そして、北陸の地で再会した友人たちとは、いろんな交流ができました。

 

 まず、どうして北陸旅行をすることになったのかといいますと。

 旅行趣味のない私ももともと「折を見て、金沢や富山などの北陸方面には行きたい」とは思っていました。

 北陸は「石川県には一度も行ったことがないので、機会を見つけて行きたいと思っていた」ことと、「仲の良い友人が今年度から、富山勤務になった」ことが大きいです。

 なので4月末、ゴールデンウィーク、せっかくだし金沢や富山に行ってみても良いかもなぁ。でも、友達に会うためだけにわざわざ行くのもコスパ悪いし、行かなくてもいいかも……」と思っていたところ、仲の良い友人(住んでいるのは関西)が北陸方面に行くらしいことが判明。「じゃあ私もやっぱり行く!」と決めました。単純。

 彼はどういう理由で北陸に行くのかについては、どうにもよくわかりません。あまり詳しく訊いちゃいけないのかな、と思って私もそこには触れず「よかったら現地で合流しません?」とか、勇気を出して「泊まるホテル、同じところにしませんか? 部屋は一緒じゃなくても、朝ごはんとかご一緒できたら……」などと伝えてみたものの、どうにも歯切れの悪い返答ではぐらかされてしまいます。

「何なの、もう〜><」と思いつつも、5月1日(日)の夜なら時間が取れる、という返事をもらうことができました。

 さて、旅行することを決めたら次は、現地に住む友達で会えそうな人を確認しよう。富山勤務になったKくんのほか、コロナ禍を機に地元の金沢に戻ったEちゃんもいたな。あ、私が金沢に行く旨を投稿したら、金沢出身のMくんも反応してくれてる!

 ……あれよあれよという間に予定が決まっていきました。

 

 会える人たちの都合を考慮した結果、金沢→富山→金沢、と移動して2泊3日を過ごすことになりました。

 この旅行中はどうやらお天気は悪そう。なので、「あちこち観光をすること」は諦めました。あくまでも「友達たちに会うこと」を主目的とし、ついでに現地で楽しめそうなことを楽しむ……くらいのつもりでいました。

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はじめての金沢は雨

 前置きが長くなりましたが、旅行記本編に入ります。

 連休初日ということもあり、金沢駅は混雑していました。

 改札を出て高い天井を見上げ、「これが金沢駅か……」と感慨深くなります。

 もともと転勤族育ちで全国あちこちに住んでいたものの、私は金沢どころか北陸に住んだことがありません。福井や富山などは行ったことがあるものの、金沢は初めて。「まだ行ったことのない都会」に行くのは、のどかな地方都市に行くのとはまた違ったワクワク感がありますね。

 駅を出ます。信号機が目に入りますが、雪国仕様の縦型ではないんだな、という感想を持ちました。

 

 まずは荷物を置きたかったので、ホテルにチェックイン。

 この日に泊まったのは、この「金沢セントラルホテル」の東館。写真で見るより少し古さを感じるホテルではありました。

www.centralh.co.jp

 

 どこかでお昼を食べたいな、と思ったところ、ホテル近くに和食のお店を発見。ここに入ります。「醍庵(だいあん)」というところ。

www.daian.ne.jp

 この日食べたのは「日替わり御膳」だったかな。お刺身も焼き魚もお肉も少しずつ味わえ、これで1,000円!

 

「風と緑の楽都音楽祭2022」へ

 ランチのあとは、この日の一番の目的のため、「石川県立音楽堂」に向かいます。

 

 ゴールデンウィークの間、「風と緑の楽都音楽祭」なるものが行われているらしく、初日はオープニングコンサートがあるんだとか。

 このコンサートに、トロンボーン奏者の友人・Mくんが所属する楽団が出演するということで、聴きに行くことにしたのです。

www.oek.jp

 演目は、下記の通り。

 クラシック初心者にも親しみやすい演目、ということで選ばれた曲だそうです。どれもフル演奏ではなく部分的な演奏ではありましたが、耳馴染みのあるメロディの演奏だったため、クラシック初心者でも楽しめたのではないかと思います。

(個人的には、こういう初心者向けのオーケストラではアニソンや映画音楽などを演奏するところも多い中、そういったものがなかったのは良いな、と思いました。いや、アニソンや映画音楽が悪いわけではないんですが)

 私も昔、バイオリンで「歌の翼に」の合奏をしたので懐かしくなったり。

 個人的には、「結婚行進曲」ワーグナーメンデルスゾーンのもの、両方を同じ会で聴く機会ってあまりないので面白いな、と思いました。(ちなみに私はメンデルスゾーンのほうが好きです。結婚式で流すの、憧れます)

 

会場の音楽堂にはこんなパネルもあり、コンサート終了後、眺めていて楽しめました。

美味しいジェラートでひと休み

 この日の予定として決めていたことは、このオープニングコンサートと、夜にMくんと一緒に飲むこと。

 コンサートは16時に終わり、Mくんと飲むのは19時過ぎの予定。まだまだ時間はあります。

 

これは、おしゃれな石畳が気になって撮った街並み。

 

 外は雨だし、今から観光も厳しいし、カフェでも入って時間を潰そう……と思い、適当に検索して見つけたのがこのお店。

food-japon.com

 駅近くの商業ビルの地下一階にあります。一つ見落としていたのは、ここは「コーヒースタンド」なので、座っての飲食は店内ではできそうになかったこと。ただ、近くにベンチがあったので、ジェラートをテイクアウトして食べました。

 クリームの爽やかな甘さと、コーヒーの苦味が絶妙!

 

 ジェラートを食べたあとは、スマホで漫画読んだりして時間を潰してました。ゴールデンカムイの無料公開期間だったし。

 

 ……そして19時過ぎ、Mくんから連絡が。出発する準備をします。

思わぬきっかけからの友達、そして金沢グルメ

 Mくんと知り合ったのは2015年。共通の友人の繋がりです。

 もともと私が2013年に上京した際に知り合った平田さんから、彼の大学時代の友人だというマッツさんを2015年頃に紹介してもらい、そのマッツさんの友人であるMくんのコンサートに一緒に行き、Mくんのことも紹介してもらいSNSで繋がった……という経緯です。私も中学時代のオーケストラ部でトロンボーンを吹いていたので、そんな話をしたような覚えがあります。

 Mくんは、私の誕生日会にも来てくれたことがありました。トロンボーンで、一青窈ハナミズキ」の演奏をしてくれました。

www.wuzuki.com

 それからはコロナ禍となり実際に会うことはなかったものの、SNSで交流は続いていました。しかし、思えば二人だけで飲むのは初めてかもしれない。

 

 まず1軒目、行ったのはこちら。金沢出身のMくんから教えてもらいました。

「丸奄(まるえん)」というところ。

(昼間にランチを食べたお店は「醍庵(だいあん)」なのでちょっと紛らわしいw)

tabelog.com

 海鮮料理を中心とした居酒屋のようです。

 

 お魚も、ホタルイカも、野菜と一緒のホイル焼きも、全て美味しくて大満足◎

 日本酒も、地酒を色々と楽しみました。

 

 そのあとは、飲んだ〆としてラーメンを食べることに。

retty.me

 ネギは苦手なので、ネギだけMくんに食べてもらいました。

 21時過ぎだったというのに行列ができていたのにも納得。飲んだ後の〆にピッタリな、あっさりした味のラーメンです。

 

 飲んだり食べたりしている間、Mくんとは、仕事の話や音楽の話、金沢のおすすめのお店の話などをしました。仕事などに厳しい面も持ちつつ、ユーモアも混じえて話ができるMくんの一面を、さらに垣間見れた気がします。

 それにしても、東京でのシェアハウスイベントきっかけで知り合った人の繋がりが、さらに別の友人との出会いを呼び、またさらに別の友人との縁に繋がる……というのは、都会ではありがちなこととはいえ、改めて思い返してみると、なんだか不思議な気もします。

 

 このラーメン屋はホテルにも近かったため、助かりました。

 途中までMくんに送ってもらい、無事にホテルへ。

 食べ過ぎた自分に呆れつつも、せっかく旅行に来たんだから美味しいものを楽しめてよかった、という気持ちが上回りました。

 翌日の準備をし、大浴場に向かい、この日は眠りにつきました。

 

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この本がすごい!2022年上半期 フィクション編

 お待たせしました。2022年上半期読んで良かった本ランキング、この前は「ノンフィクション編」を書いたので、今回は漫画や小説などの「フィクション編」を紹介します。

 この時期に発売された作品というわけではなく、私がこの時期に読んで良かった本を紹介します。(漫画に関しては、期間内に最新刊・最終巻まで読めたもののみ紹介)

 

10位 未来を変えるレストラン

 児童書。作者の小林深雪さんの長年のファンなので読んでみました。
 この作者は作風としては甘めな恋愛小説が得意な人でしたが、最近の児童書では恋愛要素が薄かったり、ないものも多くてそれはそれで良い感じ。

 主人公のサラは、シェフを目指すお料理好きな小学生の女の子。外国ルーツという設定を紹介する際も「ハーフ」だけでなく「ミックス」という呼称もあることをサラリと書いているのも個人的には好きです。作者が昔から得意としている「お料理好きな少女の成長物語」の要素と、児童書ならではのまっすぐなメッセージが伝わってきて、安心感を持って読めます。

 個人的には、冒頭に、和歌山のアドベンチャーワールドと思われるテーマパークが出てきたのが嬉しかったです。「日本のフードロスの特徴としては、家庭からの廃棄率も高いということが挙げられる」という点も勉強になりました。

 

9位 サマータイムレンダ

 今年の春〜夏アニメにもなった漫画。和歌山の離島を舞台にしたSFチックな漫画です。ジャンプコミックスから出ていて全13巻。

 この漫画の作者は、和歌山出身の友人・ぷらとろさん id:platoronical の同級生ということを知ったのと、和歌山出身の別の友人と仲良くなって2月に和歌山旅行をすることが決まったのもあり、読んでみました。

 だんだん設定が複雑になりちょっとついていけない部分はあったものの、「影」と呼ばれる化け物の特徴を掴んで戦略的に攻撃していくところとか、地域の伝説が出てくるところなどは割と好み。カバー裏の細かい設定もかなり手が混んでいてすごいなぁ、と思います。あと、私は下水道関連の仕事をしているので、「影」は下水道を使って移動している……という設定やマンホールの描写がリアルなのも良かったです。(実際の和歌山の下水道普及率は低いようですが……笑)

 最終話は、あのキャラはそうなったか、なるほど……! という感じ。想像していたよりも素敵な展開でした。

 アニメでは、ヒロイン・潮の声が思ってたより甘い感じだな、と思ったものの、漫画では分からなかった方言の雰囲気などが掴めて楽しめました。

 

8位 瑠璃の宝石

 宝石が欲しい女子高生のルリが、大学院生の女性とのひょんな出会いから鉱物採集をすることになる物語。現在2巻まで出ていて、10月に3巻が出るようです。

 私は地理学専攻出身なので、地図から鉱石の出る場所を読み解くシーンはテンション上がります。……が、読んでいて気になったのはお色気描写。

 青年漫画だからお色気描写があるのは分かりますが、私はそこはノイズになってしまいました。
 内容がなまじ本格的なぶん、服装やポーズがいかにも漫画のサービスシーン的なのに違和感、というか。実際の女性は、こんなに下着や身体のラインが見えてしまう服でアウトドアには行かないよね……とか思ってしまったり。

 宝石は女性も好むものなので、そういう点では女性が読んでも面白さがありそうですが、不自然なお色気描写で女性読者を遠ざけそうなのがとにかく惜しかったです。2巻では特に気にならなかったので、そのまま続いていけばいいなと思います。
 キャラは、メインのヒロイン2人よりも、メガネの女性・伊万里さんが一番可愛いと思いました。鉱物採集にも行ってみたくなります。

 

7位 きらきらひかる

 ずっと気になっていたものの読めていなかった作品。今年、読書会の課題図書になったのもあり、ようやく読みました。

 昔は「アル中の妻と同性愛者の夫とその恋人の話なんて、私とは別世界のお話かも……」と感じて、どうにも食指が伸びないままでいましたが、いざ読み始めたらすんなり読めました。

 同じ著者の作品なら別の作品のほうが好みだとは思ったものの、この作品に流れる少女小説のような雰囲気は嫌いではないです。「ホモ」「エイズ」などの単語が出てくるところには時代を感じるものの(もともと1991年の作品)、世間の常識を息苦しく感じる登場人物たちの気持ちは、今にも通じるところがあるように思います。

 詳しい感想などは、noteにも書いたのでリンクを貼っておきます。

note.com

 

6位 波打ち際の蛍

 ずいぶん前に買って積読していました。高校〜大学時代にかけて島本理生作品はいくつか読んでいたので、こういう作品を好んでいた時の自分が少し懐かしいな、と感慨深くなりながら読みました。

 DVを受けて傷ついた主人公・麻由の、ひと夏の出会い……からの回復を描いた物語。どこか儚げな麻由の感情には共鳴するところも多くあります。私の周りの人間関係とも重なる部分もありました。卑近な言い方をするなら「メンヘラ」的な感受性を持つ人に寄り添うような作品かもしれません。

 麻由がマッサージをするシーンにも親近感を覚えたものの、私は麻由ほどの察しの良さはないので、その感覚は羨ましく思う部分も。やっぱり島本理生作品は心理描写が心地よくて丁寧で、ひとつひとつの描写が光ります。

 あと、本筋とは関係ないエピソードではありますが、健康診断のバリウムのくだりをそんなふうに描写するのか……なんてことも思ったシーンもありました。
 そして、この作品は麻由の周りの人たちも魅力的。蛍も素敵だけど、さとる君のキャラ、好きだな。カウンセラーの加藤先生の「信頼」について語るシーンも好きです。

 

5位 こちら副業推進部、事件です!

 この本の作者は、私の家族の友人。東大出身で、現在は一部上場企業のIT企業の取締役とのこと。そんな人が書いた「このミス」受賞作……ということで気になって読んでみました。今年いちばん最初に読んだ小説です。

 副業が推奨されることになった会社で、殺人事件が発生。副業推進部の部長となった早苗は、怪しげな副業を始めた社員と一緒に事件解決に立ち向かう……といったあらすじ。ストーリーの展開自体は割と淡々としていて、どちらかというと設定の面白さが優った感じ。

 あと、登場人物の名前に、やたらと実在の政治家を意識したものが出てくるのにも少しニヤリとしてしまいました。

 著者は大学などでベンチャー企業の立ち上げにも関わっているようなので、そういった知見をもとにした作品が出てくるのも期待したいところです。

 

4位 科警研のホームズ

 喜多喜久作品は好きでいくつも読んでいますが、割と一気に読めてしまったものと読むのに時間がかかったものの差が激しいです。これは読むのに時間がかかったほうですね。

 これは、警察の科学捜査の部署に異動となった若手たちがさまざまな謎を解いていく連作短編集。この巻には4編の作品が収録されています。

 特に面白かったのは、双子のどちらが犯人なのかを突き止めていく、第三話「惜別のロマンティシズム」。双子のどちらかが犯人なのは確実だけどDNAでは判断できない、さてどうするか……という展開には私もドキドキ。

 途中、著者の他のシリーズ「死香探偵」を連想させる「現場の空気を回収して分析」なんて台詞が出てきたのには思わずニヤリ。あと個人的には、登場人物の大学院時代のの研究テーマが「都市部における洪水の浸水エリアの予測」なんて内容だったのもツボでした。この作者の作品は、大学や研究所がよく出てくるところも私好みです。

 タイトル、「科捜研(かそうけん)」ではなく「科警研(かけいけん)」なのに注意。

 

3位 動機探偵 名村詩朗の洞察

「動機探偵」シリーズの2作目。この作者のシリーズは、前述した「科警研のホームズ」「化学探偵Mr.キュリー」「死香探偵」などがありどれも気に入っていますが、この「動機探偵」も好きなシリーズになりそうです。こちらも連作短編集。シリーズの2作目です。

(前作については、去年、紹介しています)

www.wuzuki.com

「人間の心理分析のために、日常の謎を集める」という設定もいい。思わぬことが手がかりになり次々と謎が解けていくのは痛快です。

 個人的には前巻よりも好きです。どの謎も思わぬことが手掛かりになっていて、現実にはそんなに上手くいかないからこそワクワク。私がよく行く場所の地名が出てきたので親近感を抱くシーンもありました。

 最後の話は、これ、実際に起こったあの件が元になってるよね……? と思える設定で、どういう展開になるか期待していたら、まさかの展開。

 研究と倫理と感情で揺れ動くところは、著者の別のシリーズ「死香探偵」とも似てるものを感じます。だんだん恋愛ネタが多くなってきたり、キャラも増えてきたものの、新キャラも誠実な態度の人で安心して読めそうです。

 

2位 豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ事件

 倉知淳作品も好きでよく読んでいます。こちらは、雰囲気の異なる6つの短編が収録されており、さまざまな読後感を楽しめる贅沢な一冊。

 冒頭の「変奏曲・ABCの殺人」は、この本を読む前に実際の通り魔事件に関する本を読んでいたので苦々しさを感じたものの、バカっぽさも痛快さも苦々しさもある奇妙な読み応え。

 AIとの社内コミュニケーションをめぐる「社内偏愛」は、SFの不条理劇として読みました。ストーリーとしてはもう一捻り欲しかったけど、設定は好みです。

 お菓子好きな専門学校生が殺された「薬味と甘味の殺人現場」は、(著者の別作品を読んだときも思ったけど)女性像がやや不自然なのが惜しい。

 田舎に帰省した女性が主人公の「夜を見る猫」は、オチもすぐに分かったけど安心感のある作品。

 ユニークなタイトルの表題作は、著者の別作品を読んだときの影響もあり、時代設定を深読みしてしまいました。文体まで当時に寄せてあるのも面白い(やや読みづらくはあったけど)。こういうところにこの著者の魅力を強く感じます。

 ラストの「猫丸先輩の出張」に出てきた研究所は、私が以前行ったつくばの研究所の一般公開での様子を連想し、勝手に少し懐かしくなったりしました。

 どの作品がすごく好み、というのはありませんでしたが(強いていうなら「夜を見る猫」かな?)、この作風のバラバラっぷりがやっぱり私は好きなんだな、と感じました。

 

1位 サーキット・スイッチャー

 いやぁ、まさかこの作品がこんなにドンピシャだとは思わなかった……。

 こちら、ハヤカワSFコンテストの優秀賞となった作品。現役ITエンジニアが描いた、自動運転が普及した近未来を舞台としたSFサスペンス。スタートアップ経営者の主人公・坂本が謎の男に自動運転車をジャックされるところから物語は始まります。

 SFは普段あまり読まないものの、この作品は読み始めたら面白くて一気読み。
(以前読んだ、数年前のハヤカワSFコンテストの受賞作は世界観についていけずあまり楽しめなかったので、この作品がこんなにも私に刺さったのは予想外でした)

 スタートアップの雰囲気も、プログラムのアルゴリズムのことも、トロッコ問題や倫理、宗教に関することも、さまざまな要素が綿密に練り込まれていてグイグイ惹き込まれました。

 奇しくもこの本の発売の前月に、私の大学時代の友人であるベンジャミン・クリッツアーが『21世紀の道徳』という本を出しているのですが(前回のブログでも紹介しています)、こちらでもロッコ問題について扱われており、両者には同じ本も参考文献に挙がっていて、どちらも東浩紀氏が帯で紹介文を書いている……という共通点があります。

 そういえば、前回の記事で私は「『JJとその時代』という本は”女性向け『21世紀の道徳』”といった感じ」と紹介しましたが、言うならばこの『サーキット・スイッチャー』は「小説版『21世紀の道徳』」といった感じの印象も受けました。
(『21世紀の道徳』と『サーキット・スイッチャー』の両方を読んだことあるという人が少ないので、なかなか分かってもらえないのが悔しい)

 

 ちなみにこの小説の作者である安野貴博さんは、私の友人の上司にあたるそうです。

 

 そもそも、この小説を知ったきっかけとなったのも、もとを辿れば別の交友関係がきっかけだったり。

 去年の秋、SF好きな翻訳者の友人・Aさんが手がけた記事が「SFマガジン」12月号に載ったということを知ったので購入。

 すると、Aさんとは全く別界隈の友人もこの「SFマガジン」を宣伝している投稿を見つけたので「あれっ?」と思ったところ、この友人と安野貴博さんは上司部下の関係とのこと。この号に安野さんの受賞コメントが載っていたから宣伝していたようでした。

 

 ちなみに翻訳者のAさんも、『21世紀の道徳』の著者のベンジャミンと友人。

 元々、ベンジャミンの出版が決まって再会したのをきっかけに私はAさんと知り合い、Aさんの翻訳した記事目当てで買ったSFマガジンで安野さんの小説を知り、ベンジャミンも安野さんも近いテーマの本を手がけていて、出版時期も近く、同じ人が帯文を手がけている……というの、とても不思議な縁を感じます。……って、私は何の話をしているんだろうか。

 

 今回このブログを書くにあたり、3位以下は結構迷いましたが、1位と2位はすぐに決まりました。連休中や秋の夜長に、ぜひ読んでみてくださいね。