これからも君と話をしよう

一度はここから離れたけれど、やっぱりいろんな話がしたい。

この本がすごい!2020年上半期 フィクション編

 2020年、上半期が終わりましたね。いかがでしたか? 私はとにかくいろんなことがありました。あまりにもいろんなことがありすぎました。それだけで1記事以上分のボリュームになってしまうので、この総括もまた改めて行えたらなと思います。

 コロナ禍のStay home期間があったこともあり、今年上半期の読書量は激増しました。こんなにいろいろ読んだの大学生以来かも。いろんなジャンルの本を読んだので、毎回恒例のこのランキングも、今回はジャンルを少し絞って行おうと思います。

 今回は「フィクション編」というくくりで行いたいと思います。

 では、いってみましょう!

 

10位 リケジョ探偵の謎解きラボ

 「化学探偵Mr.キュリー (中公文庫)」シリーズが有名な著者の本。

 同じ作者の本では、今期は「死香探偵」シリーズの2巻と3巻(死香探偵-連なる死たちは狂おしく香る (中公文庫)死香探偵 哀しき死たちは儚く香る (中公文庫))も読み、個人的にはそれらもすごく好みではあるんですが、そちらはすでに数年前にこのブログで紹介していたので、今回はこちらを紹介することにします。

 保険調査員の主人公が、研究者の女性とともに事件を解き明かす連作短編集。この作者の本はミステリや化学の部分もしっかり面白いだけでなく、クールビューティーなリケジョだったり、お金持ちでイケメンな研究者が出てきたりなど、漫画チックな萌え要素も多いので楽しいです。

 また、個人的にも今期は病院に通うことが多かったため、研究者や医療関係者、病院が出てくる物語は楽しく読めました。

 

 この「リケジョ探偵~」も、続編が出ているようなので読んでみようかな。

 

9位 アイのオト

アイのオト (塔21世紀叢書)

アイのオト (塔21世紀叢書)

  • 作者:永田愛
  • 発売日: 2018/12/23
  • メディア: 単行本
 

 緊急事態宣言が解除された初の週末、池袋のジュンク堂に行ったときに短歌集の棚で見つけました。 著者の名前が劇作家の永井愛と名前が似ているな、と思ったのがきっかけで手に取ったら、表紙がピンクにキラキラの箔押し、楽器に猫……と、とってもかわいいデザインで見事に私好み。

 パラッと本をめくったら、オーケストラにまつわる短歌も多いようで、そういうところもかなりツボでした。でも、音楽やオーケストラ以外の歌も多く、「え、そうだったの?」という意外な側面も見えてきて軽く驚きました。……まぁ、意外な側面も何もこの本でしか著者のことを知らないんですが、表紙や最初のほうの短歌からは予想していなかった面がいろいろ見えてきたのは、ひとりの人間を知っていく人間臭い交流にも思えて、その点にも面白さがありました。

 著者の居住地がどこなのか推測しながら読み、少し複雑そうな家庭事情にも思いを馳せました。作品は奇をてらわない親しみやすい言葉遣いで、家族や恋や仕事や音楽、日常を描いたものが多く親近感を持ちました。表紙で靴を脱いでいることの意味も、「そういうことか」と思えました。

 

8位 死んでしまう系のぼくらに

死んでしまう系のぼくらに

死んでしまう系のぼくらに

  • 作者:最果 タヒ
  • 発売日: 2014/08/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  ずいぶん前に買っていた詩集。薄い本ではあるものの、じっくり読み進めていたので読了が今期になりました。

 短歌や小説はともかく、詩は割と厳しい目で見てしまうため、あまり私好みの詩人っていないんですが、最果タヒさんの作品は好みです。数少ない、私の好きな詩人のひとり。

「〇〇の詩」シリーズが特に好きです。途中から、詩を読みながら「これは何の詩だろう」と予想しながら読むようになってきましたが、私の予想を超えてくるものばかりで、いったいどう生きたらこのまなざしが手に入るんだろう……と思ったり。

 それにしても、短歌集を読むと短歌を書きたくなるし、詩集を読むと詩を書きたくなりますね。この本を読んだあとに1篇、noteに詩を上げました。

 

7位 推しが武道館いってくれたら死ぬ

  私、このブログではあまり漫画は取り上げてないんですが、この作品は今回絶対紹介したいと思っていました。

 今年1月にアニメ化もされ、コミックスも現在6巻まで出ている人気作品なので、ご存じの人も多いでしょう。

 私がこの作品を知ったのは秋葉原ビックカメラ。無料お試し版がネットにあったので読んでみたらいろいろ見事に私に刺さる要素が多く、漫画を一気には読まない私が最新刊まで購入してしまいました。

 この作品、タイトルからはついキモオタとアイドルのご都合主義っぽい恋愛ものを想像しがちですが(笑)、実際は百合作品です。百合になっていることで、ファン心理の生々しさがいい感じに中和されている気がします。

 この作品に出てくるアイドルグループ「Cham Jam」は、岡山のご当地アイドルという設定。私は岡山に住んでいたこともあるので親近感もありますし、岡山時代の友人でアイドル好きな男友達に連れられてアイドルのライブに行ったこともあるので、その点からも親しみを感じた作品です。

 また、私は長崎のご当地アイドル「ミルクセーキ」の音楽プロデューサーの方との交流をきっかけに、そのライブにも行くようになったので、ご当地アイドルの一ファンとしても面白く読めた作品でした。

 そしてこの漫画の作者の平尾アウリ氏は、私の好きな小説家・飯田雪子氏の作品『夏空に、きみと見た夢』の漫画版も手掛けた方だそうで。その点もテンション上がりました。私は漫画版は読んでなかったけれど、これを機に読んでみてもいいかも。 

 ちなみに、Cham Jamの中では、私は眞妃が好きです。アニメや漫画読んだみなさんは、誰が好きですか?

 

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6位 ラストノート きみといた季節

ラストノート―きみといた季節 (ハルキ文庫)

ラストノート―きみといた季節 (ハルキ文庫)

  • 作者:飯田 雪子
  • 発売日: 2009/01/15
  • メディア: 文庫
 

  中学時代からずっと好きな作家さんの本。(先述した夏空に、きみと見た夢 (ヴィレッジブックス)の作者でもありますが、そちらの作品は個人的にそこまで好みではない)

 この本は未読だったので読んでみました。男女2人の両方の視点から物語が進んでいきますが、ベタな恋愛という感じではなく、最後の最後までそれぞれの恋愛展開がどうなるか読めず、楽しめました。

 ご都合主義な感じもなく、すごく自然な展開でやっぱりこの作者は心の機微の描き方が秀逸ですね。さらりと読める作品ではありますが、やや重いエピソードも出てきてそこは少し辛くなったりも。そして、作中に出てくる「文香(ふみこう)」は、私もこの初夏にいただく機会があり、風流だなあと改めて感じました。この作者は「名前」絡みのロマンチックなエピソードが多いことも好きなところのひとつです。

 読書メーターのコメントでは「ドラマのノベライズみたい」という感想もあったけれど、確かにそんな感じもします。

 

5位 フーガはユーガ

フーガはユーガ

フーガはユーガ

 

  一気読みしてしまいました。

 昨年2月に眼科の待合室の雑誌でこの本の書評を読んで気になり、昨年6月に横浜のBUKATSUDOで行われていた古本市で購入。しばらく積読していましたが、今年の春に読みました。

「誕生日に双子が入れ替わる」という漫画的な日常ファンタジー設定と、凄惨な境遇のギャップが切ない。作者はよくこんなに心情がリアルに書けるな。回想で語るスタイルも新鮮です。

 いじめられっ子・ワタボコリのエピソードや、双子を陰ながら支えてくれた「岩窟おばさん」がいい味を出しています。

 伊坂幸太郎作品は割と読んでいますが、この作品は、アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)死神の浮力 (文春文庫)っぽいと思いました。帯に「切ない」とあったので辛い展開も覚悟していたら、そうきたか……という感じ。変にスッキリ終わらせすぎないところも、ほどよく現実味があって良い、という解釈もできるかな。

 伊坂作品らしさが詰まってて爽快感もある作品ではあるものの、虐待やいじめ、性暴力など鬱展開も多いために、人によってはフラッシュバック注意かもしれません。

 

4位 そんなとき隣に詩がいます

そんなとき隣に詩がいます ~鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩~

そんなとき隣に詩がいます ~鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩~

  • 作者:谷川 俊太郎
  • 発売日: 2018/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 大好きな詩人の谷川俊太郎氏と、大好きな劇作家の鴻上尚史氏の共著。私にとってはとっても贅沢な一冊でした。

 あぁ、最高に良かった……! 大大大好きなこの二人の共著ということで、じっくり味わうように時間をかけて読みました。

 コロナ禍の、今の時期に読めてよかった本でもあります。家族とかいのちとか国家とか、そういう大仰な抽象的な話も今の時代になら違和感なく溶け込みます。谷川さんはほんとうにいろんな姿を詩の合間から見せてくれるなぁ。

 そして、人生相談じゃない、私の大好きな鴻上節が読めてとてもテンションが上がりました。そうだよ、こういうのがいいんだよ。そして「恋愛王 (角川文庫)」も、大学時代に読んで大好きな本だったから、その本のエピソードが終盤に出てきたときはびっくり……! そうだったのか……!


 また私自身は、歌や詩はよく褒められるものの小説は下手なので、「歌や詩は天性のものだけど、小説や演技は後天的にも磨くことが可能」というニュアンスの文章が出てきたときも、ちょっと嬉しかったです。

 

3位 終末のフール

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)

 

 私のこのブログでは、同じ著者の本をいくつもランクインさせることはなるべく避けているのですが、この本は紛れもなく「今の時期に読むこと」に意義がある本だったので紹介します。

 世界の滅亡まで残り3年となった時代の、仙台を舞台にした連作短編集。コロナ禍の今読むと、より一層身に染みると思い読み進めました。

 ずいぶん前に最初の2篇だけ読んでいましたが、割と重めの家族の話だったのでそこでちょっとギブアップしていました。でも、中盤以降の作品からどんどん私好みの雰囲気になってきました。

「最初の二週間を生き残れば助かる」などのデマが流れるところや、買いだめに群がる人、テレビ番組によって亡くなった人など出てきて、まさに今の時期に読めて正解でした。中盤からの、立てこもり犯や読書好きな女性やプロボクサーや劇団員や天体オタクなど、個性の強い人が出てきてからは一気に面白い。特に、劇団員の話の終盤がとてもとても私好みでした。

 伏線の回収されない物足りなさと、想像の余地のバランスも良いのではないかと思います。

 

 あ、この作品には本筋と関係のない注意点がひとつあります。これ、2020年現在、スマホKindleアプリでは読めない設定になっているようなのでご注意を。私はKindle端末で読みました。(普段はKindleではなくhonto派なのに、なぜこれに限ってKindleで買っていたんだろうな私……)

 

2位 育休刑事

育休刑事 (幻冬舎単行本)

育休刑事 (幻冬舎単行本)

 

  前から気になっていた作家さん。電子書籍東京創元社セールを機に購入。

 タイトルと表紙の通り、育休中の男性刑事が事件を解決していく連作短編集。赤ちゃんの成長に関わるエピソードも多く、ミステリとしてだけでなく、育児にまつわる話としても面白かったです。

 主人公の息子の蓮くんも、記号としての「赤ちゃん」としてではなく、0歳の一人の人間として描かれているのを感じてその点も新鮮でした。

 あまり書くとネタバレになるけど、この主人公夫婦の設定がなかなかリベラルで、そういうところも私好みではありました。3篇の作品が収録されていますが、最初の2篇が面白かったかな。

 この本は、私がまさに赤ちゃんの頃を過ごした長野に向かう旅行の途中で読みました。良いタイミングで読めたと思います。

 

1位 しびれる短歌

しびれる短歌 (ちくまプリマー新書)

しびれる短歌 (ちくまプリマー新書)

 

 この本、このブログの「フィクション編」で取り上げるか、今後更新予定の「ノンフィクション編」で取り上げるか、どちらで取り上げようか迷いましたがこちらで紹介することに。

 

 短歌の本をあれこれネットで探していたとき、Amazonレビューの評価も高かったので購入。短歌に限らない、広く通用する「文芸批評」の本でした。

 短歌や文学に限らず、表現や芸術全般について興味のある人におすすめです。

 作品をどう読めば良いのか、どのような要素が短歌を短歌たらしめているのか書かれており、この本に書いてある内容を踏まえるだけで自分の作品にも奥行きが増した気がします。

(この春、noteにいくつか自作の「コロナ短歌」を上げていますが、この本を読了した4月以降のほうが個人的にも好みの作品が多いです)

 歌人になるにはどうすればいいかにも具体的に書かれており、なかなか独特な世界なんだなぁ……と思うなど。ともするとやや「古臭さ」を感じさせてしまうものの、そこの良し悪しにはあまり踏み込んでいないのもバランスが良いと思いました。また、電子書籍をめぐる議論については「未来形の読書術 (ちくまプリマー新書)」を思い出します。やっぱりちくまプリマー新書は良書が多い……!

 

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どの本も面白かった!

 

 次回は、読んで良かった実用書やビジネス書などを紹介したいと思います! お楽しみに。

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ベトナムでの味わい(ホーチミン訪問 2日目)

 3月上旬に行ったベトナム旅行の記録、初日の分だけ書いたきりになっていたので、2日目のことも思い出しながら書いてみようと思います。

www.wuzuki.com

さまざまな朝ごはん

 朝ごはんはホテルにて。ビュッフェ形式でした。

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朝ごはん1皿目

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朝ごはん2皿目。デザート。

 この日は朝から、2人目のローカルフレンド・Tさんと合流してショッピングなどをする予定。

 同行者のミカちゃんとホテルを出て、ベンタイン市場まで歩いていきます。

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路上で朝ごはんを食べる人たち

 ホーチミンでは、こうやって路上で朝食を食べることも一般的なようです。

 そういえばベトナム研究者の坪井先生は「ベトナム人は朝ごはんに何を食べているのだろう」という興味から研究を始められたんだっけ……なんてことを思い出しながら、市場へ。 

ベンタイン市場

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ベンタイン市場の入口

  到着!

 ここでTさんと待ち合わせをし、合流。Tさんは30代の女性で、日本語教師をしているとのこと。

 ベンタイン市場では、スムージーを飲んで、お買い物をしました。

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スムージーを飲んだよ

  スムージー美味しかったけど、これ何味だったっけ。私は旅先では、ふだん飲めない珍しいものをチョイスすることが多いです。

 

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どのサイズや柄のものを買おうか迷った

  木でできたポーチのようなバッグを買いました。かわいい。

 

ここにもあったよ、髙島屋

 ベンタイン市場のあとは、近くにあった髙島屋へ向かいます。お手洗いに寄りたかったのとショッピング目的。

 ホーチミンにも髙島屋があります。

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カラフルな傘……!

 途中、カラフルな傘が飾ってあるのを見つけました。意図がわからないけどこういうの好き。

 

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フォトジェニック!

 髙島屋の中に入りました。涼しい!

 

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ファッションショーも行われていたよ

 結局、髙島屋では買い物はしませんでした。

 

ショッピングを楽しもう

 近くにあるショッピングモールサイゴンセンター」が、買い物には良いとのことで向かいました。

www.tripadvisor.jp

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最近お茶にハマってます

 お洋服などもいろいろあって目移りしたものの、ここで買ったのはお茶の葉っぱ

 友人たちの影響で、海外のお茶を飲むのに少しハマっていたのもあり、自分用に購入。

 

 ここで、午前中一緒に過ごしたローカルフレンドのTさんとはお別れです。お子さんの用事があるとか。

 

スタバのオリジナルマグカップ

 そのあとはミカちゃんと2人で、現地のスターバックス。マグカップを買いに行きます。

 このマグをコレクションしている人と当時は仲が良くて、おみやげとして買ってきて欲しいと頼まれていたので。

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スタバマグ!

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ホーチミンハノイを買いました

 

「ハー・フーン」でポーチを買おう

  そのあとは、ミカちゃんが以前ホーチミンに行ったときに訪れて良かったという刺繍のお店「ハー・フーン」へ。

 こぢんまりしたお店ですが、クレジットカード決済も問題なくできました。

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私はこの4枚のミニポーチを購入

hataraku-mama.info

 

現地のフォーはやっぱり美味しい

 いったんホテルに戻り、軽く休憩したあとは、ちょっと遅めのお昼ごはんを食べることに。

 チェーン店の「フォー24」というお店に入ります。

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ようやくホーチミンで食べれたフォー

 美味しい。歩き疲れた身体に、さっぱりしたフォーが染みわたります。

 私はあんまりネギやタマネギが好きではないんですけど、フォーに入ってるときはあまり気にせずスルスル食べれちゃうことも。
 

 食後、外に出て街を歩いていたら、こんなものを見かけました。

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食用……?

 ニワトリが路上で飼育されています。これはペットではなくおそらく食用なんでしょうね。

 

戦争証跡博物館

  そして午後は、「ベトナムの歴史もきちんと知っておきたい」ということもあり、戦争証跡博物館へ向かいます。

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戦闘機

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戦争博物館の展示あれこれ

 1階では、プロパガンダに関するポスターなどの展示が多めでした。

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3階は日本語の解説も多め

 基本的にはベトナム語や英語の解説が多いものの、日本企業が協賛に入っている関係か、3階は日本語で書かれている部分もありました。

 日本人カメラマンによる写真もあります。

 個人的にもっとも印象に残ったものは、少年の写真についてのキャプションで「殺されなければいろいろな体験ができて、今頃は孫と遊んでいたかもしれない」というもの。

 写真が撮られた時代から現代に、グイッと引き戻された感じがありました。

 

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子どもたちが描いた絵

 この、子どもたちが描いた絵のコーナーも印象的でした。

 手がないけれど楽しそうにサッカーしている絵も、それぞれ失った身体に涙を流す様子も、「そういう子は実際にいる」という、日常のひとつとして伝わってくるというか。

 

 外には、実際の留置場や、それにまつわる写真もあります。

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留置場

 中を覗くと、実際の捕虜を模した人形が置かれているところもあり、思わずゾクッとしてしまいました。

 処刑された人の写真を見たときは、一瞬、脳の処理が追い付かず、驚いたり恐怖より先に「え……これどうなってるの?」という感情が湧いてきたことを覚えています。

 

めぶきスパで癒されよう

 戦争博物館で少し疲弊してしまったので、癒されるために、マッサージに行くことに。

 いろいろ調べてみた結果、「めぶきスパ」というところがよさそう、ということになりここに決定。

 送迎も行っているとのことだったので、電話をして迎えに来てもらいました。

 日本語通じました。電話にも対応しているSIMカード買っててよかった。

 

mebukispa.com

 

 日本人街の奥のほうにあるお店です。

 フットケアと、ホットストーンマッサージのコースを利用。

 とっても良かったです……。

 フットケアは、レモンの輪切りやお花などが入った、見た目にも素敵なお湯に足を浸し、丁寧に洗ってもらいました。

 ホットストーンマッサージは、熱した石で、身体の筋肉がほぐれていくのをしっかり感じました。とても贅沢な時間……。

 

日本人多めのピザ屋さん

 めぶきスパの店員さんに、晩ごはんにおすすめのお店はないか尋ねたところ、「隣にあるもつ鍋のお店か、近くにあるピザのお店がいいよ」とのこと。

 どちらも覗いてみた結果、この夜はピザを食べることに決定!

「Pizza 4P’s(ピザ フォーピース)」へ。

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食べたものたち

 お肉が載ったピザも、ココナツジュースも、小さなコロッケも、どれもそれぞれ違う味わいでとっても美味しかった……!

 あれから何ヶ月か経った今でも、食感を思い出せます。

 特にピザは、ほんとうに「パンの上に、葉っぱとお肉が載せてある」という感じで、あまりベタベタした感じがなく食べやすかったです。油分が多くないから、パンの上から具材が滑り落ちそうになったりしたけど(苦笑)。

 

 そしてここ、すっごく日本人客が多いです。隣のテーブルからは関西弁が聞こえてきたし。

 ちょっと「外国っぽさ」には欠けるかもしれないけど、自国の言葉が聞こえてくる環境はどこか安心できる部分もあります。

 

 また、これは日本に帰国してから知ったことですが、この店はうちの父の知り合いがやっているお店だということが判明! 世間は狭い……! 

 

 あと、6年くらい前からずっと気になっていたライターさんである、渋澤怜さんが記事を書いていることがわかったのも嬉しかったです。

www.hcm-cityguide.com

 この日は、ずいぶんいろんなことが凝縮された一日でした。

 

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誰も戦争を教えてくれなかった

誰も戦争を教えてくれなかった

  • 作者:古市 憲寿
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: 単行本
 

 渋澤怜さんの本のリンクも貼っておこう。

性感帯は本棚です。

性感帯は本棚です。

 
ファッション・メンタル・ヘルス

ファッション・メンタル・ヘルス

  • 作者:渋澤 怜
  • 発売日: 2014/06/04
  • メディア: 単行本
 
ツイハイ (群雛NovelJam)

ツイハイ (群雛NovelJam)

 

 

コロナ禍の自粛期間中にやったこと・やりたいこと

 緊急事態宣言、とうとう全国的に解除されましたね。

 ひとまずお疲れさまでした。まだまだ油断はできないので、引き続き手洗いうがい、アルコール消毒など続けていきましょう。

 

 この2ヶ月間、何をして過ごしましたか?

 SNSを眺めていると、みなさん仕事や家族との関わり以外だと、本を読んだり、Zoom飲み会したり、お菓子作りやハンドメイド、近所の散歩をしている人も多かったみたいですね。

 

 ハンドメイドといえば、私はこんなこともしていました。

news.tamenism.jp

▲人気ブログ「読む為にずむ」さんに寄稿させていただきました。ぜひ読んでみてください!

 

 そのほか、私がやったこと・やりたいことをまとめてみることにします。

自粛期間中にやったこと

読書

 もともと本を読むのは好きではありましたが、4~5月はそれまでに比べて読書量が激増しました。1月の読了本は4冊、2月、3月はそれぞれ8冊なのに対し、4月は24冊読了しており、5月は現段階で14冊読了してます。すごい!

bookmeter.com

メルカリ出品

 出品したもののしばらく売れていなかったものが先月くらいからちょくちょく売れるようになり、あまりにもいろんなものが売れるので、面白くなって最近は毎日なにか1つメルカリに出品してます。利益目的というよりは、近所の郵便局までの散歩の延長という感じです。役目を終えたものを安く提供することで、誰かに喜んでもらえるのも嬉しい。売り上げはメルカリ内での買い物だけでなく、メルペイとして一般の店でも使えることがあります。特に、近所の文教堂で使えるのがありがたいです。

www.mercari.com

 私のメルカリの招待コードはこちら→TCVBFB

 

オンライン飲み会・イベント

 Zoom飲み会やお茶会、いろんな人と行いました。それぞれに雰囲気が違って面白いですね。

 Zoom以外のツールだと、まるで実際の飲み会のように移動ができ、その距離感によって話の聞こえ方が変わる「Spatial Chat(スペイシャルチャット)」や、3Dの画面で動くのが面白い「clusterクラスター)」を使った回もありました。

「Spatial Chat」は特に気に入りました。10人くらいの大人数で集まる際、ほんとの飲み会やパーティーっぽさが出てとても面白い。

Remo(リモ)」もいろんなひとが紹介していたので気になりダウンロードしたものの、Remoを使ったイベントが特になかったため出番がありませんでした。

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なんかカオスなことになってるSpatial Chatの画面

動画鑑賞

 これまでそんなにYoutuberには興味なかったんですけど、そんな私が超ハマったのが「メロガッパ」のお2人。合唱曲のアレンジや人気J-popのアレンジを行っていて、2人ともタイプの違うイケメンだしイケボだし、私の好みにドンピシャでした。特に「白日×Lemon」の動画はなにもかもカッコよすぎですね……💛

www.youtube.com

 

タロット占い

 未来が見えずモヤモヤする中、何か心の拠り所にできるものはないかなと思い、好きなブロガーさんが紹介していたタロットの本を購入。タロットのモチーフや占いとの付き合い方にはなかなか興味深い部分もあり、スピリチュアル的なものもうまく付き合えば生活の良いスパイスになりそうだな、と思ったりも。

スピカのいちばんやさしいタロット占い

スピカのいちばんやさしいタロット占い

  • 作者:スピカ
  • 発売日: 2019/11/01
  • メディア: 単行本
 

 

麻雀

 昨今話題になってる賭け麻雀。麻雀はこれまで漠然と気になっていたものの、やったことはなかったので、いくつかスマホアプリをダウンロードして遊んでみました。わからないことを調べながらルールを覚えていくの、新鮮で面白いです。

play.google.com

 

飛び地

 あまり遠出ができない中、少しでもお出かけ気分を楽しみたいと思い、スマホアプリの「市町村ジグソー」でしばらくひたすら遊んでいました。

 遊んでいて気付いたのは、飛び地のある市町村って多いんだなということ。どういう経緯でそんなことになったのか興味が湧き、いろいろ調べるようになりました。地図に夢中だった子どもの頃を思い出します。

 実は父も「飛び地好き」だということがわかったのも嬉しかったです。

play.google.com

 

そのほかクリエイティブなこと

 iPadで絵日記を描いてインスタのストーリーズやTwitterで流したり、スマホで撮った1分間動画をTwitterに載せてみたりしていました。一時期は毎日のようにやっていたけど、日課にするものが多いと混乱してしまうので、これらはしばらく休止中です。でもトーク技術はもっと磨きたいし、動画や音声の配信はなんらかのカタチでやりたいなと漠然と考えています。

 

 

自粛期間中にやりたいこと

ハンドメイド

 プラバン作りをしてみたものの、ほかにもまだまだ作ってみたいものはたくさん。最近は、チューブ入りの漆を購入しました。これで漆のアクセサリーを作成予定。楽しみ!

 あとは、使っている布マスクに刺繍をしたり、ワッペンをつけたりなどのリメイクもやってみたい気もしています。(でも、マスクの傷みが早くなりそうなのでこれはやめとこうかな)

j-fujii.com

 

DVD鑑賞

 買ったものの観れていないでいる劇団のDVDがいくつかあるので、それらも引き続き楽しみたいと思います。先月は、虚構の劇団「天使は瞳をとじて」のDVDを観ましたが、劇中に出てくる「放射能を遮るための透明な壁」が、コロナをちょっと彷彿とさせ味わい深い面があるなと思ったりも。(でもやっぱりお芝居は生で観るのが一番ですね)

虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』 [DVD]

虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』 [DVD]

  • 発売日: 2011/11/20
  • メディア: DVD
 

 

Facebookのフレーム作成

 Facebookのプロフィールフレーム、「#StayAtHome」とか「#うちで過ごそう」とかいろんなのつけてる人いますよね。

 自作していた友人もいたので調べてみたところ、そう難しいものでもなさそうだったので私もGW期間中に一度、作成しました。

 ただ、作成後にミスに気付いたので結局それは使いませんでした。でもまた近いうちに再作成してみようと思ってます。

 

iPhoneの電池交換

 私、普段使っているSIMカード入りのAndroidのほかに、SIMカードを入れていないiPhone6sも日常使いしています。こちらはWi-Fi環境のみで使ったり、音楽や電子書籍などのコンテンツをダウンロードして楽しむ用に使っています。このiPhoneの電池の減りが早いことが前から気になっていました。(まぁ外出自粛期間中だから、電池切れに困ることは当分ないといえばないんですが)

 そんな中、電池を自分で交換したという友人のFacebook投稿を発見。こちらも調べたらそこまで難しそうではなかったので自分でもやってみることに。

 Amazonで電池パック交換セットを買い、さぁ挑戦してみよう! と思ったところ、到着したものが不良品。別途、新しいものを取り寄せたので、こちらも近いうちに再挑戦しようと思います。

 

バイオリンの弦の交換

 最近すっかり触らないでいたバイオリン。弦が切れてしまったのでそれを替えた上で、久しぶりに弾いてみてもいいかも、なんて思ってます。

 じつは私、自分で弦を替えたことがことがないので(子どもの頃は親や先生が、大人になってからは楽器屋の店員さんに替えてもらった)、自分でもできるようになっていたい、というのもあります。

 

俳句

 私、Instagramを更新する際は、なるべくその季節にまつわる写真を定期的に入れるようにしています。そうすることでスクロールしたときに季節の変化が分かって面白いというか。

 これって何かに似てるなぁ、と思ったら、「俳句」。ちょうど、俳句を書くキャラクターが出てくる小説を最近読んだこともあり、歳時記を買って俳句を書いてみようかとも考えているところです。

 短歌の本はこれまでよく読んでいたし、書いてもいたところなのですが、俳句はあまり詳しくありません。自粛期間が続き例年より季節を感じにくくなっている中、季節を感じ取るために、俳句を書いてみるのもいいかも、と思っているところです。

 

写真撮影

 あまり出かけられないとはいえ、その中で普段の日常をうまく切り取れたり、いろんな工夫を凝らしたものを撮ってみたいなと思ってます。

 妹が持ってるカメラを借りて、普段の自分のカメラじゃできない「多重露光」に挑戦してみたいな、なんて思ったり。

 

そのほかやってみたいこと

 このまえZoomで友人と話したとき、友人は「遺伝子検査に興味ある」という話をしていました。

 遺伝子検査、私も前から気になっていたところ。乳がんの検査を行った今、より一層じぶんの身体への興味が高まっています。安くなってるときがあったらやってみようかな。

 

 あとは、どちらかというとコロナ明けにやってみたいことですが、お店でネイルアートをしてもらうことに興味が出てきました。

 この「ご当地ネイル」があまりにもドンピシャで好みすぎて……✨

beauty.hotpepper.jp

 

 ほかに行いたいことといえば、この春にできていなかった確定申告、どこかのタイミングでしたいですね。(寄付金控除のため)

 SNSのプロフィールもこの際に書き換えたいかも……。

 

 とりあえずは、こんなところでしょうか。

 あなたはどんなことをしましたか? よかったら教えてくださいね。

 

 

 

 最後にもう一回宣伝。寄稿させていただいた、プラバン作りの記事もぜひ読んでみてください~!!

news.tamenism.jp

#おうち時間

乳がんの検査に行ってきた結果

 本当はブログにはベトナム旅行記の続きを載せたかったんですけど、その前に取り急ぎ書いておくことにします。

 

 3月に行われた健康診断の結果、乳がん検診で引っかかってしまいました。

じつは以前も引っかかってた

 じつは乳がん検診で引っかかるのはこれが初めてではなくて、3年ほど前にも一度ありました。

 2016年11月に受けた健康診断の結果に「乳腺腫瘤の疑い」という表記が!

 片方の胸に、腫瘍があるとのこと。

乳がんだったらどうしよう……」と不安を抱えながら、東京駅近くのクリニックへ。


 乳腺外科に何度か通い、再検査と精密検査を受けました。そして2017年1月に結果が分かり、結果は良性!

 それからも健康診断で「乳腺腫瘤の疑い」表記はあったものの、「まぁ同じものだろう」とあまり気に留めていませんでした。

 

 ところが今回、健康診断でこんな結果が!

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両側乳房腫瘤!?

 これまで片方の胸だけだったけど、両方ともに腫瘍が……!?

 

 3年前にお世話になった乳腺外科に電話をし、再検査を依頼しようとしたところ、「健康診断のときの画像を持ってきてほしい」と言われたので、まずは、健康診断を受けたクリニックへ。

「3年前に精密検査をした右胸の腫瘍は、今回もありましたがこちらは90%良性でしょう。ただ、問題はこの左胸にあるモヤモヤしたもの。これが何なのかが気になりますね。危険度合いを低い方を1、高いほうを5とした場合の5段階で言うと、4くらいだと思います」

 まじか……。

「あと、クリニックではなく、大きな病院で診てもらってください

 

とのことだったので、3年前にお世話になったクリニックには今回行かないことに。

別件でお世話になったこともある、東京女子医科大学病院の予約を取りました。

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東京女子医大病院

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何度も来てるけど、日当たりが良くて好き

 そして4月下旬、東京女子医大の乳腺外科にて、再検査をすることに。

 胸にジェルを塗り、身体の中をスキャンするような機械を当てて内部を見ていく「超音波検査(エコー)」と、胸を挟んでレントゲン写真を撮るマンモグラフィーの2つの検査、ここでも再び行いました。

 やっぱり腫瘍はしっかりと存在し、画像診断では良性か悪性かの区別がつかないため、精密検査もしたほうがいい、ということに。

 本来ならば別の日に行うことが多い精密検査も、この日は先生の都合で当日行えそうだったので、同じ日に行いました。

 

 乳がんの精密検査(生検、あるいは細胞診と呼ばれるもの)、どうやるか知ってます?

 胸のしこりに太い針を刺し、しこりの一部の細胞を採取して検査をするというものです。

 太い針なので胸周辺に麻酔を打ちはするものの、胸の中で針をグリグリと動かされるのはあまり気持ちいいものではないし、採取する瞬間には「バチン!」と大きな音がしてそこそこの痛みもあります。

 どのくらいの痛みかというと、太い輪ゴムでゴムパッチンをされる感じです。(この例えは私が言い出したものではないけど、すごくしっくりきます)

 ちなみにこの細胞診のあとは、胸には分厚いガーゼを張り付けられたり、さらしでぐるぐる巻きにされたりします。 当日は激しい運動や入浴は不可。

 

 この検査の結果はGW明けに判明するとのこと。

もし乳がんだったらどうしよう

 しばらくは、もし自分が乳がんだったらどうなるんだろう……ということがとても気がかりでした。

 親族には癌患者も複数いるものの、遺伝性が強いとされる、乳がん卵巣がん前立腺がん・膵臓がんの者はいません。

 まぁもし乳がんだったとしても、行動に自由がきかないのは今の時期みんな一緒だから疎外感を感じずに済んでいいかもな。どうせ誰にも会わないから放射線治療で髪の毛抜けても問題ないし。コロナで代わり映えしない毎日に飽き飽きしてたんだよね。このタイミングで乳がんになったとしてもそれはそれでいいタイミングかも! なんてことも考えていました。

 コロナ禍のあいだは思いっきり髪を伸ばしてコロナ明けににヘアドネーションしたいなぁ……なんてことも考えていたけど、もしかしたら私がヘアドネーションされる側になってしまうのか、いや、今の自分の髪も根元から切ったらショートヘアのウィッグくらいは作れるのでは? これって自給自足? 

 もし胸を切除することになったらとても悲しいな。せめて、切除した胸の肉を持ち帰って人肉食パーティーできないだろうか。文字通り「女を食った」って言えるようになるよ! あ、パーティーだと密になっちゃうからダメかな。可食部位もそんな多くないし。いや、そういう問題じゃないか。切断した身体を持ち帰って食べることは器物損壊罪になるんだよね。そもそも霊長類の肉を食べるのは健康にも良くないし。(詳しくは、過去のこの記事を参照)

 良性か悪性か賭けをしてみたら面白そうだな、自分のことだから不謹慎も何もないし。いや、でも法的に問題があるかもな。それに「悪性に賭けるよ!」とは言いづらいだろうし。まぁ私は悪性に賭けるよ。仮に悪性でも賭けに勝った喜びは手に入るし。それでいいのか?

……なんてことを考えながら、指折り数えてゴールデンウイークが明けるのを待ちました。

 

 そして緊張を抱え込みながら、5月8日(金)夕方、女子医大病院に行ってきました。

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検査の結果は……?

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とうとう私の番……!

「お待たせしました」と言われ、診察室へ。

 あぁ、こんなに緊張するのっていつ以来だろう。もしかして大学の合格発表以来かな……? なんてことを考えつつ、結果の報告を待ちます。

 ところが、私に結果を告げる直前に先生宛に電話が掛かってきたりして、なかなかお忙しい様子。

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 パソコン画面に映っている文字を見ると、やや物騒な表記も見受けられるものの「悪性と判断するものは見受けられません」のような表記も!(どういう文面だったかはうろ覚え)

 

 精密検査の結果、採取した範囲の細胞には悪性となるものは見受けられなかったとのこと。

 ただ、採取しきれなかったモヤモヤしている部分に悪性組織が隠れている可能性もないとは言い切れないとのこと。

 思ったよりも歯切れが良くないな、とも思ったけれど、はっきり言い切らないことのほうが誠実なんだよね、と考え直しました。

 はっきり0か1かで判断できるものでもなく、グラデーションな部分も大きいのでしょう。

 

 5月下旬、念のために、MRIを使った再検査をすることにしました。

 

 ご心配いただいた皆さま、ありがとうございました。

 こんな時期だし、みなさんも健康には特に気をつけてくださいね(とはいえ、癌は予防というより「早期発見」がポイントのようですね。健康診断ほんと大事)。

 

  今までちょっと他人事感があったピンクリボン運動も、これまでより強く意識するようになりました。

ベトナムとの繋がり(ホーチミン訪問 1日目)

 なぜかずっと、18年前に訪れた沖縄のことを考えていた。

 ホーチミンの、生暖かい夜風に吹かれながら──。

 

 2020年3月5日(木)〜8日(日)、ベトナムホーチミンに行ってきました!

 去年1月、ベトナム史学者の坪井善明先生の最終講義を聴いてから、ずっと気になっていたベトナム

www.wuzuki.com

 

 友人のミカちゃんと行ってきました。

 ミカちゃんは、横浜のシェアハウスで知り合った、漆作家をしているお友達です。年齢は私の1学年下(とはいっても私が3月生まれ、ミカちゃんは4月生まれなのでほぼ同い年。笑)。

annonbymika.com

 

 ミカちゃんが、関西電力社内ベンチャー「TRAPOL」の企画に応募し、当選したので同行させてもらいました。

lp.trapol.co.jp

「日本のお土産を持っていくと、現地の“ローカルフレンド”に案内してもらえる」という旅。

 今回、20代〜30代の、3人のローカルフレンドの方にホーチミンの街を案内してもらいました。

 お会いする各ローカルフレンドのプロフィール欄を見てみたところ、「日本の化粧品や、伝統工芸品、招き猫に興味がある」という方が多かったので、私たちは資生堂の口紅と招き猫のマグネットを持っていきました。

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招き猫のマグネットは、浅草の今戸神社で買えるよ

 

タンソンニャット空港へ

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飛行機からの光景

 成田空港から午前9時の飛行機に乗り、現地時間15時頃にベトナムに到着!

 ミカちゃんは二度目、私にとっては初めてのベトナム

 私がこれまで訪れた街では、香港・マカオが最南端でしたが記録更新です。そしてなんと7年ぶりの海外旅行。「女友達との旅行」自体も8年ぶりです。やったね。

 

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空港のトイレにあった注意書き

 女子トイレの個室にあった注意書き、「ごみ箱」が「でみ箱」になっていたのにはちょっと笑っちゃいました。

 そういえば、ホーチミンのトイレットペーパーは日本では見かけなかったタイプのものでした。ダブルでロール幅は狭め、両端が糊付けされている感じだった覚えがあります。

 

 おなかが空いていたので、空港内のお店で遅めのお昼ごはんを食べます。

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ここでお昼を食べました

 メニューを見せてもらったものの、売り切れていたものも多く注文できるものが限られていました。

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ベトナムで初の食事。美味しい!

 私たちが食べたのは鶏肉のワンプレートみたいなやつ。甘辛な味付けが絶妙!

 このお店ではWi-Fi使えましたが、パスワードは、レジの近くに小さな紙がボトルにいくつも入っており、その紙にパスワードが書いてある……という感じ。こういう文化のひとつひとつの違いが面白い。

 

 あらかじめ買っていた、ベトナム用のSIMカードの設定もここで済ませました。

 缶バッジの安全ピンを使って、SIMトレイを取り出しました。

 

 食べ終わったあとは、ホテルに向かうためバス停へ。

 空港の外の景色はちょっと曇り空で、でも予想していた通りのあったかさ。

 南国によく見られるシュロのような木も見えて、東京から飛行機で九州に帰省したような感覚を覚えました。

 

 バス、乗ったはいいものの発車までけっこう時間がかかってました。日本のバスとは違い、定刻になったから発車……というわけではなく、ある程度のお客さんが乗ってから発車するのかもしれませんね。

 そして、バスの中でちょっと気になったのが、これ。

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「危険時にはハンマーで窓ガラスを割って逃げてください」

 非常時にはハンマーで窓を割れ、という注意書きとハンマー。

 これ、バスの中にいくつもありました。日本ではまず見かけないものなのでちょっとびっくり。文化の違いを感じるなど。

 

ホテルに到着

 そんなこんなで、ホテルに着きます。

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オーキッドサイゴンホテル

 もともと別のホテルに泊まる予定だったものの、旅行会社の手違いで予約ができておらず、少しランクの高いホテルに泊めてもらえることになりました。ラッキー♪

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ホテルのロビーで出されたお茶。甘くてめちゃめちゃ美味しい。

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ホテルの窓から見える景色。バイク社会。

 ホーチミンは、ずいぶん前から地下鉄を作っているそうですが未だに完成しておらず、バイク社会。信号はあってないようなもので、歩行者は、バイクがゆっくりたくさん走っている中を掻き分けるようにして道路を横断します。

ホーチミンの横断歩道に慣れちゃうと、日本に戻ってからもやっちゃいそう……」と言っていた人の気持ちがわかりました(笑)。

 あと、バイク社会だからマスクをしている人が多いと聞いていたものの、街を歩く9割以上の人はマスクしてますね。

 使い捨てマスクの人もいれば、布マスクの人もいる。使い捨てマスクは日本では白が多いですが、こちらでは水色や緑色など薄く色のついたものを付けてる人が多かったです。

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こういうマスク。日本ではあんまり見ない。

 衛生に関していえば、このホテルは部屋に綺麗なシャワールームはあるものの(床が大理石でできてる!)、お風呂はありません。日本はやっぱり水が豊かな国なんだなぁと再認識。

 前日、成田空港近くのホテルに泊まった際に入った温泉がとても気持ち良かったので、お風呂がないのはちょっと残念な部分もありました。ただ、ここのホテルのシャワールームはガラス張りのため、バスルームから窓の外を見渡すことができるのも解放感があってなかなか気持ちが良いです。(さすがにシャワーを浴びる際は、シャワールームのブラインドは閉めますが。笑)。

 

3人で晩ごはん

 夕方は、1人目のローカルフレンド・Nさんと晩ごはん。NさんはIT系の会社に勤める、私やミカちゃんと同い年くらいの女性。

 ホテルで待ち合わせたあとは、目当てのお店までバイクで移動!

 ミカちゃんはNさんのバイクの後ろに載せてもらい、私は、配車アプリ「Grab」を使って移動しました。

 

 Grab。知ってます? 私、初めて知りました。 東南アジアで展開している配車サービスアプリです。

Grab App

Grab App

  • Grab.com
  • 旅行
  • 無料

apps.apple.com

www.travel.co.jp

 Uberも使ったことがなかった私。ちょっとドキドキしながらアプリをダウンロード。日本語には対応していませんが、問題なく使えました。

 

 画面はこんな感じになるよ。あ、この画面は日本で撮ったものです。悪しからず。

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皇居周辺だとこんな感じ。

 このアプリでバイクの配車を呼び出します(バイク、車を選べます)。

 ドライバーさんの後ろに乗せてもらい、出発。ホーチミンは東京より気温は高く、ちょうどいい生ぬるさ。夜風を全身に浴びて、バイクはゆっくり走りだします。

 なんだろう、この、生ぬるいけれどちょうどよい心地よさがある夜。やっぱり、18年前に行った沖縄を思い出すなぁ……。

 

 道路はバイクが多く、そんなにスピードが速いというわけではありません。

 7分ほどバイクに揺られ、目的の店に到着。

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水餃子みたいなものを食べたよ!

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これはお茶ではなく魚醤。

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メニュー

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扇風機がたくさんあり風通しが良い。飾ってある絵もいい。

 水餃子、美味しかったな。行ったのはこのお店でした!

goo.gl

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デザートを食べよう

 晩ごはんのあと、デザートを食べるために別のお店へ。

 ベトナムでは定番のスイーツ「チェー」をいただきました!

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すごく不思議な食感のおいしいスイーツ

 なんだろう。杏仁豆腐よりも弾力があって、チーズほどの粘り気もない。不思議な白い食べ物です。

「もちもちしてるね」とミカちゃんと話していたら、Nさんには「もちもち」という言葉をとても面白がってもらえました。「もちもち」って感覚、たしかに説明するのがむずかしい。

 

 このお店に行ったよ。

goo.gl

 

 案内されたのは2階席だったので、外の眺めも楽しめました。

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窓から見える夜景、ほどよく猥雑さもあり賑やか

 ベトナムはここ数年、GDPがとても伸びているそう。そのせいなのか、夜はバイクの若者がたくさんいて賑やか。活気が感じられます。

 いま、日本で唯一出生率が高いのは沖縄らしいですが、そういう意味でも、若者が多い夜はどこか沖縄を思い起こさせられました。

 

「ラッキープラザ」でお買い物

 帰りは両替所に寄り、スーパーマーケット「LUCKY PLAZA」でお買い物。ここはお土産がたくさんあるそうです。

www.tripadvisor.jp

 

  店内は、日本語もところどころにありました。日本人のお客も多いんでしょうね。

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「お負け」にちょっと笑った

 

 日本でも売っているようなお菓子やインスタント食品もたくさん売っていました。それらも気になったけど、購入はせず。

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インスタント麺

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スナック菓子

 

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カラフルな布マスク

 バイク社会のためか、マスクをしている人が多いホーチミン。使い捨てマスクだけでなく、こういった柄付きの布マスクをしている人もいました。

 

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いろんな柄や色があるポーチ

 その地域の地図がデザインされてるお土産って、好きなんです。緑やピンクが好きな私、どの柄や色を買うかとても悩みました……!

 

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花のポーチ。かわいい。

 この花のポーチ、色違いのものを学生時代に人からいただいたことがあります。たしか、当時のバイト先の店長だったかな。そのポーチはボロボロになるまで使いました。懐かしい。

 

 結局、これだけのものを購入しました。

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ラッキープラザの戦利品

 人に配っても、自分で使ってもいいようなものにしておきました。このときは3月上旬、コロナウイルスがじわじわ危険視されだしており、友達ともしばらくは遊べないかもしれないと思ったので。

 

 左上にあるリップクリームは、ガイドブックで紹介されていて気になったので購入。右上のチョコレートと、右端のジュースは、自分で飲食する用に購入しました。

ベトナムはフランスの植民地だったため、チョコレートが美味しい」と聞いていたので、ベトナムのチョコは食べたいと思っていました。確かに美味しかった。

 

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とても美しい、ホーチミンの夜景

 夜は、あんまりカメラを出したりしてると危険かな? と思い、夜景はあまり撮っていません。ただ、私の腕ではその美しさを撮りきれないくらい、ホーチミンの夜景は華やかで美しいです。7年前に行った香港を思い出しました。

 

 活気があって賑やか、そしてどこか沖縄や九州を思い出す空気。

 それが私の、ホーチミンの第一印象でした。

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場数を踏むのは悪いこと? コミュニケーションについてあれこれ

 こんな人生相談が話題になっていた。

dot.asahi.com

 私自身は、劇作家やエッセイストとしての鴻上尚史については大ファンで、劇作家の中ではいちばん好きだし、脚本もエッセイもDVDもいくつも持ってるし京都まで講演を聴きにいったこともあるくらいだけど、正直この人生相談の連載はそれほど面白くないと思っているので、ネットでもてはやされているのがよくわからない……とは以前から思っていた。(人生相談は、岡田斗司夫ラブホの上野さん、幡野浩志、が私の中での三大トップ。ちなみに脚本家は鴻上尚史本谷有希子が私の中でのツートップで次点は成井豊かなぁ)

 

 この相談については、「久しぶりにほがらかな相談でなごんだ」という意見もあれば「他人を練習台にするのは失礼だ」「男慣れしていない女性を狙うな」という意見もあるようだ。

 個人的には、正直この回答って目新しくはなく、特段面白くもないので賞賛する人にも共感できないし、批判している人が求めるお行儀良いコミュニケーションも人間というものをわかってないな感があってゲンナリした。

 

 今回、批判的な意見の対象となっているのは、本文にある、

女性慣れするには、女性と何度も話すしかありません」

「4月、大学のクラスでいきなり可愛い女の子に話しかけるなんてのは、130キロぐらいのバッター・ボックスに立つことです。バットにボールが当たるわけがありません。そもそも、130キロは怖いです」

「そういう時は、クラスで「男性と会話することに怯えている女性」を見つけましょう。『6年間、女子校でした。男性とどう話していいか、まったく分かりません』なんて人がいるかもしれません」 

の、くだりのようだ。

 

「練習」は、悪いこと?

 人間関係の構築は、結局は生身の人との交流の場数がものを言う。

 もちろん、恋愛セミナーに通ったり、コミュニケーションについてのワークショップを受講することや、本や映画などから人間の機微を学ぶこともできるだろう。特に読書は、普段の実生活ではなかなか会えない立場の人や、異なる文化圏の人への想像力を働かせる一助にもなるだろう。

 だがそれにしても、セミナーやワークショップでのコミュニケーションはある程度「予定調和」なところがあるだろうし、「読書とは著者との対話だ」みたいな考え方もレトリックとしては好きな考え方だけど、やはり生身の人間との会話のキャッチボールとは質を異にするものだろう。

 そう、今回の相談に対して、「野球に例えるなんて失礼だ」とか「イチゴに例えるなんてキモい」という批判もあったが、「会話のキャッチボール」とか「井の中の蛙」など、比喩にはさまざまなことばが使われる。特に侮蔑的な意味で用いられてもいないだろうし、当人が言われたわけでもないのに騒ぐのは的外れに思えた。

 

 そして、若いうちの人間関係が「練習」になるのは致し方無い部分はあると思う。

 もちろん、だからといって相手を邪険に扱って良いわけではないが、これは大学生になる18歳だけでなく、幼稚園や小学生の子でも同種のことは言えるだろう。

「仲良しなお友達を作りたいのなら、自分から話しかけてみよう。まずは自分と似た雰囲気の子や、話しかけやすそうな雰囲気の子に声をかけてみたら?」という助言はなんらおかしなものではないと思うし、なんなら「スクールカースト」なんて言葉もあるように、学校ではだいたい似た雰囲気の者同士でつるむことが多いのではないだろうか。

 異性と仲良くなりたい場合でも、いきなりコミュニティの人気者に話しかけることを目指すよりは、自分と似たタイプに見える人との交流を試みるというのはまっとうなアドバイスだと思う。

 (キャバクラや性風俗店キャストとの交流を勧めるコメントもあったが、それらはあくまでも「お金との対価」としてのコミュニケーションであり、日常生活のコミュニケーションとは大きく異なるものではないだろうか)

 

トラウマでの批判は悪いこと?

 批判的な意見の中には、「自分自身が学生時代、そのような男性に寄ってこられて迷惑だった」という女性のものも複数あった。

 過去のトラウマを思い出したひとは、それはそれで気の毒ではある。

 ただ、この相談者から実際に話しかけられて困ったわけでもないひとが「こういう動機で話しかけてくる人は不愉快なものに決まっている」と事前に推測でケチをつけ、コミュニケーションのはじまりを腐すこともないのでは、と思う。女性慣れしていない男性を、まるで犯罪者予備軍かのように扱うのも大概失礼な意見ではないだろうか。

 そもそも恋愛であれ友情であれ、人間同士である以上、どこかで摩擦が起きることはあるだろう。気乗りしない誘いは断っていいし、相手の言動で不快になったらそれを伝えればよい。傷つけてしまったらまずは謝る。よっぽどのことでない限り、取り返しのつかないことにはならないだろう。

 雇用主と従業員、教職員と学生……という権力勾配のある関係ならともかく(権力勾配の使い方これで合ってる?)、クラスやサークルのコミュニティ間なら、私的なアプローチそのものがただちにハラスメントと直結することもない。 

 

男女逆だったら?

 以前、話題になった結婚相談所ブログで、女性向けの婚活記事にこのようなものがあった。

ameblo.jp

 この記事も、「失敗してもいい相手で練習」というところに引っかかっていたひともいるようだが、

「自分の求めるスペックの相手ではないからと無碍に断るより、会ってみたら意外といい人で成婚するかも」という言葉で動かない人向けのマジックワードでは……というコメントに納得したひとも多いようだ。

 

 そもそもコミュニケーションは、すべてが「練習」であり「本番」でもあると思う。

 それこそ演劇のように練習と本番が明確に分かれているものではない。なので、「練習」が、ただちに「失礼なこと」になるとはあまり思えなかった。

 

 私も含め、「大人になってからの交友関係のほうが、子どものころよりも楽しい」というひとは多い。これは、大人になってからのほうが行動範囲を広げやすいこと・付き合いを選びやすいことももちろんあるとは思うが、そうやって人間関係を「選ぶ」ことも含め、「場数を踏んできたので、子どもの頃よりもコミュニケーションがこなれてきた」という部分も大きいのではないかと思っている。結果として、若いころの人間関係のあれこれが「練習になっていた」ということもあるだろう。

 

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順序付けるのが悪いこと?

 そもそも、どんな人間関係も多かれ少なかれ序列はつきものだろう。人気ランキングとかそういう話でなくても、大親友もいれば顔見知り程度の関係もいて、関係に濃淡がある人間関係が一般的だ。

 現在仲が良いわけではないひとに対しても、「憧れの存在で恐れ多い」「ちょっと気になる、仲良くなってみたい」「まぁ別に、悪い印象はない」など、いろんなタイプのひとがいるだろう。

「あなたは序列でいうとn番目だから話しかけた」なんてさすがに露骨に言うのは失礼だが、そんな言い回しをする人はそうそういないだろう(し、言われた時点で「それは失礼だよ」と伝えたり、怒れば良い)。

 自身の手の内を相手に伝えてしまうのは失礼になりかねないが、コミュニケーション戦略を考える段階で、順序付けやカテゴリ分けが特段批判されるべきことではないだろう。その表出にはもちろん配慮は必要ではあるが、「いちばんすてきだと思える人以外には一切アプローチしてはいけない。失礼だ」となると……そもそも、私も含めおそらく大半のひとがあぶれてしまうのではないだろうか……。

 

「彼女を作りたい」という動機が問題?

 そもそもどのような関係であれ、人間関係は多かれ少なかれ打算を含むものだと思う。「教室でひとりで浮きたくない」「悩みを相談しあえるママ友が欲しい」「趣味友達を増やして情報交換したい」などの事例は枚挙に暇がないだろう。

「本当に仲良くなりたい人というわけではないのに、一緒にいようとするのは失礼だ」「相談相手や情報交換に、専門家でない人間を利用するな」なんてことを言う人もまずいない。

 また、ボランティア活動やサークル活動などでも「内申書が有利になるから」「就活でアピールできる」「恋人が欲しいので出会いの幅を広げるため」なんて動機で入る人も山ほどいるだろう。むろん、その動機を関係者に露骨にアピールしたら嫌がられることもあるだろうし、トラブルも起こりかねないが、内心はどうであれ、活動をしっかり行えば別に良いのではないだろうか。

 

 また、性愛絡みの目的だけがただちに問題視されるべきだとは思わない。人間関係のトラブルは、いじめやパワハラ、金銭の貸し借り、ネットワークビジネス新興宗教への勧誘等さまざまなことが起こりうる。「いじめに繋がりかねないので、学校の同級生に声をかけることはNG」なんてことを言う人もいないだろう。

 

「人間扱いしていない」のが問題?

 この相談に対する批判的な意見の中で、

"「女子との付き合い方がわからない」ってことは「人間との付き合い方がわからない」ってことでしかない"

というものがあった。

 これは、「女子」の部分を「子ども」「お年寄り」「外国人」など、ほか属性を入れても成立しそうな話ではある。じぶんとは異なる要素の多い他者との交流に戸惑うことはだれしもあるだろう。

「特別扱いする必要はない」「特別扱いされると、居心地が悪い」という主張はわからなくもない。また、女性を過度に神聖化することも女性蔑視をすることも、どちらも同じ「人間としてみていない」ことになるから差別的だ……という意見もわかる。

 ただ、それを「異質な他者との付き合い方がわからないということは、人間との付き合い方がわからないということだろう」と矮小化してしまうのは、問題を見失い、相談者にとっても相手の側に立ってもなんの役にも立たない表現だな……と思ってしまった。

 また、逆説的ではあるが、ある程度交流が深まっていくことで「異質な他者」たちも「ひとりの人間」としての側面が見えてくる、という部分があるだろう。その点からも「まずは人間扱いしろ」という主張は無意味だなと思った。

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そもそもコミュニケーションに正解はない

 私が今回いちばん言いたかったのはこれだ。昨今のネットではどうにも「お行儀のいい、政治的に正しいコミュニケーション」のみ行われるべきという風潮が強くなってきているが、これには異を唱えたい。

 人間関係、特に恋愛に関しては、いわゆる「正しい」振る舞いが魅力的に働くとも限らない。傍若無人な美少女に振り回されたり、強引な俺様イケメンに迫られたり……というシチュエーションを肯定的に描いたフィクションは枚挙に暇がないし、あなただけを「特別扱い」するからこそ、ときめいたり、恋愛として成立する……という部分は大きいだろう。モノアモリー関係では特に大きいのではないだろうか。正しい振る舞いにしかひとがときめかないのならば、「不倫」など存在しないはずだ。

 もちろん個人の好みとしてはさまざまだとは思うが、人間性と恋愛市場での人気が必ずしも一致しないことはわかっているひとも多いのではないだろうか。そこを無視して正しい振る舞いをすべきだと主張するのは、欺瞞にも思える。

 

 もちろん、広義の女性差別はまだまだ残っているからこそ、「正しい」振る舞いがもっと啓発されるべき、まずはそちらが先……という考えにも一理ある。 ただ、こちらがいきすぎると「ナンパや痴漢を喜ぶ女性は頭がおかしい」などの、別方向の抑圧に繋がる可能性も危惧している。欲望のあり方はそう単純な話でもない。それこそ、昨今叫ばれている「多様性」が、もっとも複雑に交わってくる領域だと思っている。

 このあたりの話を、単純な男女論や「正しさ」の枠組みに押し込めようとすることこそが、この相談にまつわる話題の中で私がいちばん引っかかったことだった。みんなわかってるよね、欲望ってそんな単純な話じゃないって。そりゃ、単純化したほうがわかりやすいけど。それで救われるひとも多いけど。

 差別的な振る舞いと欲望について、世の中も個人もどう折り合いをつければいいのかはわからない。ここに関しては投げっぱなしでとりあえず終わらせてもらう。

 

 最後に、相談者のポンプ君、大学入学おめでとう。

 

恋愛王 (角川文庫)

恋愛王 (角川文庫)

 

  鴻上氏の恋愛本といえば、私はこの本を10年前、大学時代に読んだ。

 本は手元にないし、内容は覚えていないけれど、とても面白い本だったように記憶している。当時ブログに書いた感想を抜粋。

まさに「良質な恋愛エッセイ」。著者の、多様な価値観を受け入れる姿勢がとてもあたたかく、じんときた。そして村上春樹を読みたくなる。読み返すたびに違った感想を抱けそうだ。鴻上尚史ってほんとうに小説家なんだなぁ、ということをひしひしと感じた1冊。まさに、著者と「対話」する感覚で読めた。つかこうへいや野田秀樹といった劇脚本家の名前が出てきたのも嬉しかったし、成井豊のとある劇の元ネタのSF小説が紹介されていてちょっとびっくり。この本は現代にも通用する内容も多い反面、時代を感じさせるエピソードや恋愛観の変化なども読みとれる。