これからも君と話をしよう

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この本がすごい!2023年 ノンフィクション編

 昨年2023年は、2021年に次ぐ「友人の出版」の当たり年で、たくさんの友人の本を読む機会に恵まれました。中には、夫婦で同じタイミングで出版が決まった人たちも!

 そのほかにもたくさんの本を読んで、良かった本をなかなか絞りきれなかったので、20冊ほど紹介することにしちゃいます!

20位 喪の日記

 この本は、「本の読める店 fuzukue」というブックカフェで見つけて読みました。

(この「fuzukue」もとてもユニークなシステムで素敵なお店だったんですが、これについて書くとそれだけで1記事分になってしまうので割愛)

 この本は、哲学者のロラン・バルトが、母親を亡くした時の心情を綴った日記。

 まるで、詩集や合唱曲の歌詞を読んでいるような気持ちになった1冊。学術書の出版社として有名な、みすず書房の本といえど、日記・散文なので比較的短時間で読めてしまいました。

 はたして原文はどのようなものだったのかが気になるフレーズがいくつもありました。私も、母が重い病気となり、余命宣告されたときのことを思い出してしまったり、自殺未遂をしている友人のことも脳裏にチラついたりしてしまったりも。

 解説の、この日記が公開されるに至った経緯も、興味深く読みました。

19位 不倫―実証分析が示す全貌

「不倫」そのものを考察した本というより、「不倫」をテーマに行った学術調査の手法そこから読み取れる内容の考察その限界についての本でした。

 ゴシップ的なテーマであり、学問的な読み応えもある、非常に示唆に富む一冊。どういう人が不倫をするのか、どういう理由で不倫をするのか等、よく言われている俗説を裏付けるような実験結果もあれば、意外な結果だったものや、今後の調査に期待したいものも。個人的には、著者たちが私と年が近いことや、著者たちの本来の専門の内容は不倫とは全く関係ない学問分野だったことにちょっと驚いてしまいました。

 また、姦通罪の歴史についても、興味深かったです。

18位 敗戦と赤線

 大学時代に地理学専攻でお世話になった加藤先生の本、ずいぶん前の本ですが、ようやく読みました。

 夜の店についても地理やまちづくりについてもどちらも興味があるので関心を持って読んだものの、戦後の歴史の話が中心で、なかなか入り込めなかった……というのが正直なところでした。赤線と青線、私娼街と遊郭の違いなど色々出てきたものの、どうにも、その違いを見出すことの意味を感じられず……。織田作之助の作品が出てきたのはニヤリとしてしまったりも。

 あと、9年前に墨俣に行ったことがあるので、そこが花街だったというくだりも興味深く読めました。また、金津園や、沖縄の歓楽街の歴史については面白く読みました。

17位 すごいゴミのはなし ゴミ清掃員、10年間やってみた。

 Xでも有名な、ゴミ清掃員をしているお笑い芸人・マシンガンズ滝沢さんの本。

 子ども向けの本ということもあり、平易な言葉で書かれていて読みやすく面白かったです。仕事柄、衛生環境についての内容は気になるので読んでみました。

 ゴミの臭いは水分からくるということ、資源をアジアに輸出しているということ、最終処分場からのゴミ汚染水や下水についての話なんかは知らなかったかも。

 本の中で、「ゴミが日本一少ない都道府県」として挙げられていた県は「物持ちがいい県」ということも聞いたことがあったので納得。終盤の「ゴミとは何だ?」という問いかけとそれを巡るエピソード、そして著者なりの答えも考えさせられました。

 滝沢さんの本は『日本全国 ゴミ清掃員とゴミのちょっといい話』も読んだのですが、こちらは、日本全国の自治体のゴミにまつわる良い取り組みの事例集。こちらも面白かったです。

16位 クマが肥満で悩んでます 動物園のヒミツ教えます

 書店の、動物園関係の本の棚で見かけて面白そうだと思い、電子版で購入しました。

 ゆるいタッチのイラストにほどよいユーモアもあり、とても面白かったです。

 広告業界ではエンゲージメントという言葉があったけど、動物園業界では「エンリッチメント」という考え方があるということを知れたの、勉強になりました。

 動物園の情報もたくさんあって良かったです。何より、首都圏中心のメディア情報が多い中、この本は西日本の動物園を多く紹介しているのも嬉しいです。

 タイトルは、人生相談の名著『オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)』を思い出させる感じで、ニヤリとできました(しかし個人的にはあまりしっくりこないタイトルでしたが、こういうのが売れやすいのかな?)。

15位 詩を書くってどんなこと?

 なかなか感想がまとまらなかった一冊。そもそも、何をきっかけにこの本を買ったのかもよく覚えていません。

 詩集ではなく「詩についての本」は、2017年に読んだ『今を生きるための現代詩 (講談社現代新書)』以来かも知れません。

 感想も書いています↓

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 中学生との質問のやりとり、というカタチで「詩とは何か」「詩を書くとはどのようなことか」「詩集を編むとは」「詩を贈ることとは」といった内容が展開されていきます。

 詩人のエピソードや、詩の引用もいろいろ出てきて、知らない世界をいろいろ垣間見ることができました。子ども向けに書かれた本ということもあり、全体的に抽象的で、問いも比喩も「若い人が、多様な解釈で読めるようになっている」ように感じました。なんというか、この本そのものが詩のようにも思えました。

14位 社会を変えるスタートアップ

 タイトルと帯に惹かれて手に取ったところ、著者も同い年ということもあり、親近感を持って購入しました。

 障害者雇用の歴史や国ごとの特徴、著者の経歴とスタートアップ創業エッセイ、ESG投資やインパクト投資の話……など、内容は多岐にわたっていたものの、ややとっちらかった印象がありました。なんというか、学術書とビジネス書がくっついたような感じです。

 生きづらさの問題や社会起業の話というより、この著者の事業についての説明の概要・ダイジェスト版、という位置付けの本のように受け取りました。期待していた内容とは違ったけれど、それなりに読み応えがありました。

 著者の部活のエピソードからは、この人ならそもそも何をやっても成功するだろうな、という印象を受けました。

13位 〈性〉なる家族

 アダルトチルドレンや「生きづらさ」に関する著作が有名な、臨床心理士信田さよ子先生の著書。この本は、著者の臨床経験から基づいた論考集となっています。1編が短いので、重い内容が出てくる割には読み進めやすかったです。

「断罪すること」が苦手というくだりには共感したり慎重な姿勢に好感が持てましたし、母親のワンオペ育児と父親の性虐待についての考察も一理あると思えました。また、母から息子への性虐待についてや、「近親相姦」という言葉に潜むもの、「性虐待加害者はペドフィリアなのか?」という問いについての著者の答え、「本能」を「原子力」に喩える違和感、子どもができることは「中動態」であるということ、日本では家族による殺人は増えていることについてなどなど、私の関心を掻き立てるエピソードも多数出てきました。

「これは本当にそうなんだろうか?」と思える部分もないわけではないものの、それを差し引いても、多数の臨床経験から見えてきた様子には学べるところが多々あると思いました。

12位 仁義の報復

 1993年頃に発覚した「埼玉愛犬家殺人事件」で殺されたヤクザの、「親分」にあたる元ヤクザの人が書いた本。

 6年ほど前、著者のインタビュー記事を読みこの本を買って半分ほど読んでいたものの、ヤクザのしきたりや容疑者たちへの悪口に疲れて読むのを止めていました。

 先日、久々にこの事件を思い出す機会があったのをきっかけに一気読み。途中からは、敵討ちを企むヤクザものとしてハラハラしながら読むものの、どうなるかの結果は知っているので切なくなりました。

 関根はバイト代を払わない、バイトの少女たちに手を出す、犬たちへの虐待なども行っていたらしいですが、他の事件があまりにもひどすぎて、これらが霞んで見えてしまいます。

 また、この本からは、秩父やサンカの歴史について垣間見ることができたのも興味深かったです。

 

 ……ちなみに関係ありませんが、事件があったペットショップ跡地に昨年、行ってきました。

 

11位 射精責任

 衝撃的なタイトルで話題になっていた本。正直、本編より、齋藤氏による解説が多様な問題点についてまとめてあり読み応えがありました。注釈で参考文献が多々挙げられているのも良いなと思いました。

 本編で一番驚いたのは、膣外射精を避妊として推奨していたこと。私が中学時代に読んだ性教育の本では「ガマン汁にも精子はいるので、いわゆる外出し、膣外射精は避妊にならない」と書かれていたので。(ただ、この『射精責任』でも「しないよりは効果的」くらいの扱いではあるようでした)

 また、子育ての支援が不足していることについても触れられており、そこは米国でも日本でも変わらないんだな、と思いました。そして、本文の中にあった「中絶できる州に住んでいるか」という言葉が出てきたところも、日本にはない視点で印象深かったです。

 

10位 教育大国シンガポール

 友人主催の、著者を交えて行うオンライン読書会の課題図書になったので読みました。

 子どももおらず、シンガポールに縁はない私でも、十分興味深く読めました。

 受験などの競争についてのくだりよりも、メイドを雇うこと移民受け入れ差別についての考え方についてが印象深く、マイクロアグレッションについても再考させられました。「○○人のメイドは賢いから気をつけろ。彼女たちは知恵がついちゃってるから、何をするかわからない」と、「賢い、知恵がある」ことをネガティブに話す人に気持ち悪さを覚えたという著者のエピソードは、私にも衝撃的でした。

 また、「キッズライン事件」のくだりも考えさせられました。営利企業と福祉の相性の悪さや、子どもを守るためにどのようなシステムであるべきか、などなど……。

 また、本書を通して伝わってくる、著者の「子どもを差別の加害者にしたくない」という真摯な姿勢には、とても好感が持てました。

9位 大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。

 友人がFacebookで紹介しており、テーマが面白そうだと思って読んでみました。

 著者の実体験のルポかと思ったら、そういうわけではなさそう?

 私は主人公と年齢は近いものの、年収があまりにも違うことにやや落ち込んでしまいました。これはどこまで実話なのかは分かりませんが、それだけの年収があってもこんなにもアプリ婚活は男性は苦戦するのか……と思ってしまいました。

 本書に出てくる「アクセス数を上げるための行動」なんかは、Webマーケティングもあり、その点も面白く読めました。

 ラストはどうなるかと思ったら……そうきたか。

 終わり方といい、この本は「きれいな恋愛工学」という印象を受けました。

 ちなみに私は、「恋愛工学」本の感想も、過去にブログに書いてます。

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8位 ことばの発達の謎を解く

言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書)』が話題になった、言語発達を専門とする心理学者・今井むつみ先生の本。『言語の本質』を絶賛するツイートがバスっていたとき、私も積読していたものがあったのを思い出し、読んでみることにしました。

 子どもがことばを推測して学んでいくさまは、並行して読んでいた『ブランダム 推論主義の哲学』とも通じるものを感じました。

「チモル」などの造語が出てくるくだりは、村田沙耶香「変容」という小説に出てくる「なもんでいる」という造語のことを思い出します。

 実験内容も、割と納得感あるものが多かったです。思えば、「言葉の推測」という点では、読めない漢字や英単語のときも、へんとつくりや単語の構造で推測するのは私もやっていました。

 ちなみに、村田沙耶香「変容」が収録されている短編集『丸の内魔法少女ミラクリーナ』についての感想、過去のブログで書いてます。

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7位 料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。

 2年ほど前、同世代の女性の文筆家の人が紹介していて興味を持ち購入。彼女は料理が好きではないらしいので、この著者もそうなのかな、と思いながら読み始めたけれどそうではなく、著者はむしろ料理や生活の営みを楽しんでいる人でした。

「手抜きの料理、という割に凝ってるな」と思ったら、著者は阪神淡路大震災のときに高校生だったそうなので、世代の違いかもしれません。

 そして、うつの著者を支える旦那様はまさに、卑近な言い方をすると「理解のある彼くん」だなぁ、と皮肉なしに思いました。周囲の人に対する反省や感謝も丁寧で好感が持てます。また、フェミニズム料理研究家の比較についても、興味深かったです。

6位 朱里。

 2年ほど前から友人に誘われてプロレスを観にいくようになり、昨年は女子プロレス団体「スターダム」の、ファンブックまで買ってしまいました。

 こちらは、スターダムの朱里選手のエッセイ。試合を何度か観て彼女を知り、ファンブックで私と同い年だということを知って親近感が湧きました。同い年なので、小学生の頃に流行っていた芸能人得意科目のエピソードは特に面白く読めました。

 出会い系の「スタービーチ」は私も高校生頃に存在を知ったけど、中学生でそういうところを覗いてた子は首都圏では多かったのかな? なんてことが、読んでいて気になったりもしました(笑)。

 プロレスと格闘技、私の中では同じようなものかと思ってたけど、だいぶ違うものだということをこの本を読んで実感。そして、朱里はすごく努力家で真面目なんだな、と胸を打たれました。お母様の件は胸が痛くなります。

 この本を読んでからは、スターダムは観に行けていないのですが、またスターダムを観る機会があれば、次は朱里により注目したいと思いました。

5位 水道を救え ―AIベンチャー「フラクタ」の挑戦―

 ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、私は下水道に関連する土木技術の情報誌の仕事をしており、上水道についての情報も見聞きするので、この本は大変興味深く読みました。

「コンセッション」については、この本を読む半年前に私も調べていたところなので、ニヤリとできた部分も多々ありました。また、上下水道の本、というと、自治体の上下水道課など、お役所でお堅いイメージがあるところですが、この本は「公共インフラのメンテナンス」の話としてだけでなく、「さまざまなビジネスを手掛けたベンチャー社長の体験記」としても、とても面白かったです。

 アメリカやイギリスのマインドの違いは、特に面白く読めました。そして、ビジネスモデルや人口の密集度によるコストの違いも勉強になります。

 余談ですが、私の勤め先で手掛ける某雑誌でも、このフラクタのプロダクトを(簡易的にではありますが)紹介してる記事が載ったことがあり、編集作業中はニヤニヤしてしまいました(笑)。

 あと、この本では、上下水道の工事を意味する「敷設(ふせつ)」という単語は「布設」表記で統一していますが、私のところでは「敷設」で統一しているので、その違いにも面白さを感じました。

4位 ロンドンアドベンチャー通信

 2012年頃からTwitterを通じて仲良くなった同い年の友人・スギモトマユちゃんの初の単行本!

 ワーホリのビザの取り方や、ロンドンの文化や気候について、分かりやすく可愛い漫画でとても読みやすく読み応えもありました。

 映画館の特徴や文化の違いなど、彼女の好きなものならではの記述も充実していて面白かったです。

 また、英語など語学の学び方に関しても参考になり、ロンドンに行かない人にも役立ちそう。(そういえば、今井むつみ先生の本を知ったのはマユちゃんの投稿がきっかけでした)

 私も高校の修学旅行でロンドンに行ったことはあるものの、もっと勉強してからイギリスに行くべきだったな、と今更思ったりもしてしまいました。

 最後に載っている、ハンガリーの医学部のエピソードは、noteで公開されているのを読んだ時からとても好きです。

note.com

3位 千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話

 洋画好きの私の彼氏の繋がりで紹介してもらった鉄腸さんが出版したということで読んでみました。

 病気のため引きこもりがちで、本を読んだり映画を観たりするしかなかったけれど、ひょんなことからルーマニアの作品に魅了されルーマニア語を学び、ルーマニアどころか海外に行ったことがないのに現地で作家になってしまった……という人生をユーモア混じりに綴ったエッセイ。

 読みやすい、まるで友達としゃべっているかのような文体で一気に読めてしまいますが、中身は濃厚。語学、文学、映画、フェミニズム、病気との付き合い方、SNSの活用法など話題が多岐にわたっていて読み応え抜群です。

 漫画「BLEACH」など馴染み深いタイトルも出てきて楽しく読めます。

 個人的に驚いたのは、エリアーデの本が紹介されていたこと。『聖と俗 〈新装版〉: 宗教的なるものの本質について (叢書・ウニベルシタス 14)』を10年近く前の読書会で読んだことがあり、そこくらいでしか見たことない名前だったので、まさかこんなところで名前を見るとは、と驚きました。

 

 ここ数年、本を出した友人がとても増えましたが、一番ブレイクしたのは鉄腸さんだろう……と友人たちのあいだでは言われていたりします。

nikkan-spa.jp

2位 日本一長く服役した男

 この本の著者の一人の杉本宙矢くんは、私とは2013年からの友人。Ustreamを使ったネット番組作りのコミュニティで知り合い、現在はNHK記者としてさまざまな記事を手がけています。

 そして、先ほど紹介した『ロンドンアドベンチャー通信』の著者のマユちゃんとは夫婦です。夫婦で同じ年に商業出版デビューした友人って初めてかもしれない。(マユちゃんのコミックエッセイにもイラストで宙矢くんは出てきており、こちらの本の謝辞にもマユちゃんの名前があり、どちらも読んでいてニヤニヤしてしまいました)

 この本はタイトル通り、日本で一番長く服役した人が出所してからの様子を取材したもの。友人の著書ということで読み始めたものの、純粋に内容に惹き込まれ一気読みしてしまいました。服役や懲罰そのものというより、メディアのあり方について多方面から再考させられました。

 また、私は個人的にも、いろいろな事件について調べることが好きなので、プロのジャーナリストはどのような内容を手掛かりにどのような点に留意して取材をしているのか、というところも勉強になりました。本のあちこちに大量の付箋を貼ってしまいました。

 終盤には、思わず涙。61年もの月日で流れ落ちるもの、人間の認知機能、被害者遺族と加害者をそれぞれめぐる取材……。「人生って何だろうな」ということに、読んでいて随所で向き合わされました。

1位 人生はそれでも続く

 ものすごく、ものすごく好きなタイプの本でした。

 こちらは、2020年から始まった読売新聞の連載「あれから」の内容をまとめたもの。「昔、あの事件で話題になった人は今、どうしているのか」を取材した内容。

 近年話題になった人だと、「王子様」と名付けられた男性が改名したエピソードなどが有名かと思います。

www.yomiuri.co.jp

 連載記事のときにネットで読んでいた記事もありましたが、想像以上に私にドンピシャな内容でした。

 誤解を恐れずに言えば、私はいろんな事件を調べるのも好きで、人生を「物語」として捉えることも好き、社会問題を考察するのも好き、群像劇作品大好きな私にとってはもう、この本はかなり刺さりました。

 近い本としては、同じ新潮新書の『ヤバい選挙(新潮新書)』を彷彿とさせる部分もあります。(この本についてもブログで紹介済みです)

 巻末の、記者のプロフィールの書き方も、本編と絡めた、落語のマクラのような内容でとてもツボでした。また、本文中の写真の配置や記事の締め方も、とてもとても好きです。

 あと関係ありませんが、私が作った曲にも「これから」というものがあるので、「あれから」という連載タイトルも好きだったりします。