これからも君と話をしよう

一度はここから離れたけれど、やっぱりいろんな話がしたい。

退職エントリ、あるいは逡巡の記録

 最終出社日は4月26日になった。金曜日。平成最後の平日だ。

 
 会議が長引き、思ったより会社を出る時間が遅くなってしまった。友人たちとの約束には間に合うだろうか。慌ただしい最終日だ。

 でも、それでいい。ひとりでいたら感傷的な気持ちになってしまう。

 別に、職場が嫌になって辞めるわけではない。これまで、学校や習い事のほとんどは、引っ越しのような「やむを得ない事情」で辞めていた。自主的な都合でなにかを辞めることは、どうにもまだ慣れない。

 

 4月1日月曜日の午前中、という、まるでウソなのかホントの決意なのかわからないようなタイミングで退職願を出した。

 その直後に新元号が発表された。令和。そんな、新しいスタートを切るにはぴったりのタイミングでの決断だった。

 

 私はこれまでも何度か、転職活動を始めては止める……ということを繰り返していた。

 2013年春に就職し、事務職に就いて早数年。2016年頃からは、ほかの業務にも挑戦したいと常々思っていた。

 ただ、いまの職場を辞めたい切羽詰まった理由もなかったので、転職活動へのモチベーションもあまり持続しなかった。でも、それで特に困ったこともなかった。むしろ現職は業務環境としては比較的恵まれていたこともあり、そのまま仕事を続けていた。

 

 でも、2019年春。とうとう辞めることを決意した。私自身も30歳になり、未経験から新しい仕事を始める場合での、ある種のラストチャンスになると思ったからだ。

 定時で帰れる事務職のメリットももう十分受け、学ぶべきことは学べたと思っている。あまり、直接的な売上の貢献はできなかったかもしれない。でも、そんな状態でこのままズルズルと続けてしまうことは、私にとっても職場にとってもマイナスになってしまうと思った。

 

 転職活動も始めないまま、つまり、次の職場の内定ももらっていないまま辞めることを決めた。私にはとても勇気が要る決断だった。 


 ただ、私は2013年に正社員として就職してから、一度も転職をしていない。

 まわりの友達には転職や独立経験があるひとが多いのため(仲のいい子に限って言えばほぼ100パーセント。例外は公務員や研究職の友人くらいか)、他社で仕事をしたことがないことにコンプレックスすら抱いていた。

 でも、転職活動に関して言うなら、ひとつの会社で長く勤め、転職未経験であることは決して不利になる要素ではないということも感じていた。そのため、たとえ次の仕事が決まらないまま辞めても、そのまま何ヶ月もずっと仕事が見つからない……ということはないだろう、と踏んでいた。

 
 私は新卒での就職活動は、なかなかうまくいかなかった。そのこともあり、次の転職もうまくいかなかったらどうしよう、と不安な部分もあった。

 ただ、新卒時に就活がうまくいかなかったことについては、その理由や反省点はじゅうぶん承知しているつもりだ。(このことについて書くとなると、かなり長く重い内容となるので機会があったら後日書く)

 そもそも、私が新卒での就活をしていた2011〜2012年頃とは経済情勢も異なれば、私自身の気持ちの持ち方としても、頼れる相手や知識の有無も大きく違う。かつて就活がうまくいかなかったから……といって、その失敗をいつまでも引きずる必要はない、とやがて考えるようになった。
 

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 4月中旬以降、腰を据えて転職活動をしてみて気づいたことは、いくつもあった。

 

 まず最初のうちは、なかなか声が出なかった。面接での応対に戸惑ってしまうことも多かった。

 普段の仕事は庶務業務が中心で、あまり外部の人と話す仕事でもないためか、人とうまく話せなくなっていた。そんな自分に自分でも驚いた。家族や友人とはそれなりに会話もしていたはずだったんだけどな。なぜうまく声が出ないんだ。リハビリのために、久しぶりにツイキャスやネット配信やろうかと考えたくらい。しなかったけど。

 

 転職活動には、Wantedly、LiBzCAREER、マイナビ転職、リクナビNEXTを使った。

 転職エージェントは使わないことにした。これまでの転職活動でも何度か利用したことがあったが、企業への興味が追いついていないまま応募することになってしまったり、私の興味とあまり一致しないタイプの求人を紹介されることも多かったため、じぶんのペースで転職活動をするためには、当分は一人でやってみようと思った。

 

 自分自身がこれまでプライベートでやってきた活動や、これからやっていきたいこと(仕事、プライベート問わず……というか私はここをあまり分けたくない)を棚卸ししてみた結果、私は、「人と情報の適切なマッチングをすること」への関心が高いことに気づいた。

 その上で転職活動をしてみる場合、「ITエンジニア」(プラットフォーム作りに携われる)、「人材・採用関係」(文字通り、人と仕事のマッチングに直接関われる)、「営業職」(人や企業と、商材のマッチングができる)などとの相性が良いのではないかとまず考えた。また、前職とあまり変わらないような事務職を続けることも選択肢として考えた。

 

 いくつかの面接を受けてみて、「ITエンジニア」は、少なくとも今回の転職で目指すべきところではないことがわかった。インフラエンジニアにしても、Web開発系にしても、どちらにしても今の私が目指す方向性とは異なりそうだった。

 そして、事務職、営業事務などの事務寄りの仕事も、転職サイト経由でのオファーは多かったものの、いざ面接となると落ちることが多かった。

 一方、人材や営業に関する仕事は、いくつかの面接を通過することができた。

 そして4月中旬から転職活動を始めた結果、5月22日に通信系企業の営業職での内定をいただくことができた。

 

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 未経験からのスタートになるから、給料が減ることは覚悟していた。だが今回、幸いなことに前職とあまり変わらない待遇からのスタートになりそうだ。

 そのかわり、年に何度か土曜出勤があるという。ただ、それも短時間であるため、負担としてはそれほど大きくはなさそうではある。

 また、職場も前職より自宅から近いのも嬉しい(前職とは違い、電車の乗り換えが必要とはなるが、通勤時間は約半分になる)。

 そして、将来的に独立を視野に入れている場合は、副業の許可や起業支援も受けることができるそうだ。キャリアの道をひとつに制限したくないので、その点もとてもありがたい。

 


 前職は、オフィスの建物がドラマの撮影に使われるほどキレイなところであり(現在放送中の「わたし、定時で帰ります。」)、通勤には複数路線も使え、周囲に飲食店も充実していた。

 

 次のお仕事では、業務のほか、どのような点に楽しみを見出せるだろうか。どのような人々との出会いがあるのだろうか。私の世界はどのように広がっていくのだろうか。

 これから始まる、夏からの私の新たなドラマに期待していきたい。