今さら感ありますが、この半年間の間に読んだ小説の、読んで印象的だった本ランキングを発表したいと思います。
今回は同じ作家の本が多めだったかな。
6位 探偵は女手ひとつ
確か、電子書籍のセールで安くなっていたので購入してみました。連作短編ミステリは好きなので。
この本を読んでいたのと同時期に別の探偵モノを読んでいたので、それに比べると、これはやや今ひとつに思えてしまいました。山形の文化についてやアングラな話も面白いけれど、地の文での言葉遣いがちょっと下品だな、と思えてしまうところが多く、引っ掛かってしまいました。
売春や万引きなど、不良っぽい犯罪きっかけの話が多く、ネタがやや一辺倒に思えたのと、(多少言葉は選んでるけど)子どもの前でも事件の話を色々していたり、引っかかる描写も多かったです。
「探偵モノ」ではあるけど推理要素はほとんどなく、地道なコミュニケーションで事件解決という感じなのも、ちょっと期待と違ったかな、という感じ。
5位 天然石ねこまち堂は坂の上
連作短編集も天然石も好きなので読んでみました。ちょうど私もこの本を読む前日、作中に出てくるのと同じ、アイオライトのブレスレットを購入したばかり。
坂道や猫が印象的だったり「にしうみ町」なんて地名があるところから、もしかして西海町……? 長崎が舞台? 作者は長崎出身? と思ってしまいましたが、調べてみる限り少なくとも出身地は違いそう。
この本が出ているレーベルは、いわゆるラノベよりも少し上の世代向けの「メディアワークス文庫」ですが、主人公も女子高生だし、少女漫画みたいな設定やシーンも多いから、もう少し低年齢のレーベルのほうが合いそうな気もしました。
集英社文庫の「思い出のとき修理します」とも近いものを少し感じました。
4位 そして旅にいる
15年前から大好きな加藤千恵さんの作品。この本は「旅」をテーマにした連作短編ですが、千葉動物公園に行く話なんかもありました。
8つの作品が収録されていて、主人公たちの行き先はそれぞれハワイ、千葉、香港、北海道、大阪、伊豆、NZ、ミャンマー。
特に印象的だった作品は、大学生の主人公が、大阪出身の憧れの人と同じものを見てみたくて「太陽の塔」に行く「神様に会いに行く」。主人公が憧れている「りょうさん」の関西弁のノリがすごくリアルというか。たぶん私も主人公と同じで、りょうさんとは合わないと思うけれど目が離せなくなってしまうだろうな、そんなふうに共感しながら読みました。加藤千恵作品は食べ物の描写に定評がありますが、私は彼女の描く「若者ノリ」というか、飲み会での会話がとても好きなんですよね。実際にコミュニケーション力も高い人なんだろうな、なんて想像もしてしまいます。
あとは、女子高生2人が卒業旅行で伊豆に行く「パノラマパーク パノラマガール」。2人それぞれの視点から話が進んでいきます。これは旅行そのものというよりもその前後のエピソードが印象深い感じ。読んでいて途中で「この子って、もしかして……」と思いながら読み、その通りだったのでちょっぴり切ない部分も。
3位 蜜の残り
こちらも加藤千恵作品。ずいぶん前に買って積読していました。薄い文庫本ですが、中身はなかなか濃厚。いつもよりもかなり性描写多めの加藤千恵、という感じです。
性行為のシーン自体はこれまでの作品でも多々ありましたが、この本はその描写が特に官能的。主人公もお相手も、中高生だったり同性だったり親族だったり、そのシチュエーションもバリエーションもさまざま。先が見えない、ほろ苦いカタチで終わるものも多く、甘く終わらせないのがやっぱり好きだなぁ、と改めて思います。
2位 世界の望む静謐
数年前に読んで面白かった『皇帝と拳銃と』の続編が出たということで買ってみました。やっぱりあまりにも私好みで一気読み。
犯人の視点から事件が暴かれていく、いわゆる「叙述トリック」の連作短編集。倉知淳作品は、被害者は「殺されても仕方ない」ような奴が多いのも好きなところです。
特に印象深かったのは、1話目の、大人気の漫画家が殺される作品。作中に出てくるこの作品ってあの国民的なアニメのパロディだよね……とニヤリとした部分も。終盤は「トロッコ問題」を感じる部分もあったのも私好みです。
今回は、漫画編集、芸能界、美大予備校など華やかな世界を舞台にしたものが多く、そういう点でも楽しめました。
あとがきを読んで、初めて、この「乙姫警部」シリーズのタイトルはタロットの大アルカナから名付けられていることに気づきました。割と占い好きでタロットも持ってるのに気づかなかった……! この本を読んだあと、改めて、シリーズ1作目の『皇帝と拳銃と』のほうも読み返しました。
1位 死体で遊ぶな大人たち
倉知淳作品は好きですが、当たり外れも結構あるタイプの作家さんだと思っていて(逆に、私にとっては加藤千恵はハズレはないタイプの作家)、この作品も「どっちだろうな……」と思いながら読みましたが、見事に私好みなほうの短編集でした!
4つの作品が収録されており、1作目はゾンビが出てくるような作品ではありましたが、ゾンビの特性を活かしたミステリとしてはしっかり成立していて、なるほど……と思ったり。個人的には、4作目の、表題作「死体で遊ぶな大人たち」が一番印象深かったです。被害者があまりにも嫌な奴なのが逆にいい。タイトルは作品と合ってない気はするけど。
いずれのトリックもリアリティはありませんが、その、程よい現実感のなさがリアルすぎず物語っぽくて、やっぱり倉知淳作品は好きだなぁ、と感じました。





