旅行らしい旅行をめったにしないはずの私が、この夏は二度も遠出していました。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」目当てで、新潟県十日町市へ(8/18土~8/19日)。
「第85回NHK全国学校音楽コンクール 長野県大会」目当てで、長野県塩尻市へ(8/25土~8/26日)。
いずれも、青春18きっぷを利用したひとり旅で、宿泊先は友人たちに紹介してもらったシェアハウス。
今回は、十日町と芸術祭について書こうと思います。
もう会期は修了してしまいましたが、通年で鑑賞できる作品もたくさんあります。
また、「トリエンナーレ」とつく芸術祭は3年に一度開催されているので、この記事も2021年以降にお楽しみいただける部分もあるかと思われます。
芸術祭とは関係なく、見どころやおすすめスポットもたくさんありましたので、立ち寄った際にはぜひどうぞ。
▼目次はこちら。
※今回、とても写真が多いのでパソコンかWi-fiでの閲覧推奨。
十日町までの電車旅
早朝に起床し、午前5時半に新橋駅へ。旅行そのものは興味はなくても鉄道は好きな私は今回、久しぶりに18きっぷ旅ができることはとても楽しみでした。
電車の中では、電子書籍で読書しつつ、電車が駅に停車するたびにポケモンGOを開きつつ、たまに写真を撮って過ごしました。
車窓の外はしばらくは郊外の景色が続きましたが、水上駅あたりから一気に自然豊かな風景が広がり、ぐんと面白くなってきます……!
ピンクの駅舎が可愛い水上駅で乗り換えた束の間、トンネルに入り、モグラ駅・秘境駅として有名な湯檜曽駅や土合駅を通っていきます。(いつかここもじっくり行ってみたい)
電車を見つけたとき、思わず「わぁっ」と声を漏らしそうになりました。
会期中の土日のみ走っている「大地の芸術祭号」です。
(※会期は終了したため、現在は走っていません)
そして「まつだい」駅へ。
電車を降りると、もう、そこは芸術祭。日差しが眩しくて、とってもいい天気!
駅を降りてすぐの風景。通路に札がずらっと並んでいるのは「まつだい住民博物館」という作品。
まつだいの住民の屋号が書かれています。地理学・民俗学好きなのでこういうの好み。
新潟は涼しいかな、と思っていましたがそんなことはなかったです。下車したあと、すぐに日焼け止めを塗りなおしました。
まつだい「農舞台」
まず目立つのは、現代的な建物の、まつだい雪国農耕村文化センター「農舞台」。この建物の下のスペースには、「大地の芸術祭の里・総合案内所」があるので、トリエンナーレのパスポートはここで入手しましょう。
「農舞台」の中では、「イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展(※現在は終了)、「関係 - 黒板の教室」を鑑賞。
「~黒板の教室」は、学校的なコンテンツも地理的なコンテンツも好きな私にとって、見事に私好みなものばかり置いてあって、とても面白かったです。
地球儀、地図、学級文庫、時間割、剥製。どれも心をざわめかせるコンテンツ。
「イダキ」も、じっくり観る時間があったら楽しめたかも。民俗学的なものにも興味はあるので。
「越後まつだい里山食堂」にも立ち寄ろうか迷いましたが、そこまでお腹が減っていないこと、混雑していたことから行くのはやめました。
ブルーグリーンを基調としていて、とても幻想的。
この建物はトイレの内装も面白かったです。トイレのそばに添えてある絵からも、なんらかの思想を読み取れそうだなと思いました。
屋上にも行きました。眺めは普通。
トンボが飛んできました。もうそんな季節か。
野外作品を楽しもう
館内をぐるっと回ったので、外に出てみることに。
日陰で休んだり、オブジェを鑑賞したり。
ジャングルジムとカエルはそれぞれ「転がるジャングルジム」「ゲロンパ大合唱」という作品。
ひと息ついたあとは、川を渡って、山のほうに行ってみることにしました。
よく「田舎は何もない」と言われますが、見方を変えればぜんぜんそんなことはありません。この松代エリアだってもちろん例外ではないです。
種類の異なる、いろんなセミの声。歩いている最中、暇だったのでセミの鳴き声をスマホに書き起こしたりしていました。(なんか最近、このブログではセミの話ばっかりしてるような……)
大きく響く川のせせらぎ。いろんな緑色が混在する森、田んぼ。
ひとつひとつ細かく観察していくと、とても情報量は多いです。
そして、陽射しは都内と変わらないくらい暑かったものの、たまに軽く吹く風は意外に冷たい。
こんなに暑いというのに、いったいどうして、木陰に入ると信じられないくらいひんやりしました。この温度差はどういうトリックなんだ。
謎の果実? 野菜?を発見。(これが何なのかは後ほど明らかになります)
「リバース・シティー」という作品。吊るされている鉛筆には国名が書かれている。これ好き。
「水のプール」という作品。これめっちゃ好き。ゲームの中の世界に入ったみたい。
この作品、なんだったか覚えてない……。
何かの作業用の鉄板にしか見えなかったけど、「関係—大地・北斗七星」という作品らしい。
これは「夏の三日月」という作品。
「かかしプロジェクト」という作品。
栗が落ちていた。
「西洋料理店 山猫軒」という作品。宮沢賢治の「注文の多い料理店」の一節が書かれている。扉を開けていくことで物語の世界に入ることができる。こういう二次元作品とのコラボ、好き。
「棚田」という作品。遠くから見ても近くから見ても面白い。
ちなみにこれらの作品の中には、ポケモンGOのポケストップ・ポケモンジムにもなっているものもありました。確かにゲームの世界っぽい。
カフェでひとやすみ
14時をまわった頃。もうずいぶん歩いたので、そろそろ別のエリアにも行ってみよう……と思い、まつだい駅方面にいったん戻ります。信号を渡り、松代商店街へ。
「商店街」といっても、アーケードがあるような場所ではありません。文字通り、商店が連なる一角でした。
雪国にはほとんど住んだことのない私は、歩いている途中に見える家のつくりにも感動して、町中の写真を何枚も撮っていました。
そう、芸術祭の作品もいいけど、こういう日常に現れるその地域の特徴を知ることのほうが本当は好きなんですよ。大学は地理学専攻でしたし。そういう意味でも、ここは見応えがあるエリアでした。
屋根や建物、信号の形が雪が積もりにくいカタチになっているのを見て、「あぁ、雪国だ……」と思ったり、その地域に本社のあるチェーン店を見つけて感動したり。そんなことをしながら、ひたすらシャッターを切っていました。
歩き回ったので、どこかですこし休みたい。さてどうしよう。
「山ノ家カフェ&ドミトリー」というカフェか、「澁い」というレストランに立ち寄ろうかと思いましたが、時刻はもう15時近く。山ノ家カフェはこの日は昼間は15時までの営業、澁いは16時までの営業で、どちらもあまり長居はできなさそうだったので諦めました。
どうしたものか……と思ったところ、山ノ家カフェの隣にあるお店?休憩所?を発見。「かき氷あります」の文字に惹かれて中へ。
ここは、「泡屋」というお店のようでした。なんというか、こぢんまりして、田舎の親戚の家のような雰囲気。雑貨が所狭しと並べてありました。雑貨の販売と飲食の提供をしているのかな。
ちなみに、この商店街の建物なども、「松代商店街周辺における土壁による修景プロジェクト」という作品のひとつのようです。
かき氷を食べつつ、お店のひとと少し話もしました。
そんなときに、あるものを見つけます。
「アイラップだ!」
先日SNSで、北陸を中心に販売している調理用の袋「アイラップ」の話題で盛り上がっているのを読んだばかり。
便利らしいと聞いたけど東京には売ってない、という話をすると、お店の方が「何枚か持ってく? 旅行中の着替えを入れたりするのに使いなよ」と、アイラップを数枚くださいました……!
また、こんなチラシも見つけました。
夜は夜で、お祭りが行われるようです。その時間まではここにいようかな。
お店の方が作ったという自家製の飴を購入し、店を後にしました。茶色い塊に粉砂糖がかかった飴は、キャラメルのような味がしました。
街中作品を楽しもう
再び、散策を開始。
芸術祭の公式ページでは、車を使わず徒歩で巡回できるコースとして、「黄金の遊戯場」「カサバラタ」「ゴースト ダンス」「SF(Summer Fiction)」が紹介されていました。(※現在はどれも観ることはできないようです)
黄金の遊戯場
派手。きらびやか。SNS映えするからか、写真を撮ってるひとがたくさん。
翌日知り合うことになる友人も、ここで撮った写真をFacebookに載せていました。私もインスタのストーリーに載せました。
カサバラタ
煙突から煙がモクモク。
ゴースト ダンス
芸術祭の受付でこの場所を尋ねたところ、「昼よりも夜に観たほうがいいよ」と言われたけど確かにそうかも。小屋に差し込む白い明かりが、ぼんやりと夕闇に光っています。この家の前を通ると音も流れました。
SF(Summer Fiction)
今回の芸術祭の中でも、トップレベルに好みだった作品。夏場は使われていない除雪車の保管庫を芸術作品に見立てたもので、まるで映画やSFアニメの中に入ったみたい。効果音や照明も効果的でした。
こんなふうに展示されると、除雪車も、アニメの中に出てくる戦闘ロボット的な乗り物に思えてきます。
松代夜市を楽しもう
18時が近づいてきたので、商店街のほうに戻ります。
先ほど行けなかった「澁い」は、夜の営業時間に向けて準備が行なわれていました。
さっき行った「泡屋」も、昼とは違う雰囲気。
おなかはすいていなかったので、飲食店ではないところに行ってみよう、と思ったら、地元の人のミニライブが行なわれているところがあったのでそこへ。
本当はもっとじっくり夜市を楽しみたい気持ちもあるけれど、電車の時間もあるので19時前に離脱することに。町中の雰囲気を味わいながら帰りました。
商店街からまつだい駅まで歩いて戻りましたが、駅周辺まで戻ってみて、あまりにも周囲が真っ暗なことに驚きました。
昼間はあんなに鮮やかな風景を楽しめて、植物も木漏れ日も虫の声も楽しめたのに、今はまったく楽しめるものはありません。夕闇に対して畏怖する気持ちが湧いてきました。
いこて/IKOTEにて日本酒を
十日町駅で降ります。すこしおなかがすいてきたので、どこかで何か食べようと思い適当に歩いていると、何やら丸っこいカタチの、あったかみを感じる建物が……。
お酒が充実したカフェレストランのようです。2階はコワーキングスペースになっている模様。
新潟では日本酒はぜったい飲みたい! と思っていたので、ここに入ってみることに。
内装も、木を基調としていておしゃれ。
おばんざいの盛り合わせと、日本酒「松乃井」を注文しました。
お通しは、柏崎でとれた卵を使った茶碗蒸し。
お、美味しい……!!
お酒も料理も、ひとくちひとくち、胸をズきゅんと打ち抜くような味わい。
そこまで食欲はなかったのですが、そのぶん、ひとくちをゆっくりじっくり堪能できました。
私は普段、日本酒は甘口のものを飲むことが多いのですが、この「松乃井」は辛口だけど、とっても飲みやすい……! 舌で転がすように味わいました。
ここで食べました!
ギルドハウス十日町
食事を終え、十日町駅に向かいます。ここからほくほく線に乗り、ふたつ隣の「美佐島」駅に向かう予定です。
宿泊予定のシェアハウス・ギルドハウス十日町は駅から徒歩20分。
しかし……まさかの、乗るつもりだった電車を乗り逃してしまいます。
次の電車は、1時間半後……(地方にありがちなパターン)。
グーグルマップで調べると、歩いたら1時間のようです。
しかし、もうたくさん歩いたのでこれ以上歩きたくはないし、何より、知らない地方の街を夜中に1時間かけて歩くのはちょっと。
8月上旬には十日町で殺人事件も起こり、犯人も捕まっていないみたいだし……(この犯人と思しき人は自殺しているようでしたが)。
結局、シェアハウス関係者の方に車で迎えにきていただきました。ありがとうございました。
車で走っていて気付きましたが、周囲はかなり真っ暗。ここは想像していた以上に自然豊かな地域のようです。
こんな真っ暗闇の中を歩いてこなくて本当によかった……と思いました。
住み開きの古民家「ギルドハウス十日町」 | Doorkeeper
住人・滞在中の方々は、みなさんとても楽しい方。
「スイカ食べる?」と言ってくださったので、いただこうとしてみて気づきました。
……あ!
昼に、まつだい農舞台のところで見かけたあの謎の瓜だ!!
メロンか瓜かなと思っていたのですが、スイカだったとは。このスイカも美味しかったです。
さて、長くなってしまいましたが1日目の記録はこのへんで。
次回は、2日目について書こうと思います。今回ほどは長くなくて、人ももっと登場する予定です。
▼ 行きの電車の中で読んでいた本はこれ。「ええやん!朝活」読書会で知った本です。短いエッセイ集で、書き口がとってもコミカルで面白い。旅行ブログを読む感覚で読めます。