「プーシキン美術館展、気になってたんだ。ロシアだよね。楽しみ!」
「あれ、フランスじゃなかったっけ」
「あれっ、どっちだっけ?」
調べてみたら、「ロシアのプーシキン美術館に収蔵されている、フランスの風景画を中心とした作品展」のようですね。
そんなプーシキン美術館展が東京都美術館で開催されていたので、イラストレーターの女友達と行ってきました!
図録も買ってきたので、いくつか引用して、好きな作品などを紹介しようと思います。
厳密には、「好き」というより「目を引いた」「気になった」「引っ掛かりを覚えた」などの表現のほうが的確な気はしますが、見出しはわかりやすく「好き」で統一します。
構図が好き!
アダム・フランス・ファン・デル・ムーラン工房「ルイ14世の到着、ヴァンセンヌ」。見るべきところが画面の各所に散りばめられていて見応えがあります。
解説によると、この作品は風景そのものだけでなく、衣服や隊の編成などについて後世に伝える資料としても有用だったようですね。
ニコラ・アントワーヌ・トーネー「アルカディアの牧人たち」。
このプーシキン美術館展の最初のほうは、神話や聖書に主題を求めた絵が多かったです。宗教画や歴史に関することには私は明るくないですが、これらは絵の構成を楽しみました。
ジャン=ルイ・ドゥマルヌ「街道沿いの農場」。奥行きに目がいきました。中央でないところに消失点があるのもいいですね。
モーリス・ド・ヴラマンク「オーヴェールの風景」。上に同じく、消失点に目を奪われました。
ウジェーヌ・ルイ・ガブリエル・イザベイ「ムーア式の入口」。これ、どうやらアルジェリアに出兵した経験をもとに描かれた作品だそうで。まさかここで、アルジェリアの風景画(?)を見ることになるとは思っていなかったので驚いた作品でした。
筆致が好き!
クロード・モネ「ジヴェルニーの積みわら」。これ、影のタッチがすごいなと。いろいろな色が入っていて、見入ってしまいました。
モーリス・ド・ヴラマンク「小川」。この筆使いも色合いも、すごく好みでした。遠くからつい眺めていたくなった作品です。
アルフレッド・シスレー「オシュデの庭、モンジュロン」。この、空が丸みを帯びたような感じに描かれているのが気に入りました。
アンドレ・ドラン「岩の間の小道、ソセ=レ=パン」。日本の海辺の松林を思い起こさせられました。
ルイ・ヴァルタ「アンティオールの海」。これも、日本っぽさを感じました。
ピエール・カリエ=ベルーズ「パリのピガール広場」。作品としても好きですが、制作された年は不明で、描かれていた人の服装から1890年前後と推測された、というエピソードも好きです。
ジョルジュ・レオン・デュフレノワ「パリの広場」。絵のタッチも味があって良いですが、解説にあった「上から眺めるやや冷めた視点であることがうかがえる」という記述が印象的でした。そうか、そういうふうに読まれることがあるのか。
レオポルド・シュルヴァージュ「赤い人物のいる風景」。絵本に出てきそうな、ファミレスに飾ってあったりするような親しみの沸いた作品。そして「これも風景画なんだ」と思いました。
懐かしくて好き!
アルベール・マルケ「パリのサン=ミシェル橋」。私は長崎に住んでいたことがあるので、長崎の眼鏡橋を思い出して少し懐かしかったです。私も小学校で眼鏡橋の絵を描いたので、川面に映る橋に目が行ってしまいます。
あと、最初は気づかなかったのですが、解説に「遠くにいくにしたがってぼんやりと灰色がかかっていく」とあり、あ、確かに奥のほうは少し色が薄いな、と気づきました。
エドヴァール=レオン・コルテス「夜のパリ」。こういう薄明かりが灯った街の絵や写真、大好きです。郷愁をそそられます。
クロード・モネ「草上の昼食」。私は木漏れ日が描かれている写真や絵画が好きなのですが、この美術展のメインビジュアルにもなったこの作品、やっぱりいいですね。
大きな絵なので、実際に立って見ていると、私もこの風景にお邪魔しているような感じにもなれます。人物の表情は見えないもののみんな楽しそうで、すごくフォトジェニックで素敵な光景。
クロード・モネ「陽だまりのライラック」。暗さも少し感じますが、子どもの頃に行ったピクニックを思い出します。あと、まったく関係ありませんが、私の好きな小説家(名木田恵子)のファンサイトに「ライラック館」というページがあり、そこによく出入りしていたので、その点でも目を引いた作品でした。
クロード・モネ「白い睡蓮」。私がモネの「睡蓮」を初めて知ったのは中学生の頃。私の好きな小説家(小林深雪)が、作品内でモネの「睡蓮」を書いていたことから興味を持ちました。いちばん有名な「睡蓮」は、あまり好みではなかったのですが、この「白い睡蓮」はすごく好きです。私は川とか橋とか木漏れ日とか、緑色多めの景色が好きなのかもしれません。
アンリ・ルソー「馬を襲うジャガー」。まるで、昔、絵本や図鑑で見たような感じで懐かしいです。この作品、物販コーナーではマグネットにもなっていましたが、マグネットとしてもっとも可愛いなと思いました。
そのほか気になったこと
美術展の順路、「どうしてこの作品は、この作品群の並びに置いてあるんだろう」と思うことはしばしばあります。出品作品リストに振り分けてある番号と、実際の並びが一致していないものはよくありますが、今回、セザンヌの絵画の並びが「なぜこの順なんだろう」と、少し気になったりもしました。
あと、今回の展示、流れているピアノ演奏のBGMも素敵でした。調べてみると、ピアニストの三浦友理枝さんによる演奏のようですね。
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おみやげも充実!
物販のコーナーも充実していました。「風景画=外で描かれた絵」ということで、アウトドアグッズも置いてあったりも。
また、ロシアっぽい赤色をベースにした小物も充実していて、ロシア雑貨に興味のある友人はその点も興味深そうにしていました。
私は、図録、手ぬぐい、ポストカード、マグネットを購入。同じ作品でも、マグネットやポストカードにする加工によって若干色合いが違ったりするので、雰囲気の違いを楽しんだりもできます。
ちなみに、図録の帯はいくつかの種類があって、選ぶことができますよ。
都美セレクショングループ展2018
同時開催されているグループ展も眺めてきました。
「Quiet Dialogue: インビジブルな存在と私たち」
「複数形の世界のはじまりに」
「蝶の羽ばたき Time Difference 時差 vol.3 New York-Seattle-London-Tokyo」
の3つ。(※これは7月1日までなので、私がこのブログを書いている時点では明日までです)
「インビジブルな存在と私たち」は、フェミニズムに関する映像や本などの資料が置いてあり、ブックガイドとしても面白くて好みでした。
「複数形の世界の始まりに」は、民俗学とか地域とか文化とか、そういうモチーフを扱っていてとても私好みでした……!
「蝶の羽ばたき」は、風船にプロジェクターの映像が投影されていたり、すごく「現代アート」っぽい作品が多いなという印象でした。ここは写真は撮っていないです。あいちトリエンナーレなどの、アートイベントを思い出すような作品群でした。
ジェンダーも地図もアートにも興味のある私には、どれも楽しかったです。フライヤーも素敵でした。
美術館のあとはカフェに行こう
美術館を出たあとは上野駅まで行き、「WIRED CAFE」に行ってきました。
ここは、都立美術館チケットの半券があると、なんとドリンクが無料!
(※2018年6月現在の情報ですので、ご利用の際にはあらかじめ確認をお願いします)
以前、別の美術系の女友達と都美に行ったときにも帰りに寄りましたが、ここは上野公園周辺のカフェよりは混まないため、美術館帰りに寄るにはとても良いと思います◎
パンケーキをシェアしあって楽しみました。
プーシキン美術館展、これを書いている時点では来週、7月8日(日)までの開催。
終了間近なので混むかもしれませんが、興味がありましたらぜひ、行ってみてください……!
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