まちの名前を聞いて思い浮かべるイメージってありますよね。
たとえば東京都内だと、「渋谷」といったら若者が多く集まる賑やかなまち、「高田馬場」といったら学生街、「神保町」といったら古書店やカレー、などなど……。
じっさいに足を運んだ肌感覚というより、メディアによる印象操作も大きいところだとは思いますが。
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前回のブログでも書いた通り、3月下旬に富山に旅行しました。
しかし、私はそれまで富山に行ったこともなく知る機会もなかったため、地名を見ても、そこがどういう位置づけのまちなのかピンとこない……!
(まぁ、地図をじっと見ていれば道路の形や周囲の施設から街の性格を推測することも可能ですし、「氷見」「射水」「魚津」などの地名から水産業が行なわれていることが推測できたり、「丸の内」「大手町」などは全国にある地名のために想像できる部分もあったりはしますが……)
しかしそんなまちも、いざ一度行ってしまえばもう知らないところではありません。
私は未解決事件について調べることがあるのですが、富山県魚津市で発生した「肝試し行方不明事件」の記事を久しぶりに読み返したら、「へぇっ、海王丸パークってナンパスポットだったの? 私が行ったときはそんなイメージはなかったけどなぁ」などと思うこともできて、その場所を知らない頃とは違ったところに関心が行くようになりました。
また、それまでは気に留めていないかったような富山のイベント(「学生プロハナイト in TOYAMA」など)の情報がタイムラインに流れてきたら目が行くようになったり、少し前に話題になった「量子テレポーテーション」の漫画を卒論として出したのは富山大生だということが気になったり、友達が出演するから行ってみたライブに富山出身のミュージシャン(西島沙紀子さん)がいらっしゃったのが気になったり……。
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ところで私は富山に行く数日前、あるイベントに行っていました。
そのイベントとは、こちらの芸術祭の、キックオフイベントです。
私が行ったのは夜。
そもそもこの「空想型芸術祭」とはどういうものかといいますと。
演劇やダンスを背景に持つパフォーマンスプロジェクト「居間theater」と、空想地図を描く「地理人」さんとのコラボ企画。
具体的には、東京の台東区と、空想都市・西京市のそれぞれの場所に行って(想像で行って)収録されている音声の芸術作品を楽しむ……という、そんな「芸術祭」です。
イベントではポストカードがもらえました。表は東京、裏は西京の地図。
しかし、ここで出てくる西京市の地名は、富山の地名以上にピンとこないものばかり。
開明橋、鐘坂、榊山、細柳……なんて聞いても、そこは繁華街なのか住宅街なのか学生街なのかオフィス街なのか治安や地価はどうなのか、まちのイメージはまったく掴めません。
まぁ、それもそうですよね。実在しない空想地名なんですから。
行ったことのあるなし以前に、ガイドブックやメディアに作られたイメージすら存在しないのですから……!
逆説的ではありますが、この「ピンとこない感じ」によって、いかに普段、メディアのイメージによって地域や地名のブランドを認識しているかを実感したような気がします。
あと、今回のブログ記事を書きながら思ったのですが、空想地名は(当然のこととはいえ)パソコンで一発変換されないので、「あぁ、〈鐘坂〉は本当に架空の街なんだなぁ……」なんてことを感じたりもしました。
また、5年前に名古屋に引っ越すとき、住むのはどこがいいか、不動産屋であれこれ意見を聞いたときのことも思い出しました。
私はそれまで名古屋にはまったく馴染みがなかったため、地名を聞いてもまちのイメージはあまり湧きませんでした。
不動産屋や、Twitterのフォロワ―さんから「桜山や御器所(ごきそ)は住宅街で治安が良い」「大須観音はごちゃごちゃしてる」「今池は便利だけど治安が気になる」「本山や覚王山はおしゃれだし住みやすい」などの情報を得ることによって、そのまちを理解する手がかりを掴んだ感覚。その気持ちを思い出しました。
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……本当は、これらの内容を前置きとして別の話題を書くつもりだったのですが、思ったより長くなりそうなので、この記事はこの記事で区切ることにします。
次回へ続く。