これからも君と話をしよう

一度はここから離れたけれど、やっぱりいろんな話がしたい。

架空の街、あるいはメディアリテラシーと炎上騒動 ―「国際信州学院大学」について―

 先日、Twitterを発端にこんな炎上騒動がありました。

togetter.com

 この騒動の経緯を簡単に説明しますと、こんな感じです。

「国際信州学院大学の教職員が予約をドタキャン。50人分の料理を捨てる羽目になった」という「うどんや 蛞蝓亭」のツイートが炎上。しかし、うどん屋も大学も架空のもので、これはいわゆるネットでの「釣り」案件だということが判明。

 Togetterのコメントや、はてなブックマークコメントでは、この件については賛否両論あるようです。

 否定的な意見としては、

「虚偽の情報を投稿するな」

「“信州”と実在の地名を使われるのは地元民として不快」

「大学職員のイメージや、似た名前の大学のイメージ悪化にも繋がりかねない」

「使われている画像は無断転載では?」

「せめてエイプリルフールにやってくれ」

「そもそもコンテンツとして面白くない」

というものがあり、

 肯定的な意見としては、

「ネタだということくらいすぐにわかるのでは」

「ネタをネタとして楽しむ空気がなくなるのは寂しい」

「実在の学校や企業名を使ってるわけではないから、法的にも問題はないと思う」

「誰も被害者はいないのになぜ怒る人がいるんだろう」

「嘘を見抜く訓練になるから良いと思う」

「昔の2ちゃんねるっぽさがあってこういうの好き」

というものが主流のようです。

 ちなみに、私の意見はこんな感じ。

 この100字では書ききれなかった思うことあれこれ、もう少し詳しくここで書こうと思います。

「被害者はいない」って本当?

 たしかに、ドタキャンされた店も晒された大学も存在しません。なので、誰も「被害者」はいないはず……という意見は一理あると思います。

 ところでこの騒動について、震災時のデマや誤報を引き合いに出している人もいましたが、私は震災直後に見たこのツイートを思い出しました。

 なにが言いたいかといいますと、自身が被災したわけではなくても、メディアによる二次被害は起こりうるということ。
 感受性が豊かで共感力の高い人だと、自分とは関係ない地域の知らない人の体験談だって、自分事のように憤ったりハラハラしたり安堵したり微笑ましく思ったりすることはあるでしょう。
 心を痛めることにもコストはかかるんです。誤報だというのならまだしも、虚偽のものだったということには怒る人がいるのは当然だと思います。

フィクションとの違いは?

「作り話がダメだというのなら、小説やアニメやドラマはどうなるんだ」という意見も見かけました。

 フィクションはそもそも「これはフィクションである」という前提を把握した上で楽しむものだと思います。 

私小説」というジャンルはあるにしても、基本的には小説ジャンルのレーベルはフィクションとして読まれると思いますし、ドラマもドキュメンタリーとは区別されています。

(特に断りがない場合、)電撃文庫創元推理文庫を実話だと思って読む人はいないでしょう。「逃げ恥」や「半沢直樹」を実話だと思いながら観ていた人もいないでしょう。

ケータイ小説の「恋空」は、「実話を元にしたフィクション」ということで話題になったものの、「実話にしては不自然な描写が多く、作り話が大半では」と批判されていたこともありましたが)

 逆に、新聞に載る内容(小説や漫画を除く)、テレビのニュース番組で取り上げられる内容は、基本的には「実際にあった出来事」として認識する人がほとんどでしょう偏向報道などの問題はまた別の話として)。

 

 では、Twitterはどうなのか。

 いくら、「ネットにはデマが蔓延っている」「テレビや新聞や本とは違い、編集を通していないのでデタラメが多い」とはいえ、基本的には「作り話を書く場所ではない」と思っている人が大半だと思います。

 創作関係のアカウントや、現実の自分ではないキャラクターになりきる人がいるとはいえ、そのようなユーザーが多数だと認識している人はあまりいないと思います。

 また、作り話が流れることが前提のツールだとしたら、事実ではない内容の投稿は、そもそも問題視されることはないでしょう。(まぁこれは鶏が先か卵が先かという話でもありますが……)

 

 家族や友人との日常会話でも、基本的には実際にあった出来事を話すことが多いと思います。

(空想と現実の区別が未熟な幼児が嘘をつくケースや、やるべきことをやっていないのにやったと言ったり、飲み会だったのに仕事だと言ったり、見栄を張ったり話を盛ることはあるにしても)

 作り話をして相手がそれを信じるさまを見て楽しんだり、見抜いてもらうことを面白がる……というケースもあるかもしれませんが、それはあまり健全なコミュニケーションとはされないでしょう。

そもそも疑うのは難しい

「流れてきた情報を鵜呑みにして拡散することにも問題がある」という意見も見かけましたが、まぁ、それも一理あるとは思います。
 ただ、「タイムラインに流れてきた情報をひとつひとつ精査し、その上で拡散するかどうかを決める」というのは、理想的ではありますがあまり現実的ではないかな、と。

 たとえば、私は現在のメインアカウントでは約1,500人をフォローしていますが、何気なく開いたタイムラインには、たとえば、こんな投稿がありました。

LGBTが左利きと同じくらいいるというのは初めて知った」
「昼食後の眠気は難消化性デキストリンで抑えられる」
「この本の読書会は、本日21時から開催となります」
「年の離れた妹からこんな手紙が届いた」
「芸能人の○○さんのインタビューでこんな名言があった」
「仮想通貨は損益通算が認められる可能性は低い」

などなど……。

 事実ではなかった場合に他者に大きく被害が及ぶもの(特定の地域や組織、人を名指ししての被害報告、深刻な病気についての医療情報、災害に関する真偽不明の情報、警察署の連絡先が載っていない行方不明の人探しツイートなど)は、むやみに拡散すべきでないと思いますが、そうでない場合はそんなに神経質にならなくてもいいんじゃないか、と思います。
 流れてくるツイートひとつひとつについて「これは本当なのか?」「この情報源は正しいのか?」と「疑いの目を向けること」自体が、けっこうな精神的負担となるでしょう。

 また、今回のうどん屋ツイートに騙される人が多かった理由の一つには、「そんな嘘をつくメリットが見当たらない(だから事実だろう)」ということも大きいのではないかと思っています。
 これが「1日で○万円稼げる高収入なお仕事! 詳しくはLINE→@****」のようなものだと、「これは嘘だろう。情報教材への誘導や、個人情報収集の目的だろう」と疑いの目を向けることもしやすいのですが、うどん屋のツイートは嘘をつくメリットが見当たらないため、初見で嘘だとは見抜きにくい……というのはあると思います。
 まぁでも、騙されること自体は仕方ないとは思いますが、無批判に拡散するのはあまり褒められたことでもないなぁ、とは思います。

相手の名前を出すことについて

 そもそも、仮にツイート内容が事実だったとしても、このようなツイートは私は望ましくないと考えています。
 そもそも、何のためにツイートするのでしょうか……?

スポンサーリンク

 

 これまでも、飲食店のドタキャン被害ツイートは見たことがあります。
「無駄になった料理、どなたか食べにきて下さい」という募集や、「このようなことをされると大変困ります」などの注意喚起を目的としてのツイートが大半です。
 そのおかげで食材が無駄にならずに済んだり、リマインドを徹底する店が増えたり、ドタキャン防止に繋がるサービスを作る人が出てきたりもしたようで、それは良いことだと思います。
 しかし、「料理を捨てる羽目になりました。○○さん、二度と来ないでください」とツイートすることに何のメリットがあるのでしょう……?
 まぁ、ドタキャンへの注意喚起としての効果はあるかもしれませんし、炎上を通じて店の知名度も上がるかもしれません。でも私は、このような形で特定の団体を晒し上げるところにはいいイメージは持てません……。ドタキャン被害は同情しますが。

 

 今回のうどん屋の作り話の件とは別に、3月頃に似たような投稿が話題になったことを覚えている人も多いかと思います。(というかおそらく今回の件も、このときの炎上騒動をもとに作ったネタだったのでしょう)
「○○小学校の教員の皆さん、二度と来ないで下さい」と、飲食店から批判された小学校のウィキペディアやグーグルマップのレビューは炎上。
 その後の報道によると、どうやら小学校側は予約したつもりはなく、日程の確認をしただけのつもりだった……ということが判明。
(余談ですが、これに関しては私も似た経験があります。カラオケ店でアルバイトをしていたとき、アルバイトの面接希望の学生から電話がありました。「今は担当者は不在。明日の12時頃には来るので、そのときに折り返し連絡をさせます」と答えたら「明日の12時に面接」と勘違いしたらしく翌日に店に来てしまった……ということが)

「二度と来ないで欲しい。出禁にする」というだけならそれは相手に伝えれば良いことで、全世界に公開されるSNSで、名指しで書くことでもないと思います。場合によっては、「こちらは予約をしたつもりはない。してもいないのにドタキャンと書かれて迷惑している」と、店が名誉棄損で訴えられる可能性もあるでしょう。
 小さいコミュニティ内で、「予約してくれた○○さんと連絡がつかない。誰か連絡先や情報を知らないか」という内容を拡散することはまだ理解できるのですが、単に、晒し者にするために名指しで愚痴を書く必要はないと思います。

 まぁ、「スープよりも先に麺や高菜を食べてしまったら追い出されるラーメン屋」など、独自の謎ルールがある飲食店はあるので、そのような路線だというのならそれはその店の自由ではありますが……(来店客への名誉毀損にならない範囲で)。

 

 そういえば、今回の「国際信州学院大学」の炎上については、「“信州”なんて実在の地名を使うな。信州大学と勘違いする人がいるかもしれない」という意見があり、当初は私は「さすがにそれはないだろう」と思っていました。
 しかし、最近問題になった日本大学アメリカンフットボール部」による悪質タックルについて、日本体育大学日本大学ラグビー部」に問い合わせやクレームが来る……という事態も起こっているようであり、「間違えるわけがない」とは言い切れないかもしれないと思いました。

どこからが「拡散」?

 上記のようなツイートを脊髄反射で拡散することは批判したいと思いますが、ただ私は、「デマ拡散はすべて悪だ」という風潮にも疑問があります
 というか、どこからが「拡散」になるんだろう……と思ったり。

 Twitterだと「RT(リツイート)」機能があり、これを使っての「拡散」が一般的だと思いますが、最近だと仕様が変わり、「Fav(お気に入り)」することによっても「○○さんと××さん、ほかn名がこのツイートをお気に入りしました」などと通知されることも。
 また、RTにしても、「みんなに広めたい! 知ってもらいたい!」という動機や賛同によるものだけではなく、RTしたあとに「これ本当かな?>RT」「何言ってんだこいつ >RT」などとツイートし、疑問の意を呈するために使う人もいますね。
 最近は、「引用RT」もできるようになりましたが、「引用RTは相手から嫌がられやすいのであまり使わない」という人も(私も、ライターのヒラギノ游ゴさんにそれでブロックされたことがあります)

 また、「お気に入り」がわりにRTする人も。
 あとでツイートを参照したい際、「お気に入り」したツイートのログを記録できる「Favolog」よりも、RT含むツイートを記録できる「Twilog」のほうが記録の精度が良いと感じている人もいるようです(私も、ふぁぼろぐでは取得漏れを感じることも多い)。
 また私は、差別的な内容の記事に対して批判的なコメントを添える際「はてなブックマーク」もよく使いますが、これも「差別的な内容を拡散している」と位置づけられてしまったら嫌だなぁ……とも思ったり。

 

 落としどころとしては、
「災害など緊急時に、混乱を引き起こす可能性が高い真偽不明の情報を、無批判に拡散しない(その情報の間違いを伝えたい場合、引用RTやはてなブックマークなどで、否定の文言と同じひとつのURLでシェアするのは可。引用RTやリプライではない、RTしたあとに独立したツイートで否定の文言を書くことは不可のようなカタチが良いのでしょうか……?

「お気に入り」は微妙な位置づけな気もしますね。情報の精査をするためにクリップしておくつもりでお気に入りすることは悪いこととは思えませんが、お気に入りすることで「話題の投稿」と拡散扱いになることもありえそうでしょうし。

 また、鍵アカウントユーザーか公開アカウントかでも違いはあるでしょう。鍵アカウントなら公開アカウントよりも許される(=問題になりづらい)表現はあるでしょうし、ではどこまでならいいのかが気になったりも。 

 ……うーん、SNSの仕様もどんどん変わりますし、あるべきSNSマナーやルール、ネチケットを一枚岩で考えることは難しそうな気もします。過去の判例を参照しても、そのときとは変わっている機能も多いでしょうし。だからと言って何も考えずに投稿していいわけでもないですが……。
 ところで、この記事を書いている最中、3.11のときのTwitterの「非公式RTではなく公式RTを使って」という呼びかけを思い出しました。あのときは、アプリによっては公式RTも非公式RTのように見えてしまうことがあって、「非公式RTはやめようよ」とリプライを飛ばしてモメそうになってた人もいたなぁ……。

表現の自由で守られて欲しい、けど

 2ちゃんねるの頃から、このような「作り話での釣り」は、個人的にはあまり好きなコンテンツではなかったりします。
 しかし、ネット上で、普段の生活とは違うキャラクターになりきることは悪いこととは思えませんし、他人を陥れる意や、大幅な情報混乱を引き起こすわけではないのなら嘘もいいと思います。表現の自由」の観点から、「本当のような嘘の話」を書く権利は、可能な限り守られて欲しいと思います。
 アプリ「ドキドキ郵便箱」で、「別人になりきって知らない人とメッセージのやり取りをするのが楽しい」と言っていた友人もいて、なるほどそういう遊び方も楽しそうだなぁ、と思ったことも。
 そもそも私の世代だと、子どもの頃に「ネットに本名や個人情報など本当のことは書くな」と言われて育った世代なので、本当のことを書く行為のほうに抵抗がある人も一定数いると思います。(私は逆。SNSの普及によって「女の子が顔や名前を出すのは危ないよ」といちいち言われなくなったのが嬉しい)
 
 そういえば私は6年ほど前、内田樹先生の著書にドはまりしていた時期があり、内田先生が高橋源一郎さんとともに編集した『嘘みたいな本当の話』という本を読んだことがあります。これは大変面白かった。
 続編も読んでみたものの、やや嘘くさい過剰な話が多くなり、あとがきにも「嘘であるか本当であるかは関係がない。そういうことがあってもいいかもね、と思えるようなエピソードであるかどうかが大切」というようなことが書かれていて(本が手元にないのでうろ覚え)、「そっか、作り話も多いのか……」と感じて一気に萎えてしまったことを思い出しました。
 なにが言いたいかというと、私は「嘘と本当」の落差を感じると萎えてしまうほうで、あまりそういうコンテンツを楽しめるほうではないのですが、嘘のような話を聞いても、「そういうこともあってもいいかもね。本当でも嘘でもどっちでもいいね」「あちゃー、本当のことじゃないのか。騙されちゃったよ」と楽しめるタイプの人の権利もきちんと守られて欲しい、うまく棲み分けられるといいな、とは思います。

 そういえば子どもの頃も、仲のいい友達にはよく嘘をつく子がいました。明らかに嘘っぽい話をされてもどう振る舞えばいいのかわからず、コミュニケーションの際にすごく混乱したのを覚えています。

 そもそも面白くない……

 今回の炎上騒動について「面白いんだからいいじゃないか」という意見の人もいましたが、ごめん、私は全然面白く感じなかった……。

 虚構新聞のようなニヤリとできるようなひねりや風刺もオチもないし、ただの「作り話」で、ネガティブな感情が残っただけで、コンテンツとして特に面白みは感じませんでした。

 同じ作り話でも、こういうものならニヤリとできました。古いツイートですが。

  本当だったらひどい内容だけど、ここまできたら明らかに嘘でしょうし、当時話題になっていた炎上事件を皮肉っていて面白いと思いました。


 発達障害等で言語外の情報を読み取るのが困難な人もいると思いますし、有事の際などにはそのような人への配慮も必要かと思いますが、平時には多少のジョークは言える社会であって欲しいです。

 

 あと、「国際信州学院大学」のサイトのクオリティの高さを褒めていた人もいましたが、ごめん、私はクオリティ高いとは思えなかった……。
 まぁ、なんだろ。たとえばこれを平成20年代生まれの子が作った、とかいうのならいろんな意味ですごいと思いますが、コンテンツ単体で見た場合には、特にすごいとは思えませんでした。

 たとえば、前回のブログでも紹介した、空想地図作家の「地理人」さん。デザインもできる彼は、地図だけでなくさまざまな「架空」のものを描いています。
 このページでの「中村市内での落とし物」なんてすごい。全部、実在する企業や学校のもののように見えます……!

中村市内の落とし物 – 空想都市へ行こう!

(※地理人さんの名誉のために言っておきますが、別に、これらを悪用したり他人を騙すために彼はこのようなものを作っているわけではありません。また、人物の写真を含むものも、顔写真を貸してくれる人を募って許可を取った上で制作されています)


 国際信州学院大学も、このクオリティのものがあったら「すごい!」と思ったかもしれません……(苦笑)。

スポンサーリンク

 

「未踏の街」と「架空の街」

 まちの名前を聞いて思い浮かべるイメージってありますよね。
 たとえば東京都内だと、「渋谷」といったら若者が多く集まる賑やかなまち、「高田馬場」といったら学生街、「神保町」といったら古書店やカレー、などなど……。

 じっさいに足を運んだ肌感覚というより、メディアによる印象操作も大きいところだとは思いますが。

スポンサーリンク

 

 前回のブログでも書いた通り、3月下旬に富山に旅行しました。
 しかし、私はそれまで富山に行ったこともなく知る機会もなかったため、地名を見ても、そこがどういう位置づけのまちなのかピンとこない……!
(まぁ、地図をじっと見ていれば道路の形や周囲の施設から街の性格を推測することも可能ですし、「氷見」「射水」「魚津」などの地名から水産業が行なわれていることが推測できたり、「丸の内」「大手町」などは全国にある地名のために想像できる部分もあったりはしますが……)

 しかしそんなまちも、いざ一度行ってしまえばもう知らないところではありません。
 私は未解決事件について調べることがあるのですが、富山県魚津市で発生した「肝試し行方不明事件」の記事を久しぶりに読み返したら、「へぇっ、海王丸パークってナンパスポットだったの? 私が行ったときはそんなイメージはなかったけどなぁ」などと思うこともできて、その場所を知らない頃とは違ったところに関心が行くようになりました。

 また、それまでは気に留めていないかったような富山のイベント(「学生プロハナイト in TOYAMA」など)の情報がタイムラインに流れてきたら目が行くようになったり、少し前に話題になった「量子テレポーテーション」の漫画を卒論として出したのは富山大生だということが気になったり、友達が出演するから行ってみたライブに富山出身のミュージシャン(西島沙紀子さん)がいらっしゃったのが気になったり……。

スポンサーリンク

 

 ところで私は富山に行く数日前、あるイベントに行っていました。

 そのイベントとは、こちらの芸術祭の、キックオフイベントです。

 空想型芸術祭 Fiction

 

 私が行ったのは夜。

 そもそもこの「空想型芸術祭」とはどういうものかといいますと。

 演劇やダンスを背景に持つパフォーマンスプロジェクト「居間theater」と、空想地図を描く「地理人」さんとのコラボ企画。

 具体的には、東京の台東区と、空想都市・西京市のそれぞれの場所に行って(想像で行って)収録されている音声の芸術作品を楽しむ……という、そんな「芸術祭」です。

 

 イベントではポストカードがもらえました。表は東京、裏は西京の地図。

  しかし、ここで出てくる西京市の地名は、富山の地名以上にピンとこないものばかり。
 開明橋、鐘坂、榊山、細柳……なんて聞いても、そこは繁華街なのか住宅街なのか学生街なのかオフィス街なのか治安や地価はどうなのか、まちのイメージはまったく掴めません。
 まぁ、それもそうですよね。実在しない空想地名なんですから。
 行ったことのあるなし以前に、ガイドブックやメディアに作られたイメージすら存在しないのですから……!

 

 逆説的ではありますが、この「ピンとこない感じ」によって、いかに普段、メディアのイメージによって地域や地名のブランドを認識しているかを実感したような気がします。

 

 あと、今回のブログ記事を書きながら思ったのですが、空想地名は(当然のこととはいえ)パソコンで一発変換されないので、「あぁ、〈鐘坂〉は本当に架空の街なんだなぁ……」なんてことを感じたりもしました。

 

 また、5年前に名古屋に引っ越すとき、住むのはどこがいいか、不動産屋であれこれ意見を聞いたときのことも思い出しました。
 私はそれまで名古屋にはまったく馴染みがなかったため、地名を聞いてもまちのイメージはあまり湧きませんでした。
 不動産屋や、Twitterのフォロワ―さんから「桜山や御器所(ごきそ)は住宅街で治安が良い」「大須観音はごちゃごちゃしてる」「今池は便利だけど治安が気になる」「本山や覚王山はおしゃれだし住みやすい」などの情報を得ることによって、そのまちを理解する手がかりを掴んだ感覚。その気持ちを思い出しました。

スポンサーリンク

 

 ……本当は、これらの内容を前置きとして別の話題を書くつもりだったのですが、思ったより長くなりそうなので、この記事はこの記事で区切ることにします。

 次回へ続く。

みんなの空想地図

みんなの空想地図

 

1泊2日、富山旅行記(富山、射水、高岡)

 ゴールデンウィーク、あちこち出掛けられた方も多いと思います。

 今さらですが、私もひと月ちょっと前の旅行の記録を。

 

「新年度で新生活が始まる前に、どこか小旅行に行きたいね」ということで。

 3月24日(土)から3月25日(日)にかけて、2人で富山に行ってきました!

 はじめての北陸新幹線富山県です!(というかそもそも北陸は、これまで福井県しか行ったことがなかった)

 

 富山といえば、私の中ではドラえもんの作者の出身地」「トロリーバスがある唯一の県」のイメージ。

 富山出身の有名人ってほかにどんなひとがいたかなぁ、と思って調べてみると、私が興味あるような分野では、

  岩河三郎(「巣立ちの歌」「親知らず子知らず」などの合唱曲も手掛けている作曲家。2013年逝去)愛加あゆ宝塚歌劇団、元雪組トップ娘役。4年前に「宝塚歌劇100年展」で写真を見てすごく可愛いと思った)沖田×華(『透明なゆりかご』などの漫画家)小谷真理(文芸評論家)はじめしゃちょー(YouTuber)などの方がいらっしゃいました。

 

 今回の旅行で訪れた場所は、こんな感じ。

 観光地だけでなく、街並みや自然、食べもの、電車、どれも非日常的なものばかりで楽しめました……!

以下、写真がそこそこ多めになります。

富岩運河環水公園

 東京駅から午前6時台の新幹線に乗り、2時間ちょっとで富山駅に到着。まず目指したのは富岩運河環水公園(カナルパーク)。

 転勤族だった私は、路面電車のある街はかつて住んでいた場所(岡山、長崎)を思い出すので懐かしい気分になります。

 富山は路面電車が通っている街ですが、まずは歩いて公園に向かいました。

 道路が広い。朝だからなのか、クルマ社会だからなのか、人が歩いていない。

 

 

 到着!

 

 広くて綺麗で気持ちのよい公園でした。

「世界一美しいスタバ」に認定されたこともあるスタバも。

 

  イヌを散歩させているひとがたくさんいました。スタバでも、テラス席には犬連れのひとも多かったです。

 展望台にも上ってみました。

 

 

 立山連峰も望めます。次に行く、富山県美術館も見えました。

富山県美術館

 最近建て替えられたらしく、きれいな美術館です。というか富山市、新幹線が通った影響なのか、全体的に「綺麗で新しい」まちでした。

 

 企画展と常設展、両方とも観てきました!

 企画展は、「デザインあ」展がやっていました。

www.design-ah-exhibition.jp

  NHK Eテレの番組デザインあをコンセプトにした展示。子ども向けでありながらも、体験型のコンテンツが多く、すごく面白かったです。クリエイティブ系の仕事の参考になりそう。(先日観てきた「谷川俊太郎展」と同じ、小山田圭吾さんが音楽制作に関わっているということもちょっと気になったポイントでした)

 東京でも行われるようです。また行こうかな……!

 

 常設展も充実していました。

 椅子のコレクション。じっさいに座って楽しめるものもたくさんありました。

 瀧口修造コレクション。個人的には赤瀬川源平作品があったのが良かった。

 シモン・ゴールドベルクコレクション。クラシック音楽も好きなので、流れているモーツァルトの曲も良かった……!

 そのほか、図書コーナーも充実。美術雑誌のバックナンバーやデザイン関係の書籍も充実していて、いくらでもいれそうでした……!

 オノマトペの屋上からの眺めも最高!

  

 カメラはロッカーに置いていたので、これはiPhone6sで撮りました。

富山市役所展望台

  美術館を離脱したあとは、運河周辺を散策。そして路面電車に乗って移動。

「粋鮨 富山第一ホテル店」にてお昼ごはん。お寿司おいしい……!

 

 近くの、富山市役所の上に展望台があるということだったので行ってみることに。

 

 

 一見、私がこれまで住んだところと大して変わらない、ふつうの地方都市のようにも思える富山。ですが、街並みの奥に立山連峰が連なるところはさすが北陸だなぁ、と思います。(私は転勤族だったけど、長野市より北には住んだことがないので)

富山城址公園

  市役所の近くには、富山城跡があります。その周辺の、富山城址公園を散策しました。

 城跡近くの雰囲気、地元の佐賀の、佐賀城跡を思い出して懐かしかったです。

 

  

 梅の花なども咲いていました。この時期、東京は桜が満開でしたが、富山ではまだのようでした。

富山ガラス美術館

 図書館などが入っている複合施設「TOYAMAキラリ」。その中にガラス美術館があります!

 有名建築家・隈研吾氏による設計の建物。開放感と迫力を兼ね備えた構造で、一見の価値アリです……!(個人的には、ここ、2年前の仙台旅行で訪れたせんだいメディアテーク」っぽさを少し感じました)  

 ふだん、「ガラスを使った作品」と聞いて思い浮かべるような、キラキラ華やかで繊細なガラスの作品だけではなく、ガラスとは思えないような豪快な作品も多数。

 とにかく見応えがありました。 

 

 キラリの館内も綺麗で気持ち良かった。カフェで食べたデザートも美味しかった。電車も見れたし。

 

海王丸パーク

 2日目は、富山市内を離れて西のほうへ。「あいの風とやま鉄道線」と「万葉線」を乗り継ぎます。

 これは万葉線。行きに乗ったのは古いタイプの車両でした。

 車内では、落語家の立川志の輔師匠によるユニークなアナウンスが流れていました。調べてみたところ、これは土日祝だけだそうですね。

 

 そんな、古い路面電車に長時間揺られて到着。射水市海王丸パーク」

 かつて使われていた船の「海王丸」船内の見学ができるようになっています。

 

 

 

 

 

 

 

  

 色々見れて楽しかった! たくさんの本や、信号旗などにはテンション上がりました……!

新湊きっときと市場

 海王丸パークからすこし歩き、お昼ご飯はここで食べました。

 大好きな蟹を食べられて幸せ……!❤️

 おみやげもたくさんあります。(が、荷物になってしまうのでここでは買いませんでした)

放生津八幡宮

 駅に向かう途中に立ち寄った神社。木彫りの狛犬や、近くに生えていた松の木がなぜか印象に残っています。

 

 

 

東橋

 赤い、色鮮やかな橋。周囲の街並みも含め、とても写真映えします。

  

 

 ちなみに、ポケモンGOポケモンジムにもなっていました。

 

 この近くにある「カフェuchikawa六角堂」で休憩。とっても雰囲気が良いところでした!

 

 惜しむらくは、ドリンクとデザートのセットはなかったこと。今回、私はデザート、同行者はドリンクを注文しました。

 あと、ここのお手洗いは変わったデザインで面白かったです。

高岡大仏 

 帰りの路面電車は、綺麗な新しい車両に乗れました!

 そして高岡駅よりすこし手前の駅で降り、大仏を観に行ってみることに。

 

 

 住宅街の中に大仏があるのは、すこし不思議な光景でした。ちょっと、名古屋大仏に似ている気がする。

 ちなみにここもポケモンGOポケモンジムになっていました。

 

 そして、徒歩で高岡駅へ。駅のそばには「ドラえもんの散歩道」がありました。ちっちゃかったです。世田谷区にあるサザエさんの像とは全然違う感じ。

 

 

 そして、再び富山駅へ向かいます。

 帰りの新幹線に乗る前に、富山の名物ラーメン「富山ブラック」を食べてみることに。

 黒いスープのラーメン。帰り、やや急いでいたこともあって味はじつはあまり覚えていないのですが、普通に美味しかった気がします。

 

 こんな感じの富山旅行でした!

 ちなみにこの日の夜、シェアハウスでの飲み会に顔を出す予定があったため、新幹線の中からZoomで実況しつつ移動したりとかの慌ただしさもあったのですが、それらも含めて面白かった!

 

 1日目は都市部で文化的なものを楽しみ、2日目は郊外で自然を楽しむ。すごく模範的な旅行ができた気がします。

 もし次にまた富山方面に行く機会があれば、今度こそトロリーバスに乗ってみたい。あと、富山は製薬業が盛んだったらしいのでそのあたりのことや、新幹線が通ったことによる周辺地域の影響についても、調べてみても面白いかも、と思ったりも。

 20年前に行方不明者が出た、魚津市にある肝試しスポット・坪野鉱泉も気になっています。

 あと、作曲家・岩河三郎の歌に出てくる地域(有磯など)を訪れてみたい、と思いました……!

f:id:wuzuki:20180512131857p:plain

 5年前はこんなツイートをしていた私。

 

  この本にも、富山の製薬業についてちょっと触れられてた。富山は電車の街だということも書いてある。 

るるぶ富山 立山 黒部 五箇山 白川郷’19 (るるぶ情報版 中部 5)

るるぶ富山 立山 黒部 五箇山 白川郷’19 (るるぶ情報版 中部 5)

 
中学生のための合唱名盤 岩河三郎作品集~コーラスとピアノ伴奏~

中学生のための合唱名盤 岩河三郎作品集~コーラスとピアノ伴奏~

 
女声合唱組曲 富山に伝わる三つの民謡 (1441)

女声合唱組曲 富山に伝わる三つの民謡 (1441)

 

スポンサーリンク

 

 

【同人誌】文学フリマに出展します

 インカレ学術系サークル「ヱスノメソドロジー研究会」こと、通称「ヱスノ研」。

 もともと「東洋大学エスノメソドロジー研究会」という名前でしたが、「ヱスノメソドロジー研究会」と名称が変わりました(研究者団体ではないので、そちらと区別するためだそうです)。

エスノメソドロジー」とは、平たく言うと、社会の構成の方法論を研究する社会学の一分野。このヱスノ研では自主ゼミや読書会を定期的に行っていて、私も参加したことがあります。

 じつは、私は勉強会そのものにはあまり参加できていないのですが(社会学にもっとも関心があった時期には都内に住んでいなかったので)、ヱスノ研のTwitterの中の人の投稿は好きで、労働問題や社会運動、社会学、その他学術系ツイートにはいつも刺激を受けています……!

 

 そんなヱスノ研で、この春、会誌を出すことになりました!

 私も寄稿させてもらってます。

スポンサーリンク

 

 

  私は今回、読書会やコミュニティ等の運営に関するエッセイと、(目次には載っていませんが)短い漫画を載せてもらっています。

 そのほか、ちょっと笑える読書ネタの読み物から、話題のサイト「メンヘラ.jp」についての考察、リベラリズムに関する論文などボリューム満点の会誌ができました。

 この会誌は、2018年5月6日(日)に流通センターで行われる「第二十六回文学フリマ東京」にて頒布予定。1,000円になる予定です。

 あと、私が2014~2015年にかけて発行していた同人誌「RAUM」も、ヱスノ研のブースに少し置かせてもらうかもしれません。そして、時間帯によっては私もブースで売り子する予定です。

 

f:id:wuzuki:20180425121505j:plain

 これは私が4年前に同人誌を出したときのもの。

 

 文フリの詳細はこちらをどうぞ。

文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ

 コミケが漫画の二次創作を中心とした即売会だとしたら、文フリは、オリジナルの文章の同人誌の即売会。小説、短歌、俳句、詩、などの本を出す人もいれば、エッセイや評論の本を出す人もいます。商業出版されている本が安く買えることも。ポストカードやしおり、CDなどの物販をしている人もいます。

 会場は東京の中心部からは少し離れていますが、羽田空港や品川駅からのアクセスもいい場所です。ゴールデンウィークの最終日でもあるので、よかったらぜひ、立ち寄ってみてくださいね。(17時に終わってしまうので注意)

スポンサーリンク

 

 

 

 

自己紹介、という名の買いたいものリスト

 はてなブログ今週のお題は「自己紹介」とのこと。

 思い返せば、このテのお題に沿った記事ってこれまで書いたことがない気がします。

 私は特に新生活を迎えたわけではないし、改めて自己紹介すべき相手はそう多くもありません。お花見も今年は2つしか行きませんでした。どちらももともとの知人が多い会なので、新たな友人もそんなに増えたわけでもありません。

 ただ、それでもこの春、一定数は新たな出会いもありました。

 また今後、活動の幅が広がる機会もありそうな予感もしています。なので、これを機に自己紹介的な記事を書いてみることにします。いえ、「買い物リスト」を書くことにします。

 先日、「欲しいもの、買いたいもの」をまとめているとき、ふと「これって結構私の個性が出てるんじゃないか。自己紹介になるんじゃないか」と気づいたので、「自己紹介兼買いたいものリスト」を書いてみます。

 

買いたいものその1:「リアリティ・ショウ」DVD

  最近はあまり観に行けていないのですが、趣味のひとつに観劇があります。京都の大学にいた頃、学生劇団を中心にあちこち観に行っていました。

 私は劇団そのものよりも、脚本家を重視するタイプ。その劇団のオリジナル脚本よりは、人気脚本家の作品を観たいなと思うタイプです。

 特に、鴻上尚史作品、本谷有希子作品が大好き。あの世界観を生み出せるなんて憧れしかないです。(鴻上さんの作品は、学生運動ジェンダー精神疾患、カルト宗教、SNS、日本の「空気と世間」などなど、とにかく私好みの要素がてんこ盛りなのも良い。脚本だけでなくエッセイも好きです)

 これまで観た鴻上作品の中でいちばん好きなのは、「リアリティ・ショウ」。京都のどこかの劇団が2010年頃に上演していたものを観た覚えがあります。終わりまでずっとハラハラさせられた作品でした。

 最近この劇を「また観たい」欲求が高まっているので、DVD購入に踏み切ってもいいかもなと思っています。

虚構の劇団『リアリティ・ショウ』 [DVD]

虚構の劇団『リアリティ・ショウ』 [DVD]

 

買いたいものその2:単焦点レンズ

 昨秋、Canonのミラーレス一眼を購入しました。それからはいろんなお出かけに連れていってます。最初は自動設定でばかり撮っていましたが、シャッタースピードや絞り、ISO感度などの調整に少しずつ慣れてきた今、もっと写真が面白くなってきています。インスタの「いいね」の数も少しずつ増えて嬉しい限り。

 写真の構図については、この本で勉強中。 

写真構図のルールブック

写真構図のルールブック

 パートナーからも言われましたが、構図を理解できるようになると、美術館で絵を観たり、広告を眺める際にも「面白い」と思えるポイントが増えますね。

 そんな私が今気になっているのは、単焦点レンズ。ズーム機能がない代わりに、明るく、背景のボカシを作りやすいレンズです。ズームに頼らず、自分の足で構図を作っていくことも、構図の勉強になりそうです。

 具体的にどのレンズを買うかはまだ迷い中……! 土曜日に友達たちと横浜に写真を撮りに行くつもりなので、それまでに買おうかしら。みんなと会う前に横浜のビックカメラで買ってもいいかもなぁ……。

Canon 単焦点レンズ EF50mm F1.8 STM フルサイズ対応 EF5018STM

Canon 単焦点レンズ EF50mm F1.8 STM フルサイズ対応 EF5018STM

スポンサーリンク

 

 

買いたいものその3:トレス台

 子どもの頃の将来の夢はマンガ家でした。でも、絵を描くことは好きだけど疲れてしまうので、漫画は諦めて文章のほうを頑張ろうと目標変更したのが中学時代。しかし文章のほうが競合は多いということに気づいた大学時代。そして、下手だろうが何だろうが、手描きイラストや四コマ漫画は意外と目を留めてもらえることに気づいたのが社会人になり同人誌を作るようになってから。

 ペンタブも持っているのですが、もう少しアナログ絵で頑張りたい気持ちもあるので、トレス台の購入を検討しています。(というか先日、同人誌に載せる漫画を描いた際に「あぁ、トレス台があれば描きやすかったかもなぁ……」と思ったので)

 

 

買いたいものその4:パソコン台

 職場でも自宅でも、デスクワークの際の望ましい姿勢について最近よく考えています。特に、自室に備え付けの椅子は高さ調節ができないものなので(しかし引っ越す可能性もあるため家具は増やしたくない)、クッションを変えてみたり、パソコン台を置いて高さ調整を試みようと検討中。

 パソコン台は、以前から「あったらいいかもな」と思ってはいたものの、優先度は低く購入を見送っていました。しかし最近、自室のパソコンでものを書く時間が長くなってきて、必要性を感じるようになってきたので購入検討中。ちなみにワイヤレスキーボードはすでにあるので、それを使うつもり。

リヒトラブ 机上台 TEFFA A7330-0 白

リヒトラブ 机上台 TEFFA A7330-0 白

 

買いたいものその5:バイオリンの弦

 バイオリンの4本の弦の中でいちばん細い、E線が切れちゃったので……。

 大学以降に知り合ったひとだと、私に音楽のイメージがある方はあまりいないようですが、私は幼少期から中学までバイオリンを習っていました。じつは音楽系の学校への進学も考えていたくらい(ピアノが弾けないので諦めましたが)。

 最近はあまり音楽活動はしていませんが、演奏したり歌うことは割と好きです。あと、弦の購入とは関係ありませんが、パソコンで音楽を作るDTMにも憧れています。今年こそ絶対なにか作るぞ。

Dominant ドミナント 4/4バイオリン弦セット

Dominant ドミナント 4/4バイオリン弦セット

 

 

(※日用品を除くと、あとは、衣類や本で購入検討中のものがいくつかありますが割愛)

 こうして書き並べてみると、表現に関するものが多いですね。「リアリティ・ショウ」のDVDが欲しいのも、「脚本を書きたいので、面白かった舞台を観なおして参考にしたい」というモチベーションもありますし。

 

 いろんな種類のコンテンツを観たり聴いたり体験したりしていると、ふだんの生活の中で、自分が「表現したい、作ってみたい」と思えるものの幅も広がります。

「これは小説のネタになりそう」「このオチはマンガっぽいな」「このノリは会話劇で再現してみたい」「この瞬間は写真で切り取ろう」「ここに合うものを作ってみたいな」「ここの需要ってもっとありそう」などなど……。

 とりあえず公私ともに、できること、得意なこと、自信のあることをもっともっと増やしていきたいです。 

谷川俊太郎展はいろんな楽しみ方ができる

 思春期の頃に比べると読むほうからも書くほうからもやや遠ざかってしまいましたが、それでも詩は好きです。

 そして、合唱曲はもっと大好き。Nコン合唱部門の課題曲を作ることは中学時代からの夢です。そんな私です。

 

 3月10日土曜日、初台のオペラシティで開催されている谷川俊太郎展」に行ってきました!

谷川俊太郎展|東京オペラシティアートギャラリー 

 

2018年3月25日(日)までなので、興味ある方はお早めに!

 

 この展覧会は、日本でもっとも有名な詩人・谷川俊太郎さんの仕事をさまざまな形式で展示したもの。 

 教科書や絵本などでその名前・作品は子どものころから知っていましたが、私がより興味を持つようになったのは中学時代。合唱曲にドはまりしていた時期があり、そのときに谷川さん作詞の合唱曲もよく聴いていました。「春に」「信じる」「二十億光年の孤独」「サッカーによせて」「生きる」あたりが有名かと思います(私は「じゃあね」が好き)。

 また、家族が薦めてくれたので読んだ谷川俊太郎質問箱』という本も大好きで、2008年、2012年、2014年に繰り返し読んでいます。(続編もあるようですがそちらは未読……!)

谷川俊太郎質問箱 (Hobonichi books)

谷川俊太郎質問箱 (Hobonichi books)

 

 2014年に、愛知県春日井市で「谷川俊太郎 ことばとアート」展というものが行われていたこともあるのですが、私はこちらにも行ったことがあります。めちゃめちゃ楽しかった……! 近所の喫茶店とのタイアップ企画があったりしたのも良かった。2014年に行った展覧会の中では2番目に良かったです(1番は岡崎市での葉祥明展)。というか私の中では2014年は展覧会・アートプロジェクトの当たり年で、ヤンキー人類学(広島県福山市)、これからの写真(愛知県名古屋市)、BIWAKOビエンナーレ滋賀県近江八幡市)など、どれもすっごく面白かった……!

谷川俊太郎 ことばとアート|公益財団法人 かすがい市民文化財団

 

 さて、今回の「谷川俊太郎展」ですが。

 結論から言うと、正直、4年前の「ことばとアート展」のほうがカラフルで、言葉のうまみをたっぷり味わえて、琴線揺さぶられて面白かったです。ことばや詩、表現など全力で楽しんでいる感じがあったというか。今回は、「谷川俊太郎の仕事」に目を向けた展示だったなぁという感じです。

  

 入館すると、まず、やや暗めの展示室に入ります。音声と映像のインスタレーション

 立ち止まって動かずにいるひとが多く、「え、今ってもしかしてなにかのワークショップの最中? 動いちゃだめな感じ?」と、やや焦りました。

 

 しばらく歩くと、広めの展示室に辿りつきます。ここがいちばんのメイン会場かな。

 谷川さんが作詞を担当した「鉄腕アトム」の曲が流れていたりも。順路はなく縦横無尽に動いて鑑賞できるエリアです。

 詩を書く際に使っていたワープロやパソコンなどの仕事道具、工具類、代表作、愛用のTシャツ、食事風景、家族との写真、本棚などなど、谷川さんに関するさまざまなものが展示されています。壁に、手書きのつぶやきが貼ってあったりも。

  

  

 洗いざらしのTシャツ。この日の気温も相まって、詩は天気のいい休日と相性がいいなぁ、なんてことを思ったり。

 谷川さんの言葉の選び方はやっぱりいいなぁ……。はじまりたての思春期のころを思い出すというか。教育現場でよく引用されるのもわかる気がする。そんなことを考えながら鑑賞しました。死生観についての詩には目頭が熱くなったりも。

 

 この展示室を抜けると、書き下ろしの新作の詩が一篇。

 

 そして出口のそばには、「3.3の質問」と題された映像作品。谷川さんだけでなく、さまざまな分野で活躍されている方の「3.3つ」の質問とその回答が映像として流れています。

 私にとってもっとも印象的だった質問は、「もし人を殺すとしたら、どんな手段を選びますか?」という問い、そしてそれに対する、とある回答。「この人(?)にその問いを投げかけるとは。なるほど。その質問をしてみること自体がある種の面白い試みだなぁ……」と思いました(誰の回答なのかはここでは伏せます。展示をご覧になっていただければ分かると思います)。

 

 今回の展示は、特定の作品をクローズアップしない範囲での写真撮影はOKでした。

 今回、思っていたよりボリューム少なめの展示だったので、入館してひと通り写真を撮りながら観たあと、図録を買って再び入り直す(当日のみ再入場可なので)……という鑑賞スタイルを取りました。

 一度目に入ったときは、音声と映像の部屋からは早めに立ち去ってしまっていたのですが、二度目のときは、じっくり鑑賞してみることに。

 詩の朗読と文字が流れる映像だけでなく、背後に流れる音楽がなかなか心地よいことに気づきました。

 そしてこのときは、歩きまわっているひとは少なかったです。さっき入ったときは私はあまりじっくり鑑賞しないまま歩いていたので、同じように歩くひともちらほら見受けられましたが、今回はあまりいない。立ち止まっているひとが多いとほかのひとも立ち止まるということが、少し面白かったです。

 

 続いて、展示のコーナー。二回目に入ったときはあまり写真は撮りませんでした。さっき入ったときは、私があちこちにカメラをかざしながら歩いていたのもあってか、スマホを掲げているひとやシャッター音も目立っていたのですが、このときはそうでもなかった。

 歩くこと。写真を撮ること。スマホを出すこと。周囲の振る舞いや鑑賞行動が良くも悪くも他者に影響を与えることについて、すこし思いを馳せてみたりしました。

 

 展示されているTシャツを触ってしまい、警備員から注意されているひとがいたことも印象に残りました。

 絵画は触ることを前提とした作りにはなっていないし、触って楽しむ習慣もないため、そういったトラブルは起こりにくいと思うのですが、「服が飾られている」シチュエーションはアパレルショップなどで日常的に見掛けるために、それらと混同して「触ってしまう」ことが起こりやすいのかもしれません。

 

スポンサーリンク

 

 

 谷川俊太郎展のチケットの半券で、同時開催のほかのふたつの展示も観ることができました。

www.operacity.jp

www.operacity.jp

 宮本穂曇展は、こういった場で鑑賞するものとしてはあまり私好みではなかったです(もっと現代アートっぽい場とか、ネットなどで見る分には絵が映えて面白い)。

「なつかしき」は、日本の風景画と、白黒の住宅写真が中心。こちらは面白かったです。まるで旅をしているような気分になって、ふたつの意味で「旅の面白さ」を感じた気がします。

 ひとつは、「いろんな風景を観ることの楽しさを再確認できた」ということ。

 もうひとつは、「行ったことのある場所の思い出と、そこの風景画を重ねられるのって面白いな」ということ。

 もちろん、図録や写真集、ポストカードやウェブサイトでも風景を楽しむことはできますが、歩きながら楽しんだり、目線の位置を意識したり、そういうことは美術展ならではの風景の楽しみ方だなぁと。

 日本の民俗学とか歴史や文化に詳しかったら、白黒の住宅写真のほうももっと楽しめたかも。そんな展示でした。

 

スポンサーリンク

 

 

 今回の「谷川俊太郎展」は、4年前の「ことばとアート展」ほど好みではなかったことのひとつに、映像作品が多かったことがあります。

 展示を眺めたり、本を読むのはじぶんのペースで楽しめますが、映像ってじぶんのペースで楽しみにくいので、展覧会の文脈の中で鑑賞するにはどうにも苦手で……。そこがやや惜しかった。 

 ただ、人間性に触れる展示物が多く、谷川俊太郎さんにいつかお会いしたい気持ちはますます強くなりました。

 展覧会での、作家の在廊日やイベントがある日の情報って見落としてしまうことも多いのですが、今後は次のイベントを見逃さないように、Googleアラートに「谷川俊太郎」をしっかり登録しましたよ……! 

  谷川さんは、2018年現在86歳。現在も新作を読めることの喜びをひしひしと感じます……!

 

 今回の展示の図録というか関連書籍の『こんにちは』は、一般の書籍として発売されているため、書店や通販でも買えるようですが、オペラシティのギャラリーショップで買うことをおすすめします。表紙の色も3種類から選べますし、レシートに、谷川さんの遊び心あるメッセージが記載されているので……!

こんにちは

こんにちは