これからも君と話をしよう

一度はここから離れたけれど、やっぱりいろんな話がしたい。

私にとっての「今年の漢字」2022ver.

 2022年は魚座にとってラッキーイヤーだと占い雑誌で読み、ちょっと期待していたものの、まさかのおみくじは「凶」で始まるスタートという。

 思い返せば、ここ数年間、年末年始は結構悪いことが起こってるんですよね……。

 2022年の年明けの際は、年始の挨拶も、とてもじゃないけど「おめでとう」と言える気分ではなく、「今年もよろしくお願いします」だけにしていました。

(「その年が良い年かどうか」という話とは別として、年末年始に悪いことが起こってます。今回は起こりませんように!)

 初詣の際、友人たちに不安な気持ちを打ち明け、年始の悩み事は結果、問題ないカタチで落ち着きました。

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今年の振り返り

「2022年は魚座にとってラッキーイヤー」とのことでしたが、すごくドラマチックな出来事はなかったものの、全体的に良いこと多めの、楽しい年になった気がします。

 今年を振り返ってみると、今年満遍なく行っていたこととしては、下記の内容が当てはまりそうです。

  • 職場近くのスポーツセンター
  • セルフエステを契約
  • 四谷三丁目のチェコ料理屋「だあしゑんか」
  • 動物の施設に色々行った
  • プロレスを何種類も観た
  • 新しく近所にできたサウナにいくつか行った

スポーツセンター

 今まで、自宅近くや隣の区のスポーツセンターによく行っていたんですが、今年の1月からは、職場近くのスポーツセンターにも行くようになりました。

 職場からは思いの外近くてアクセスも抜群です。ただ、通勤経路とは正反対の方向なのがちょっとめんどくさい。

セルフエステ 

 今年、あまりにも太ってしまったというのもあり、春から「ボディアーキ」に登録しました。

 ここに通い出したからといってすぐに劇的に痩せる、ということはありませんが、普通のダイエットと併用して効果を出す感じのセルフエステ……という感じでしょうか。

 マシンの使い方に慣れてからは、施術中にスマホで映画やドラマ、アニメなどを観るのにハマってます。エステの機械の操作の都合上、Bluetoothイヤホンの使用が難しいところがあるので、イヤホンジャックのある端末で、有線のイヤホンを使って観るのがおすすめです)

 ちなみに私の招待コードは「8hteq5467」です。

 初回体験・入会は次のリンクよりお願いします。

s.bodyarchi.com

だあしゑんか

 四谷三丁目と曙橋駅の間にある、チェコ料理屋のお店です。今年3月から、毎月のように行っていました。

 ここ、よく遊ぶ友人たちの行きつけのお店で、店内にはそのうちの一人の著書も置いてあったりします。

 私がだあしゑんかに行っているツイートを見たフォロワーさんが、行ってくださったりもしたようです。

htnmiki.hatenablog.com

 ブログ内にもありますが、週末のランチの開催は不定期なので、お店のTwitterで確認して行ってみるのがオススメです。

 ちなみに店名は、チェコの作家・カレルチャペックの飼い犬の名前「ダーシェンカ」からだそうです。

動物関連施設

 2月の和歌山旅行で行った「アドベンチャーワールド」のほか、幼少期に行ったことがある「羽村市動物公園」、そして知人がイベントのスタッフをしていた「千葉市動物公園」と、3種類の動物園に行った年になりました。

 あと、亀戸にある「シマリスカフェ」にも行ってみました。最高でした!

 今年、私のインスタでは、シマリスカフェの投稿が最も「いいね」がつきました。

www.instagram.com

プロレス

 プロレス、これまでは2017年の夏に一度、愛知県岡崎市で観たことがあるだけだったのですが、友人からお誘いいただき、今年はプロレスの試合をいくつも観にいっちゃいました!

 DDT、スターダム、大日本プロレス、どれもそれぞれ違った魅力があって面白い。

 人を軽々と投げ飛ばしたり、飛び降りながらキックしたり、衣装も煌びやかで華やかだったり、デスマッチでは流血しながらも戦いを続けたり……。

 まるで、漫画やアニメの世界を見ているような気分になれます。

サウナ

 2018年頃から、銭湯巡りが好きであちこち行ってはいたのですが、サウナはそれほど興味がなくて、あまり行ったことがありませんでした。

 ところが最近、家の近所に次々とサウナができ始めて、それを機に(というわけでもないんですが)サウナにも興味を持つようになりました。

 個室サウナの「Little Retreat」、生姜焼き専門店が運営するというサウナ「金の亀」が割と近所なのですが、どちらもとっても良かったです!

「金の亀」のサウナ飯、生姜焼き。

 

 普通の銭湯だけじゃなく、スーパー銭湯も今年はいくつも行っちゃいました。

 有明にある「泉天空の湯」、巣鴨にある「染井温泉SAKURA」はいずれも2回ずつ行っちゃいましたね。

 そのほか、千葉市動物公園の帰りに友人と行った「蘭々の湯」も良かったです。

 そして、和歌山旅行の際も、白浜では温泉を楽しみました。(すでにブログで書いてているので割愛)

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今年の漢字

 さて、前置きが長くなりましたが、私にとっての「今年の漢字」を発表しようと思います。

 今回はもう、割と早い段階で「今年の漢字は、これしかないな」と決めていましたね。

「紀」以外は、考えられませんでした。

 

 

 半年前のブログにも書きましたが、友人が昨年12月に出版した『21世紀の道徳』という本を読んだことは私の中で大きな出来事でしたし、
 この本の出版の決定がきっかけとなり、友人を通じて出会った和歌山在住の方とも仲良くなり、彼の地元の和歌山に訪れることができたのも、とても大きな出来事でした。

 そんなわけで、私にとっての「今年の漢字」は、「21世紀の道徳」と、和歌山を意味する「紀の国」からとって「紀」としたいと思います。

 

 ちなみに、今までの「今年の漢字」はこんな感じ。

2006年 諦(受験で諦めるものが多かった)
2007年 再(再会、再開、再履修。笑)
2008年 文(文芸部に加入)
2009年 人(新しいバイトやビジコン参加で出会いが増えた)
2010年 会(Twitterでさらに出会いがたくさん)
2011年 繋(東日本大震災、友達同士をたくさん引き合わせた)
2012年 動(引っ越しや就活や旅行での移動)
2013年 交(みんなより少し遅れて社会人に。いろんなひととの交流が増えた)
2014年 焦(結婚や独立する友達への焦り)
2015年 (結婚話が破談、引っ越し、家族とのあれこれ)
2016年 (旅行、身近な人の独立、訃報など)
2017年 (ものづくり好きな人との交流、同人誌やハンドメイド)
2018年 (脱毛、献血、親知らず抜歯など)
2019年 (転職や営業の仕事で「選ばれること」を意識)
2020年 ベトナム旅行、新潟の人たちとの縁)
2021年 (水商売と下水道)

 それではみなさま、良いお年を。

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グルメとまち歩きと、そしてこれからと(3日目:金沢)

 思えば、こういう旅行ってだいぶ久しぶりかもしれません。「友達に会う」のがメインの旅行。
 東京に長く住むようになってからは、「友達と旅行」をすることはあっても「友達に会いに行く旅行」はしたことなかったかも。

 そんな、ゴールデンウィークの金沢・富山旅行、3日目について書こうと思います。

 前回の記事はコチラ

戻ろう、金沢へ

 前日の夜は割とゆっくり休むことができ、この日は割とのんびり朝ごはんを食べることができました。

 

 ホテルを出たあとは、地下道を通って富山駅へ向かいます。

 いろんな掲示物があり、気になったのでつい撮影してしまった。

 観光地じゃない、こういう、住民の生活空間で見かけるものを観察することのほうが実は好きです。

 

 富山駅からは、高速バスに乗りました。

 そして、バスに揺られること1時間とちょっと。金沢駅に到着します。

 

 金沢でまず会うのは、Eちゃん。私より二つ年下の女友達です。

 私の大学時代の友達を通して4年前に知り合い、一緒にフリマに参加したことも。

www.wuzuki.com

 コロナ禍を機に地元の金沢に戻り、勉強をしてデザイナーになったというEちゃん。会うのは3年ぶりかもしれません。

 

 Eちゃんは、金沢駅まで車で迎えに来てくれました。あいにくこの日は雨だったので、車を出してくれるというのはありがたい……。

 事前にLINEでおすすめの美味しいお店も色々教えてもらっていたので、この日はそれらを巡ることにしました!

 

お昼ごはんにはお寿司を食べよう

 まずEちゃんに連れていってもらったのは、コチラ。

saemon-kanazawa.com

「左衛門(さえもん)」というお店。回転寿司のお店だそうですが、ランチのセットがコスパが良いんだとか。

 家族連れっぽい人たちが多く、賑わっていました。

 

 お寿司も茶碗蒸しもとっても美味しくて、東京にあるチェーン店とは違う……ということを改めて実感しました。

 ひと口ずつじっくり味わい、1時間近くお店にいました。

ハンモックのあるカフェに行こう

「左衛門」を出たあとは、30分近く車に乗ります。

 次に行ったのは、店内にハンモックがあり、田舎のいい感じの風景を楽しめるというコチラのカフェ。

yalebanobiru.wixsite.com

 

 この日はあいにくの雨ではありましたが、それでものどかな雰囲気は伝わってきました。

 また、このカフェは普段は、ハンモックの席は人気なのですぐに埋まってしまうんだとか。この日は雨だったこともあってか空いていたので、私たちはハンモックの席に座ることができました。

 

 コーヒーの器もいい感じ。このお店、割と新しいみたいで、店内がとても清潔感があります。木を基調としたインテリアも、新しいのにどこか懐かしくて好きな雰囲気です。

 可愛いハンドメイド品なんかも売っていました。

湯涌温泉に行ってみよう

「とある丘」に向かう途中の車の中で、私が「今回、温泉には行けそうになかった」という話をしたら、Eちゃんが「じゃあ、湯涌温泉に寄ってみる?」と提案してくれました。

「とある丘」から、車で10分くらいのところにある、コチラに寄りました。

yuwaku.gr.jp

 1時間ほど、Eちゃんと一緒にお風呂に入りました。このときは雨も一時的に落ち着いていました。

 露天風呂は屋根もあり、快適でした。私たちの貸切状態。

 新緑を眺めながら、ふたりでいろんな話をしました。

 共通の友人の近況、仕事の話、そして、恋愛の話……。

 

 私まわりの温泉・銭湯好きな友達って男性が多いので、こうして女同士で温泉でおしゃべりするの、すごく久しぶりで新鮮でした。

近江町市場や、フルーツパーラーを楽しもう

 温泉から出たあとは、金沢市内の中心部に戻ることにします。

 車で30分ほど走り、まずはお土産を買いに近江町市場へ。

ohmicho-ichiba.com

 

 この商店街の中にある「酒の大沢」という酒屋さんで、お土産用の日本酒を買いました。

(あと、なぜかここではおまけとして東京オリンピックのキャラのキーホルダーやマグネットももらえるようになってた)

ohzawa.jp

 

 近江町市場は、お天気が悪かったにもかかわらず賑わっていました。

 観光地でもあるし、日常の買い物をする場所でもあるんでしょうね。

 

 そして買い物のあとは、少し歩いてコチラに行きました。

www.murahata.co.jp

 フルーツパーラーが有名なお店なんだとか。

 少し並んだものの、そんなにすごい行列というわけではない感じでした。

 この日はお天気があまり良くなかったからかな。天気の悪い日だと、普段はもっと並ぶらしいお店でも、そんなに並ばずに入れるのはメリットですね。

 

 フルーツのパフェ、爽やかな甘さで美味でした。行列ができるのも納得の味。

 

「フルーツむらはた」を出たのは、16時50分近く。

 

 夕方、17時半からは、私は別の人と金沢駅で待ち合わせをしています。

 Eちゃんは、駅に向かう途中まで車で送ってくれました(途中で道が混み始めたので、歩いたほうが早く着きそうだった)。

 

 Eちゃんと初めて会ったのは2018年、共通の友人と自由が丘の「ピーターラビットカフェ」に行った時でした。

 2019年、吉祥寺のフリマに一緒に出店したあと、2人で吉祥寺のカフェでしばらくおしゃべりしていたことはあったものの、最初から最後まで2人だけで遊んだのは、初めて。

 改めてじっくりお話することで、いろんな価値観が垣間見れて楽しかったなぁ、またこうして遊びたいなぁ……と思ったものの、もう金沢で暮らしているEちゃんとはそうそう簡単には会えないんだな、ということを感じてふと寂しくなったり。

 なんだろう。私は転勤族育ちだったから、仲良くなった友達とも離れることがあるのは普通のことでした。でも大人になり、なまじ遊びに行けるからこその寂しさもあるんだな……なんてことも、今回ふと感じました。

 ただ、寂しんでばかりもいられません。私にはこれから会う人がいます。

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金沢は芸術の街、最後の夜が始まる

 金沢駅に着き、ロッカーに余分な荷物を預けます。お手洗いにも行っておこう。

 そんなこんなでバタバタしながら、17時半過ぎ。私は待ち合わせ場所へと向かいます。

 金沢駅東口の、もてなしドームにある「思い出のピアノ」。

pianos.pub

 待ち合わせにここを指定したのは彼でした。多才でピアノも得意な彼らしい、ロマンチックな選択です。

 近寄ると、ピアノを弾いていた彼が立ち上がり、両手を広げて私を迎えてくれました。

「Aさん!」

 

 そう、私が金沢で最後に会うつもりだったのは、最近よく一緒に遊んでいるAさんでした。

 普段は関西に住んでいるけれど、東京にも頻繁に来ているAさんとは去年の夏に共通の友人を通じて出会い、今年の2月は一緒に和歌山旅行もしました。

www.wuzuki.com

 昨年7月から、なんだかんだ月に一度は顔を合わせていたものの、今年の4月は初めて一度も会うことがありませんでした。

 なので、5月の最初にようやく会えたのは、すごく嬉しい!

 

 ……ただ、Aさんが北陸に行く理由をはぐらかしていたことや、やり取りの中で「最近は事情があって、お酒を控えている」という話をしていたことが気になっていました。もしかして何かの病気かな……?

 

 Aさんと金沢駅で合流後は、まずはバスで「21世紀美術館」を目指します。

 バスの中では、大学生くらいの男性二人組が「4°Cは女性へのプレゼントにどうなのか」といったTwitterみたいな話をしていたのが印象的でした。

 バス停から歩いて、美術館に向かいます。

 

 ジョジョ展がやっていました。時間的に観れなかったけど。

 

 21世紀美術館、到着が遅かったので展示室には入れなくなっていましたが、館内にあるベンチに座って、外の景色を眺めながら、Aさんと二人でずっとおしゃべりしてました。

 そういえば大学時代、文芸サークルの先輩から、ジョジョの小説版を貸してもらったこともあったなあ、なんてことを思い出したり。Twitter有名人の話をしたり、共通の友人の話をしたり。

 

夜の兼六園カップルでいっぱい

 美術館に1時間ほどいたあとは、兼六園へ向かいます。

 有名な観光地なので、楽しみにしていました。

 とても賑わっていて、歩きながら写真を撮っていたので、ブレてしまったものがたくさん……。

 

 夜の兼六園は夜景を観にくるカップルが多い、ということはEちゃんからも聞いていました。

 若い人だけでなく年配の方もいて、私とAさんに対して「若いお二人」と言われるような場面もありました。私たちも結構いい年なんだけど若く見えるのかな、なんて心の中で苦笑したりも。

 兼六園やその周辺をひたすら歩き回り、ふたりでいろんな話をしました。漫画にも造詣の深いAさんと、黄金期の「りぼん」の話をしたり、少女小説の話をしたり。

 あとは、「旅行では、本当は観光地にはそこまで魅力を感じない。見せられるために作られたお庭とかよりも、大きな岩のような自然物や、見せ物としては作られていないような建物や街並みに興味がある」という点が一致したのも、嬉しかったです。

 

 そして、Aさんが北陸に来ていた理由、お酒を控えている理由についても教えてもらいました。

 まさかの、「車の免許を失効させてしまったため、再取得のための合宿で能登半島に来ている」というオチだったとは……!(笑)

 あぁ、お酒を控えているのもそういう理由だったか、私とホテルに泊まれないのもそういう理由だったか……と、全てが腑に落ちました。

 

 そして、あまりにも外を歩き回りすぎたので、ふたりで夕食を食べる時間がない!

 慌てて金沢駅に戻りましたが、もう、どこの飲食店も閉まっていました。

 私はお土産屋で、お土産の他に自分が食べるお弁当を買います。

 そんな、最後の最後までAさんは付き合ってくれました。

 

 私はこの日で金沢から帰りますが、Aさんはもうしばらく北陸にいるそうです。

新幹線の中で、嬉しい連絡が

 それにしても、普段は東京でよく遊ぶ人と、まさか金沢でふたりで一緒に過ごせるなんて、ちょっぴり不思議な気がしました。

 そしてその一方、もうどんなことがあっても不思議じゃないな、なんてことも同時に思いました。

 

 思えばこの旅行で会った友人たち、みんな誰ひとり「会社員」じゃないんですよね。

 初日に会ったMくんはトロンボーン奏者、2日目に会ったKくんは文学研究者、そして最終日に会ったEちゃんはフリーのデザイナーで、Aさんは翻訳者。

 知り合い方も、みんなバラバラ。

 そんなバラバラなみんなと、久々の再会での思い出話だけじゃなく、今の話、これからの話など、とにかく全体的に「前向き」な話ができたことが嬉しい旅でした。

 

 そんなことを考えながら、私は帰りの新幹線の中で、買ったお弁当を食べることに。

 

「……あ」

 

 そのとき気づきました。指輪を、Aさんと会う前に寄ったお手洗いに忘れてきたことに。

 私がこのツイートをしたら、その瞬間、Aさんから電話がかかってきました。

「駅の忘れ物センターに指輪が届いていないか訊いてみる。もし指輪が届いていたら、自分が受け取って、次に会うときに渡す」と……!

 

 指輪自体は安物だし、思い入れがあるわけでもないので、そんなに悔しさはありません。

 それよりも、Aさんがこうして気遣ってくれたことが何よりも嬉しく思えました。

 

 もし指輪が見つかったら──Aさんは、どんなふうに私に指輪を渡してくれるかな?

 彼が私の指に指輪を嵌めるところを想像し、ひとりで赤面しながら新幹線に揺られていました。

 

 

(※結論からいうと、指輪は結局見つかりませんでした)

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本とお酒と、そして思い出と(2日目:金沢〜富山)

 転勤族育ちだった私が大人になってから絶対やろうと思っていたのは、「友達が引っ越したら、その地域に遊びにいくこと」。

 わざわざ遊びにいきたいと思えるような友人ができたことも、会いに行こうと思ったら連休を利用して遊びにいけるくらいの余裕ができたことも、ささやかだけど私にとっては喜ばしいことだったりします。

 遅くなってしまいましたが、金沢・富山旅行記2日目です。(前回の記事はコチラ

旅行中、唯一の晴れの日

 金沢1日目はぐっすり眠ったかと思えば、起きがけに足が攣ってしまったり。2日目の朝は少し慌てながら朝食会場へ。泊まったホテルの隣の建物が朝食会場でした。

 

 そして10時過ぎ、ホテルをチェックアウト。

 前日と違い、外は晴れてる……! テンション上がります。

 そして、昨日も行った「石川県立音楽堂」に向かいました。

ピアノコンサートで癒されよう

 今回のお目当ては、こちらのピアノコンサート。

concert-search.ebravo.jp

 オーディションに合格した子たちによる、ピアノの演奏会なんだとか。「風と緑の楽都音楽祭」の企画の一つだそうです。

 この日は夕方から富山で友人と飲むことになっていたものの、それまではだいぶ時間があるので、何かイベントないかな……と思っていた矢先に見つけたのがこちらのコンサート。プロではない子ども達の演奏ではあったものの、皆さんオーディション合格者だけあって上手い!

 そして演奏会が終わり、昨日Mくんにおすすめしてもらったお店でどこかランチを食べよう……と思ったものの、外、なんだかちょっと寒い。

 私の中では、ゴールデンウィークは「初夏」として過ごすことが多かったので、この日はだいぶ軽装でいました。

 しかし、金沢は晴れていてもちょっと寒い。

 駅構内で、厚手のハイソックスとストールでも買おう……と思い、お昼ごはんより先に衣類を買うことにしました。

駅構内で見かけたもの

 金沢駅構内を歩いていて、こんなデジタルサイネージがあり、思わず見入ってしまいました。

 この金沢の男性の殺人事件は、身内の誕生日と同じ日に発生したのでなんとなく覚えていました。しかもWikipediaでも警察署のページでも「独身男性殺人事件」なんて名称がついているんですよね。なぜ「独身」を事件名にいれているんだろう。

ja.wikipedia.org

 

 事件解決を願いつつ、商業施設「金沢百番街」の中へと向かいます。「靴下屋」でハイソックスを買い、3coinsでストールを買い、靴下はトイレで履き替えました。

 あったかくなったので、昼食を食べにいくことに。

「とんとん亭」でランチを食べよう

 金沢駅から歩くこと、10分と少々。昨夜、Mくんから教えてもらったお店のひとつ「とんとん亭」に着きました!

tabelog.com

 なかなか混雑しており、人気店ということがひと目でわかるくらい。

 ただ、そんなに待つことなく入れました。

 そして、待ちに待ったトンカツ……非常に美味しい!

 衣のサクサク感もお肉の柔らかさも、今でも思い出せます。人気店になるのも納得。

 

 食べ終えたあとは、再び金沢駅方向に歩きます。

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電車の中で楽しもう、どこかに着く前に

 今回、富山旅行が決まった日から読み進めていた本はこちら。

 先日、私のブログでも紹介したので覚えている方もいるかもしれませんね。

 富山出身のサブカル好きな女性が夢破れて地元に戻り、そこで改めて地元の富山で頑張っていく様を描いたエッセイ。読了まであと少し、というところまで読んでいたので、富山に向かう電車の中で読みました。

 そして、富山駅に到着するのとほぼ同時に読了!

 

 ほんとは、本の表紙と同じところで写真を撮ってみたかったんですが、本の表紙はおそらく北陸新幹線のホーム。今回は諦めました。

 

 駅構内では、古本市が行われていました。

 あとから知りましたが、この古本市、『どこにでもあるどこかになる前に。』の著者の藤井さんも出店されていたそうで。なんだかタイムリーな巡り合わせでした。

 

 そして一旦、富山駅を離れてホテルにチェックイン。

 今回の富山のホテルは、こちら。

www.h-prime.jp

 前日に泊まった金沢のホテルよりも安かったものの、フロントが豪華でちょっとリッチな感じ。テンション上がりました。

 そして部屋に旅行の荷物を置き、最低限の所持品を持って、この日会う予定のKくんとの待ち合わせに向かいます。

出会ったのはもう8年前

 この日会うKくんは、私より3つ年下の文学研究者。今年度から富山の学校で教えているんだとか。

 私たちが初めて会ったのは2014年、お互い名古屋に住んでいた頃です。Kくんは大学院生でした。私も運営に携わっていたこともある「ゲンロン名古屋クラスタ」主催の読書会で知り合いました。

 その読書会で読んだ本は何だったかな。『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』だったような気がします。

 それからも読書会で顔を合わせたり、一緒にお芝居を観に行ったり、夜中に今池の安居酒屋で飲んだこともあったような。演劇と文学と映画とお酒が好きなKくん。私と同じ、劇作家の鴻上尚史ファンという点が同じなのも親近感が湧きました。

 2015年夏に私が名古屋を離れてからも、1〜2年に一度くらいのペースで会う機会があり、去年と一昨年は一緒に福島旅行に行ったりも。

▼2020年9月、いわき・双葉など浜通りの旅行

www.wuzuki.com

▼2021年3月、白河・郡山など中通りの旅行

www.wuzuki.com

 なんというか、異性の親友というものがあるとすれば彼のような存在かもしれない、ということを感じる存在です。

 特に、文学やアカデミアや映画批評の話に関しては、いつも刺激を受けています。

 本や作品に対しては厳しい意見も出しつつ、普段のメッセージのやりとりでは絵文字やスタンプの使い方もすごく可愛い。

 私は20代前半くらいの頃までは、頭の良さそうな人、知的な人と出会って「仲良くなりたいな」と思っても、なかなか仲良くなれない(恐れ多くて近寄れない)ことが多かったんですが、思えばKくんと出会い、互いにそれぞれ知性や価値観に一定の信頼を置いていることが分かってからは、ほかの「知性を感じる人」たちと仲良くなれることが多くなった気もします。

 Kくんみたいな人に気に入ってもらえていることが、自分の自信に繋がったのもあるかもしれません。

海鮮と地酒を楽しもう

 Kくんとは駅付近で17時前に合流し、さっそく飲みに行くことに。

 今回訪れたお店はコチラ。

tabelog.com

 ホタルイカの沖漬けや、お刺身をいただきました。昨日に引き続いてのホタルイカ

 私は2018年春にも富山旅行したことがあるんですが、やっぱり富山のお魚は新鮮で美味しい!

 Kくんとはこのときは何を話したかな。Kくんと最後に会ったのは2021年の春なので、それ以降の近況報告をしました。

 夏に小さな出版社に転職したこと、そして(仕事とは関係なく)アカデミックな友人たちと再会したり新たな出会いがあったこと、そしてそんな友人たちが出版した本の話や、みすず書房など学術書の出版社、献本制度についての話をしたり、Twitterでも有名な某社会運動系の教授の話をしたり……。

 

 1時間ほど飲んだところで、そろそろ次のお店に行こうか、というところで店を出ました。

 

 富山、町並みも美しい。ガラス美術館があるからか、ガラスモチーフのオブジェも飾ってあります。

コンテナ横丁にようこそ

 10分ほど歩き、富山の中心部にある総曲輪(そうがわ)エリアに来ました。

『どこにでもあるどこかになる前に。』の中に出てきたビリヤード店と思しきお店を見つけて「これって、あのお店じゃない!?」なんて盛り上がったり。

 

 そんなことを話しながら歩いていると、コンテナがずらりと並んだ場所を発見。

 ここは、コンテナ横丁「あまよっと横丁」だそうです。

amayot.jp

 ここのどこかで飲もう、ということになり、次のお店はコチラにしました。

tabelog.com

 もつ鍋を食べました。店内は狭めではあるものの、清潔感はあり、お肉も鍋も美味しく快適に楽しめました。少し肌寒い春の日の鍋も良いですね。

 

 ここを出たのは何時なのかあまり覚えていません。コンテナ横丁を離れ、アーケード街へ。

 もう1軒くらい行ってもいいかもね、という話をしながら歩いていると、雰囲気の良さそうなバーの立て看板を見つけました。

「ここ、行ってみようか」ということで店内へ。

夜中のバーは幻想的

 入ってみたのは、ここ。「日本酒Bar UZUMAKI」というお店です。

tabelog.com

 ビルの2階にあるお店。ほんのり薄暗い店内ではありましたが、オープンから日も浅いお店のようで、綺麗な店内でした。カップルのお客様も何組かいたような。

 まるで隠れ家にしたくなるような、どこか幻想的な雰囲気も感じるお店でした。

 

 1軒目と2軒目でたくさん飲んでいたので、ここでは軽めのお酒とデザートを注文。

 Kくんとシェアして食べました。

 このときはどんな話をしていたかな。仕事にしろプライベートにしろ、キャリアプランの話が中心だった気がします。いや、キャリアプランなんて大げさなものじゃなくて、今後どうしていきたいかとかそういう話。

 

 Kくんとはそれまでも「異性の友人とこうして二人で旅行できるのも、もしかしたらもうないのかもしれない」という話をしたことがあります。で、「できれば、Kくんとこうして旅行するのもこれが最後になったらいいな」ということをそのたびに私は思っていました。

 そもそも旅行とはいっても、どちらかというと「出張の同行」に近くて、別々の布団で寝て、指一本触れていない状態なわけで。でも、それでも私が他の人と交際や結婚している状態だったら、さすがに旅行するわけにもいかないでしょう。

 今回の、この金沢〜富山旅行は私の一人旅なわけですが、これから一緒に旅行はできなくなっても、こうして現地で顔を合わせて近況報告をする関係は悪くないな……なんてことを思いました。

 そして、私がよく遊んでいるあの人たちにもKくんのことを紹介したいな、ということも思ったり。

 文学や映画やアカデミアの話、あの人やあの人なら、私よりもっと話題が広げられるのかも。

 Kくんは富山から時々、都内に来ることもあるようなので、いつか良いタイミングがあればいいな。

 

 そんなことを考えたり、話したりしながら夜の富山の街路を歩き、途中の交差点でKくんと解散しました。

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グルメと音楽、そして思い出と(1日目:金沢)

 昔はさほど魅力を感じていなかったけれどやがて魅力がわかるようになったもの、いろいろあると思いますが、私の場合、それがもっとも顕著なのは「旅行」かもしれません。

 

 4月29日(金祝)〜5月1日(日)にかけて、金沢富山に行ってきました!

 あまり旅行する趣味を持たないので、「ゴールデンウィークに、新幹線を使った旅をする」のは、じつは初めて。

 結論からいうと、今までにないタイプの楽しさがありました。そして、北陸の地で再会した友人たちとは、いろんな交流ができました。

 

 まず、どうして北陸旅行をすることになったのかといいますと。

 旅行趣味のない私ももともと「折を見て、金沢や富山などの北陸方面には行きたい」とは思っていました。

 北陸は「石川県には一度も行ったことがないので、機会を見つけて行きたいと思っていた」ことと、「仲の良い友人が今年度から、富山勤務になった」ことが大きいです。

 なので4月末、ゴールデンウィーク、せっかくだし金沢や富山に行ってみても良いかもなぁ。でも、友達に会うためだけにわざわざ行くのもコスパ悪いし、行かなくてもいいかも……」と思っていたところ、仲の良い友人(住んでいるのは関西)が北陸方面に行くらしいことが判明。「じゃあ私もやっぱり行く!」と決めました。単純。

 彼はどういう理由で北陸に行くのかについては、どうにもよくわかりません。あまり詳しく訊いちゃいけないのかな、と思って私もそこには触れず「よかったら現地で合流しません?」とか、勇気を出して「泊まるホテル、同じところにしませんか? 部屋は一緒じゃなくても、朝ごはんとかご一緒できたら……」などと伝えてみたものの、どうにも歯切れの悪い返答ではぐらかされてしまいます。

「何なの、もう〜><」と思いつつも、5月1日(日)の夜なら時間が取れる、という返事をもらうことができました。

 さて、旅行することを決めたら次は、現地に住む友達で会えそうな人を確認しよう。富山勤務になったKくんのほか、コロナ禍を機に地元の金沢に戻ったEちゃんもいたな。あ、私が金沢に行く旨を投稿したら、金沢出身のMくんも反応してくれてる!

 ……あれよあれよという間に予定が決まっていきました。

 

 会える人たちの都合を考慮した結果、金沢→富山→金沢、と移動して2泊3日を過ごすことになりました。

 この旅行中はどうやらお天気は悪そう。なので、「あちこち観光をすること」は諦めました。あくまでも「友達たちに会うこと」を主目的とし、ついでに現地で楽しめそうなことを楽しむ……くらいのつもりでいました。

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はじめての金沢は雨

 前置きが長くなりましたが、旅行記本編に入ります。

 連休初日ということもあり、金沢駅は混雑していました。

 改札を出て高い天井を見上げ、「これが金沢駅か……」と感慨深くなります。

 もともと転勤族育ちで全国あちこちに住んでいたものの、私は金沢どころか北陸に住んだことがありません。福井や富山などは行ったことがあるものの、金沢は初めて。「まだ行ったことのない都会」に行くのは、のどかな地方都市に行くのとはまた違ったワクワク感がありますね。

 駅を出ます。信号機が目に入りますが、雪国仕様の縦型ではないんだな、という感想を持ちました。

 

 まずは荷物を置きたかったので、ホテルにチェックイン。

 この日に泊まったのは、この「金沢セントラルホテル」の東館。写真で見るより少し古さを感じるホテルではありました。

www.centralh.co.jp

 

 どこかでお昼を食べたいな、と思ったところ、ホテル近くに和食のお店を発見。ここに入ります。「醍庵(だいあん)」というところ。

www.daian.ne.jp

 この日食べたのは「日替わり御膳」だったかな。お刺身も焼き魚もお肉も少しずつ味わえ、これで1,000円!

 

「風と緑の楽都音楽祭2022」へ

 ランチのあとは、この日の一番の目的のため、「石川県立音楽堂」に向かいます。

 

 ゴールデンウィークの間、「風と緑の楽都音楽祭」なるものが行われているらしく、初日はオープニングコンサートがあるんだとか。

 このコンサートに、トロンボーン奏者の友人・Mくんが所属する楽団が出演するということで、聴きに行くことにしたのです。

www.oek.jp

 演目は、下記の通り。

 クラシック初心者にも親しみやすい演目、ということで選ばれた曲だそうです。どれもフル演奏ではなく部分的な演奏ではありましたが、耳馴染みのあるメロディの演奏だったため、クラシック初心者でも楽しめたのではないかと思います。

(個人的には、こういう初心者向けのオーケストラではアニソンや映画音楽などを演奏するところも多い中、そういったものがなかったのは良いな、と思いました。いや、アニソンや映画音楽が悪いわけではないんですが)

 私も昔、バイオリンで「歌の翼に」の合奏をしたので懐かしくなったり。

 個人的には、「結婚行進曲」ワーグナーメンデルスゾーンのもの、両方を同じ会で聴く機会ってあまりないので面白いな、と思いました。(ちなみに私はメンデルスゾーンのほうが好きです。結婚式で流すの、憧れます)

 

会場の音楽堂にはこんなパネルもあり、コンサート終了後、眺めていて楽しめました。

美味しいジェラートでひと休み

 この日の予定として決めていたことは、このオープニングコンサートと、夜にMくんと一緒に飲むこと。

 コンサートは16時に終わり、Mくんと飲むのは19時過ぎの予定。まだまだ時間はあります。

 

これは、おしゃれな石畳が気になって撮った街並み。

 

 外は雨だし、今から観光も厳しいし、カフェでも入って時間を潰そう……と思い、適当に検索して見つけたのがこのお店。

food-japon.com

 駅近くの商業ビルの地下一階にあります。一つ見落としていたのは、ここは「コーヒースタンド」なので、座っての飲食は店内ではできそうになかったこと。ただ、近くにベンチがあったので、ジェラートをテイクアウトして食べました。

 クリームの爽やかな甘さと、コーヒーの苦味が絶妙!

 

 ジェラートを食べたあとは、スマホで漫画読んだりして時間を潰してました。ゴールデンカムイの無料公開期間だったし。

 

 ……そして19時過ぎ、Mくんから連絡が。出発する準備をします。

思わぬきっかけからの友達、そして金沢グルメ

 Mくんと知り合ったのは2015年。共通の友人の繋がりです。

 もともと私が2013年に上京した際に知り合った平田さんから、彼の大学時代の友人だというマッツさんを2015年頃に紹介してもらい、そのマッツさんの友人であるMくんのコンサートに一緒に行き、Mくんのことも紹介してもらいSNSで繋がった……という経緯です。私も中学時代のオーケストラ部でトロンボーンを吹いていたので、そんな話をしたような覚えがあります。

 Mくんは、私の誕生日会にも来てくれたことがありました。トロンボーンで、一青窈ハナミズキ」の演奏をしてくれました。

www.wuzuki.com

 それからはコロナ禍となり実際に会うことはなかったものの、SNSで交流は続いていました。しかし、思えば二人だけで飲むのは初めてかもしれない。

 

 まず1軒目、行ったのはこちら。金沢出身のMくんから教えてもらいました。

「丸奄(まるえん)」というところ。

(昼間にランチを食べたお店は「醍庵(だいあん)」なのでちょっと紛らわしいw)

tabelog.com

 海鮮料理を中心とした居酒屋のようです。

 

 お魚も、ホタルイカも、野菜と一緒のホイル焼きも、全て美味しくて大満足◎

 日本酒も、地酒を色々と楽しみました。

 

 そのあとは、飲んだ〆としてラーメンを食べることに。

retty.me

 ネギは苦手なので、ネギだけMくんに食べてもらいました。

 21時過ぎだったというのに行列ができていたのにも納得。飲んだ後の〆にピッタリな、あっさりした味のラーメンです。

 

 飲んだり食べたりしている間、Mくんとは、仕事の話や音楽の話、金沢のおすすめのお店の話などをしました。仕事などに厳しい面も持ちつつ、ユーモアも混じえて話ができるMくんの一面を、さらに垣間見れた気がします。

 それにしても、東京でのシェアハウスイベントきっかけで知り合った人の繋がりが、さらに別の友人との出会いを呼び、またさらに別の友人との縁に繋がる……というのは、都会ではありがちなこととはいえ、改めて思い返してみると、なんだか不思議な気もします。

 

 このラーメン屋はホテルにも近かったため、助かりました。

 途中までMくんに送ってもらい、無事にホテルへ。

 食べ過ぎた自分に呆れつつも、せっかく旅行に来たんだから美味しいものを楽しめてよかった、という気持ちが上回りました。

 翌日の準備をし、大浴場に向かい、この日は眠りにつきました。

 

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この本がすごい!2022年上半期 フィクション編

 お待たせしました。2022年上半期読んで良かった本ランキング、この前は「ノンフィクション編」を書いたので、今回は漫画や小説などの「フィクション編」を紹介します。

 この時期に発売された作品というわけではなく、私がこの時期に読んで良かった本を紹介します。(漫画に関しては、期間内に最新刊・最終巻まで読めたもののみ紹介)

 

10位 未来を変えるレストラン

 児童書。作者の小林深雪さんの長年のファンなので読んでみました。
 この作者は作風としては甘めな恋愛小説が得意な人でしたが、最近の児童書では恋愛要素が薄かったり、ないものも多くてそれはそれで良い感じ。

 主人公のサラは、シェフを目指すお料理好きな小学生の女の子。外国ルーツという設定を紹介する際も「ハーフ」だけでなく「ミックス」という呼称もあることをサラリと書いているのも個人的には好きです。作者が昔から得意としている「お料理好きな少女の成長物語」の要素と、児童書ならではのまっすぐなメッセージが伝わってきて、安心感を持って読めます。

 個人的には、冒頭に、和歌山のアドベンチャーワールドと思われるテーマパークが出てきたのが嬉しかったです。「日本のフードロスの特徴としては、家庭からの廃棄率も高いということが挙げられる」という点も勉強になりました。

 

9位 サマータイムレンダ

 今年の春〜夏アニメにもなった漫画。和歌山の離島を舞台にしたSFチックな漫画です。ジャンプコミックスから出ていて全13巻。

 この漫画の作者は、和歌山出身の友人・ぷらとろさん id:platoronical の同級生ということを知ったのと、和歌山出身の別の友人と仲良くなって2月に和歌山旅行をすることが決まったのもあり、読んでみました。

 だんだん設定が複雑になりちょっとついていけない部分はあったものの、「影」と呼ばれる化け物の特徴を掴んで戦略的に攻撃していくところとか、地域の伝説が出てくるところなどは割と好み。カバー裏の細かい設定もかなり手が混んでいてすごいなぁ、と思います。あと、私は下水道関連の仕事をしているので、「影」は下水道を使って移動している……という設定やマンホールの描写がリアルなのも良かったです。(実際の和歌山の下水道普及率は低いようですが……笑)

 最終話は、あのキャラはそうなったか、なるほど……! という感じ。想像していたよりも素敵な展開でした。

 アニメでは、ヒロイン・潮の声が思ってたより甘い感じだな、と思ったものの、漫画では分からなかった方言の雰囲気などが掴めて楽しめました。

 

8位 瑠璃の宝石

 宝石が欲しい女子高生のルリが、大学院生の女性とのひょんな出会いから鉱物採集をすることになる物語。現在2巻まで出ていて、10月に3巻が出るようです。

 私は地理学専攻出身なので、地図から鉱石の出る場所を読み解くシーンはテンション上がります。……が、読んでいて気になったのはお色気描写。

 青年漫画だからお色気描写があるのは分かりますが、私はそこはノイズになってしまいました。
 内容がなまじ本格的なぶん、服装やポーズがいかにも漫画のサービスシーン的なのに違和感、というか。実際の女性は、こんなに下着や身体のラインが見えてしまう服でアウトドアには行かないよね……とか思ってしまったり。

 宝石は女性も好むものなので、そういう点では女性が読んでも面白さがありそうですが、不自然なお色気描写で女性読者を遠ざけそうなのがとにかく惜しかったです。2巻では特に気にならなかったので、そのまま続いていけばいいなと思います。
 キャラは、メインのヒロイン2人よりも、メガネの女性・伊万里さんが一番可愛いと思いました。鉱物採集にも行ってみたくなります。

 

7位 きらきらひかる

 ずっと気になっていたものの読めていなかった作品。今年、読書会の課題図書になったのもあり、ようやく読みました。

 昔は「アル中の妻と同性愛者の夫とその恋人の話なんて、私とは別世界のお話かも……」と感じて、どうにも食指が伸びないままでいましたが、いざ読み始めたらすんなり読めました。

 同じ著者の作品なら別の作品のほうが好みだとは思ったものの、この作品に流れる少女小説のような雰囲気は嫌いではないです。「ホモ」「エイズ」などの単語が出てくるところには時代を感じるものの(もともと1991年の作品)、世間の常識を息苦しく感じる登場人物たちの気持ちは、今にも通じるところがあるように思います。

 詳しい感想などは、noteにも書いたのでリンクを貼っておきます。

note.com

 

6位 波打ち際の蛍

 ずいぶん前に買って積読していました。高校〜大学時代にかけて島本理生作品はいくつか読んでいたので、こういう作品を好んでいた時の自分が少し懐かしいな、と感慨深くなりながら読みました。

 DVを受けて傷ついた主人公・麻由の、ひと夏の出会い……からの回復を描いた物語。どこか儚げな麻由の感情には共鳴するところも多くあります。私の周りの人間関係とも重なる部分もありました。卑近な言い方をするなら「メンヘラ」的な感受性を持つ人に寄り添うような作品かもしれません。

 麻由がマッサージをするシーンにも親近感を覚えたものの、私は麻由ほどの察しの良さはないので、その感覚は羨ましく思う部分も。やっぱり島本理生作品は心理描写が心地よくて丁寧で、ひとつひとつの描写が光ります。

 あと、本筋とは関係ないエピソードではありますが、健康診断のバリウムのくだりをそんなふうに描写するのか……なんてことも思ったシーンもありました。
 そして、この作品は麻由の周りの人たちも魅力的。蛍も素敵だけど、さとる君のキャラ、好きだな。カウンセラーの加藤先生の「信頼」について語るシーンも好きです。

 

5位 こちら副業推進部、事件です!

 この本の作者は、私の家族の友人。東大出身で、現在は一部上場企業のIT企業の取締役とのこと。そんな人が書いた「このミス」受賞作……ということで気になって読んでみました。今年いちばん最初に読んだ小説です。

 副業が推奨されることになった会社で、殺人事件が発生。副業推進部の部長となった早苗は、怪しげな副業を始めた社員と一緒に事件解決に立ち向かう……といったあらすじ。ストーリーの展開自体は割と淡々としていて、どちらかというと設定の面白さが優った感じ。

 あと、登場人物の名前に、やたらと実在の政治家を意識したものが出てくるのにも少しニヤリとしてしまいました。

 著者は大学などでベンチャー企業の立ち上げにも関わっているようなので、そういった知見をもとにした作品が出てくるのも期待したいところです。

 

4位 科警研のホームズ

 喜多喜久作品は好きでいくつも読んでいますが、割と一気に読めてしまったものと読むのに時間がかかったものの差が激しいです。これは読むのに時間がかかったほうですね。

 これは、警察の科学捜査の部署に異動となった若手たちがさまざまな謎を解いていく連作短編集。この巻には4編の作品が収録されています。

 特に面白かったのは、双子のどちらが犯人なのかを突き止めていく、第三話「惜別のロマンティシズム」。双子のどちらかが犯人なのは確実だけどDNAでは判断できない、さてどうするか……という展開には私もドキドキ。

 途中、著者の他のシリーズ「死香探偵」を連想させる「現場の空気を回収して分析」なんて台詞が出てきたのには思わずニヤリ。あと個人的には、登場人物の大学院時代のの研究テーマが「都市部における洪水の浸水エリアの予測」なんて内容だったのもツボでした。この作者の作品は、大学や研究所がよく出てくるところも私好みです。

 タイトル、「科捜研(かそうけん)」ではなく「科警研(かけいけん)」なのに注意。

 

3位 動機探偵 名村詩朗の洞察

「動機探偵」シリーズの2作目。この作者のシリーズは、前述した「科警研のホームズ」「化学探偵Mr.キュリー」「死香探偵」などがありどれも気に入っていますが、この「動機探偵」も好きなシリーズになりそうです。こちらも連作短編集。シリーズの2作目です。

(前作については、去年、紹介しています)

www.wuzuki.com

「人間の心理分析のために、日常の謎を集める」という設定もいい。思わぬことが手がかりになり次々と謎が解けていくのは痛快です。

 個人的には前巻よりも好きです。どの謎も思わぬことが手掛かりになっていて、現実にはそんなに上手くいかないからこそワクワク。私がよく行く場所の地名が出てきたので親近感を抱くシーンもありました。

 最後の話は、これ、実際に起こったあの件が元になってるよね……? と思える設定で、どういう展開になるか期待していたら、まさかの展開。

 研究と倫理と感情で揺れ動くところは、著者の別のシリーズ「死香探偵」とも似てるものを感じます。だんだん恋愛ネタが多くなってきたり、キャラも増えてきたものの、新キャラも誠実な態度の人で安心して読めそうです。

 

2位 豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ事件

 倉知淳作品も好きでよく読んでいます。こちらは、雰囲気の異なる6つの短編が収録されており、さまざまな読後感を楽しめる贅沢な一冊。

 冒頭の「変奏曲・ABCの殺人」は、この本を読む前に実際の通り魔事件に関する本を読んでいたので苦々しさを感じたものの、バカっぽさも痛快さも苦々しさもある奇妙な読み応え。

 AIとの社内コミュニケーションをめぐる「社内偏愛」は、SFの不条理劇として読みました。ストーリーとしてはもう一捻り欲しかったけど、設定は好みです。

 お菓子好きな専門学校生が殺された「薬味と甘味の殺人現場」は、(著者の別作品を読んだときも思ったけど)女性像がやや不自然なのが惜しい。

 田舎に帰省した女性が主人公の「夜を見る猫」は、オチもすぐに分かったけど安心感のある作品。

 ユニークなタイトルの表題作は、著者の別作品を読んだときの影響もあり、時代設定を深読みしてしまいました。文体まで当時に寄せてあるのも面白い(やや読みづらくはあったけど)。こういうところにこの著者の魅力を強く感じます。

 ラストの「猫丸先輩の出張」に出てきた研究所は、私が以前行ったつくばの研究所の一般公開での様子を連想し、勝手に少し懐かしくなったりしました。

 どの作品がすごく好み、というのはありませんでしたが(強いていうなら「夜を見る猫」かな?)、この作風のバラバラっぷりがやっぱり私は好きなんだな、と感じました。

 

1位 サーキット・スイッチャー

 いやぁ、まさかこの作品がこんなにドンピシャだとは思わなかった……。

 こちら、ハヤカワSFコンテストの優秀賞となった作品。現役ITエンジニアが描いた、自動運転が普及した近未来を舞台としたSFサスペンス。スタートアップ経営者の主人公・坂本が謎の男に自動運転車をジャックされるところから物語は始まります。

 SFは普段あまり読まないものの、この作品は読み始めたら面白くて一気読み。
(以前読んだ、数年前のハヤカワSFコンテストの受賞作は世界観についていけずあまり楽しめなかったので、この作品がこんなにも私に刺さったのは予想外でした)

 スタートアップの雰囲気も、プログラムのアルゴリズムのことも、トロッコ問題や倫理、宗教に関することも、さまざまな要素が綿密に練り込まれていてグイグイ惹き込まれました。

 奇しくもこの本の発売の前月に、私の大学時代の友人であるベンジャミン・クリッツアーが『21世紀の道徳』という本を出しているのですが(前回のブログでも紹介しています)、こちらでもロッコ問題について扱われており、両者には同じ本も参考文献に挙がっていて、どちらも東浩紀氏が帯で紹介文を書いている……という共通点があります。

 そういえば、前回の記事で私は「『JJとその時代』という本は”女性向け『21世紀の道徳』”といった感じ」と紹介しましたが、言うならばこの『サーキット・スイッチャー』は「小説版『21世紀の道徳』」といった感じの印象も受けました。
(『21世紀の道徳』と『サーキット・スイッチャー』の両方を読んだことあるという人が少ないので、なかなか分かってもらえないのが悔しい)

 

 ちなみにこの小説の作者である安野貴博さんは、私の友人の上司にあたるそうです。

 

 そもそも、この小説を知ったきっかけとなったのも、もとを辿れば別の交友関係がきっかけだったり。

 去年の秋、SF好きな翻訳者の友人・Aさんが手がけた記事が「SFマガジン」12月号に載ったということを知ったので購入。

 すると、Aさんとは全く別界隈の友人もこの「SFマガジン」を宣伝している投稿を見つけたので「あれっ?」と思ったところ、この友人と安野貴博さんは上司部下の関係とのこと。この号に安野さんの受賞コメントが載っていたから宣伝していたようでした。

 

 ちなみに翻訳者のAさんも、『21世紀の道徳』の著者のベンジャミンと友人。

 元々、ベンジャミンの出版が決まって再会したのをきっかけに私はAさんと知り合い、Aさんの翻訳した記事目当てで買ったSFマガジンで安野さんの小説を知り、ベンジャミンも安野さんも近いテーマの本を手がけていて、出版時期も近く、同じ人が帯文を手がけている……というの、とても不思議な縁を感じます。……って、私は何の話をしているんだろうか。

 

 今回このブログを書くにあたり、3位以下は結構迷いましたが、1位と2位はすぐに決まりました。連休中や秋の夜長に、ぜひ読んでみてくださいね。

 

この本がすごい!2022年上半期 ノンフィクション編

 読んでよかった本ランキング、上半期編は毎年7月に行っていたんですが、今回は遅くなってしまいました。楽しみにしていた皆さん、お待たせしました。
 今回は、学術書やエッセイなど広義の「ノンフィクション」編です。

 今期は、ボリュームある学術系の本を何冊か読んだこともあり、冊数はさほど多くありません。ですがその分、良い本を厳選して読めたような気がします。

 では、前置きはこのくらいにして、ランキングいってみましょう。
「2022年上半期(1〜6月)に読んで良かった本」であり「その時期に発売された本」ではないです〜。

11位 コラージュ入門

コラージュ入門

コラージュ入門

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 去年通った職業訓練校の「キャリア相談員養成講座」にて、コラージュをやって面白かったので、そのワークの持つ意味をきちんと知ってみたくなり、参考になりそうな本を買ってみました。

 著者のエッセイのような描写も多く、すんなり読めました。ハガキサイズの紙を使ったコラージュならではの特徴や、ペアや連作でのコラージュは新鮮で参考になりました。コメントをする際の注意点なども役に立ちそうです。

 かつてはセラピーで「ちぎり絵」が多かった……というくだりからは、山下清のことを連想しました。巻末に載っていた、著者と非行少女のエピソードも興味深く読めました。

 

10位 不動産は「物語力」で再生する

 著者の川井さんは、観光や不動産などの事業を手がける実業家。友人がお世話になっている方ということで気になり、こちらの著書を読んでみました。

 庭園やホテルなどの持つ「物語」をとても大切にされているということが節々から伝わってきます。また、日本の庭園の持つ特徴(あまり高低差を作らない、など)についても勉強になりました。

「世界観を理解する」というエモーショナルなエピソードもあれば、ビジネス的に「資産の特性とセールスポイントを理解し、その特性に合った販売戦略を考える」というエピソード、どちらも含まれており、贅沢な読書体験となりました。

 また、闘病のくだりや、失敗談にも胸を打たれた部分も多々ありました。

 ひとりの女性実業家のエッセイとしても、日本のお庭やホテルの魅力を知る本としても、ビジネス書としても読める、さまざまな読み方ができる一冊でした。

 

9位 FACTFULNESS

 数年前に話題になっていた本、友人主催の読書会の課題図書となったというのもあり、ようやく読みました。(読書会には読了が間に合わなかったため、参加できなかったのが少々悔やまれます)

「人は世界について、ついドラマチックな見方をしてしまう」という内容を、いろいろなクイズや統計データを用いて説明しています。

 例えば、スウェーデンではクマが人を殺すのは100年に一度あるかないかの出来事なのに対して、女性がパートナーに殺される事件は30日に一度起きている」(なのに、人はクマによる被害を過大に見積もってしまう)とか……。

 

「世界はだんだん、良くなっている」というメッセージも強く感じられ、不安を煽るメディアも多い中、頼もしいと思える部分も。(ただ、「良くなっているんだから」ということで現在の問題を軽視するのには注意だ必要ではありますが)

「私たちと、途上国で暮らす“あの人たち”は違う」と考えてしまいがちな態度への批判も痛快です。

 また、個人的に印象的だったのは、「教育を受けられる女性が増えることで、子供の数が減る」ということが「子供ひとりあたりの教育投資が増える」「良いこと」として書かれていた点が、少子化が問題視される日本では少し新鮮に思えました。

 あと、「減り続けている悪いこと」として「児童労働」「HIV感染」「戦争や紛争の犠牲者」「乳幼児の死亡率」「災害による死者数」「核兵器」「大気汚染」「飛行機事故の死者数」などがある中「死刑」も項目として挙がっていたことが、先進国の中でも死刑制度を残している数少ない国・日本に住んでいる日本人として、ドキッとしました。

 

8位 ルポ 死刑

 ご存知の方も多いとは思いますが、私、事件や事故に関する本を読むことは好きなんです。

 この本は新書だから軽い気持ちで読めるかと思いきや、思ったより重厚な内容でした。もはや、死刑制度について日本では批判が少ないことのほうに違和感を覚えてくるような一冊です。

 絶命方法や、携わる人たちの苦悩も描かれており、関わっていない立場から「死刑にしろ!」と安易に言うのはとても無責任だな、と思ったり。袴田さんのくだりはショッキングだったし、名古屋アベック事件の加害者たちもそんなことになっていたとは……。

 巻末のインタビューからも、各国の様々な価値観が感じられて読み応えがあります。

 死刑について考える際には考えざるを得ない「残酷さ」とは何かについても、改めて向き合わされました。

 個人的には、死刑制度には積極的には賛成しないものの、強く反対するほどの立場ではないつもりでしたが、外国人が日本で犯罪を起こした際「日本は死刑制度があるから」ということで引き渡しがなされないことがある……というエピソードを知ったときは、「国際的にもそんなリスクがあるのなら、やっぱり死刑は良くないな」というほうに気持ちは強く揺れました。

 

7位 増補版 ドキュメント死刑囚

 前述した『ルポ 死刑』が衝撃的だったので、死刑繋がりということでこちらの本も読んでみることにしました。

 この本は死刑制度を問い直すようなものではなく、著者が交流した様々な死刑囚の内面や背景を掘り下げていくタイプのものでした。

 宮﨑勤の幼少期の写真や小林薫の子どもの頃の作文も載っていました。いずれもとてもかわいらしく、この少年がなんでこんなことに……?と悲しくなりました。
 また、林眞須美の家の落書きの写真も載っており、今年、和歌山市内に行ったばかりでもあったのでショックでした。

 宅間守の「シャバより獄中のほうが金がいる。獄中だとシャバと違って、盗むことも食い逃げすることもできない」という言葉には呆れてしまいます。また、獄中結婚の事情もなかなか興味深かったです。

 

6位 ヤバい経済学〔増補改訂版〕

 この本は、2017年頃に電子版で購入し、ほぼ積読状態でした。

アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』の読書会のとき、「売春への言及がないのが気になる」ということを話したら「それなら『ヤバい経済学』に書いてある」という意見が出たので読んでみました。

 かなりボリュームのある本でしたが、扱われているテーマが卑近だったり下世話な好奇心をくすぐられるような内容だったりして、概ね面白かったです。

 個人的には、「中絶と殺人の増減の関係」についてが興味深く、最近のアメリカでの議論とも重なるところがあるなぁ、と思ったり。また、エイズに関する調査での、セックスに関しての申告のくだりもなるほどと思う部分もありました。

 そして、経済学はずいぶん幅広いテーマを扱えるんだな、という点も新鮮でした。

 

5位 自由の国と感染症

 翻訳者のうちの一人が友人です。去年から仲良くさせてもらっており、こちらの本も発売日前に購入させてもらいました。

 著者のトレスケン氏はアメリカの経済学者で、2018年に亡くなっています。そう、この本の原著は新型コロナウイルスの流行前に書かれたもの。

 天然痘、黄熱病などの感染症の広がりからアメリカ政治を読み解く本ですが、ワクチンを「接種しない自由」や、貿易の発展と感染症の抑制のバランスについての話など、病気そのものではなく、政治制度やイデオロギー、経済政策の面から見た「アメリカの感染症のエピソードを扱っています。

 ワクチン接種の法整備や「個人の自由」の尊重をどのように折り合いをつけるかという点も興味深かったものの、私は下水道に関する出版業に関わっているということもあり、上水道の整備など、公衆衛生についての歴史部分について特に関心を持って読むことができました。

 例えば、蚊は汚水に卵を産むわけではないので上水道の整備事情はあまり関係なかった、というところは盲点でした。なるほど。

4位 アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?

 この半年間、(友人たちの著書を除き)私まわりでもっとも話題になった本を挙げるとすれば、『聖なるズー (集英社文庫)』『当事者は嘘をつく』そしてこの「夕食本」の3冊と言えるでしょう。そのくらい多方面で話題になっていた本でした。

 経済学の定番の話を、フェミニズムジェンダーの側面から読み解いたこちらの本。

 私のまわりでこの本を読んだ人たちの属性も様々でしたが、観測範囲だと、実際に夫婦の家事分担で揉めたことのあるような既婚者や育児中の人たちからは評判が良く、経済学クラスタの独身男性からは否定的な評価が多かった印象です。

 前半はジェンダーの話題、後半はホモ・エコノミクス批判についてがメイン。

「妻が稼ぐ機会が少ないことで家庭内に権力関係ができてしまうのは問題なので、妻も外で稼げるようになるべき」という問題意識は一理あると思う一方で、「外で稼ぐ金額の多寡で権力関係が生じることをまずどうにかすべきでは?」と思う部分もありました。

 また「成人男性が標準で、女性や子どもは有徴化されていること」の疎外感は幼少期から長年感じてきたので、そのような点にもとても共感できました。

 個人的には、夫婦と経済の話をするなら家事分担だけでなく、どうせなら売春にも踏み込んで欲しかったな、と思いました。

 

3位 JJとその時代

 雑誌文化は意外と好きな私。この本を書店で見かけて気になっていた矢先、文筆家の佐々木ののかさんがこの本を紹介していたので興味を持ち、読んでみました。
「昨今のポリコレやフェミニズムに息苦しさを感じる人にもおすすめ」とされていましたが、まさにそんな紹介文が合う一冊。雑誌やファッションアイコンをめぐる話だけでなく、建前上の正しさへの目配りと、本音レベルの欲望の充足の難しさ、「こうすべき」と「こうしたい」の悩ましさを丁寧に取り上げている本、という印象です。私の中では『21世紀の道徳』の女性向け版、というイメージもあります。

 著者の鈴木涼美さんは1983年生まれということで、私とはギリギリ同世代と言えるかもしれません。
 1989年生まれの私は2007年に大学に入学しており、エビちゃんブームの真っ只中。

 似たテーマの本としては、私は2008年に、講談社新書『モテたい理由 男の受難・女の業 (講談社現代新書)』も読んでいましたが、ここでもJJが示す価値観が丁寧に書かれており、面白く読めました。(ただ、JJが示す価値観は2008年当時からすでに薄れていた印象です。赤文字雑誌4誌の中で一番売り上げが低いのがJJのようでしたし)

 個人的に印象的だったのは、ギャル文化と、ヤンキー・不良文化との親和性の高さについて。私は、両者は割と親和性の高いものと考えがちでしたが、「東京では高校生のクラブへの出入りは必ずしも非行とは見なされなかったり、茶髪も校則違反にはならない学校も珍しくないけれど、地方ではそうではない」という点で、ギャルファッションと不良文化は相容れないと考える人も多かった……というところは新鮮でした。

 あと、このテーマを扱うなら、どうせなら「スイーツ(笑)」というネットスラングも扱ってほしかったかも、なんてことも思いました。

 

2位 どこにでもあるどこかになる前に

 この本の第2版の帯を、文筆家の佐々木ののかさんが書いていると知ったので興味を持ち、第2版を探して購入。

 帯だけでなく、この本は装丁もとっても素敵です。カバーをめくると富山の写真が出てきたり、本文中に登場する場所を記した地図が載っています。

 この本は、映画監督を目指して都会に出てきたものの、夢破れて不本意ながら地元の富山に戻ることになった……というライターの女性のエッセイ。

 ちょうどゴールデンウィークに富山に行くことになったので、そのタイミングで読みはじめました。

「私は富山に住んだことはないし、そもそも転勤族だったからひとつの地元への愛着ってあまりないしなぁ、共感はできないかも……」なんて思いながら読み始めたら、そんなことは全然ない!! 

 あえてやや卑近な言い方をするなら、「自分探し系、サブカルこじらせ女子」としてとても共感でき、著者の藤井さんにすごく親近感が湧きました。好きなものに熱中する姿も、表現者でいたい気持ちも、なんだか他人とは思えないというか……。

 帯に「これは自分の物語だ!」とありますが、まさに読んでいる最中、「これは、私のために書かれたのかもしれない……」と感じてしまうようなエッセイでした。寝る前に1日1章ずつのペースで読んでいきましたが、そのくらいのペースで読むにもちょうどよかったです。

 最後のほうは富山に向かう電車の中で読み、ちょうど富山駅に着いたタイミングで読了。(富山には1日しかおれず、トロッコなどに乗る余裕がなかったのが悔やまれます

 そして富山でのエピソードも、人間関係のエピソードが多かったので、地域に関しては知らなくても問題なく楽しめました。富山の閉鎖性に関するエピソードもちょくちょく出てくるものの、富山には銭湯が多いというのはいいな。

 そして、著者の藤井さんに恐れ多くも親近感を抱いてしまったものの、藤井さんは私と違い、ライターとして活躍し、この本も重版になるくらい売れているわけで。そういう意味でも、背筋がどこか伸びる部分もあるエッセイでした。

「ここではないどこか」を求める気持ちのある人に特におすすめです。

 

1位 21世紀の道徳

 なんというか、もう、この本を語らずしてこの1年間を語ることはできない……というくらい、私の中では、その発売前からずっとずっと存在が大きかった一冊。
 今の私の主要な交友関係には、この本の発売が決まらなかったら出会っていなかったような人たちも何人もいます。
 そういう意味では、内容とは直接関係のないところでも私の人生に大きく影響を与えた本……なんて言ったら大袈裟かな。

 ことあるごとに書いているのでご存知の方も多いとは思いますが、この本の著者のベンジャミン・クリッツァー氏は、私の大学時代の同級生。
 文芸サークル「立命PENクラブ」で一緒でした。

 彼の書く小説のレベルの高さはサークル内でも評判で「このサークルの中で、プロになるとしたらベンジャミンだろう」と言っていた先輩もいたくらい。
 私も彼の書いた小説を読んだ際、「これを書いたのが私と同じ(当時)19歳……!? いったい、何を食べてどんな生活をしたらこんな作品が書けるの……!?」と思ってしまったくらい。かなり衝撃を受けた存在でした。

 大学卒業後は、小説執筆よりも学術的なことに関心の比重が強くなったようで、動物愛護や倫理や正義、学問のあり方、ジェンダーなどをテーマにブログで発信を続けていたところ、さまざまな媒体へのお声掛けがあり、やがてこの本の出版に至ったようです。

 この本は、晶文社での連載が元になっているようです。サブタイトルにある通り、「学問」功利主義ジェンダー「幸福」を論じた本となっています。

 この本を「強者の道徳」の本と評した人もいるようですが、私はむしろ「普通の人の道徳」というほうがしっくりくるなぁ、と感じました(「普通」を享受できることをある種の「強者」と感じる人がいるのも承知してはいますが)。

 いわゆる政治的に正しい、先進的な考え方」に疲れた人向けというか、「現実的な生々しさ」にもっと焦点を当てて、一般的な人間心理を考慮した上で問題を考えたい人向けというか。

「トロッコ問題」などの倫理の話も、その問題の複雑さを改めて考えさせられるものの、思考実験としての「おもしろさ」も感じられる部分も。

 この本は、「この議論が、学問的にどのように扱われてきたのか」という問題の整理が中心となっており、著者の主張はあまり強すぎないところは私にとっては良かった点でもありました。

 

 以上になります。今回は学術的な要素が多かったり、思い入れの強い本も多く、まとめるのに少し時間がかかってしまいました。

 読みやすいものも、読み応えたっぷりのものも、ジャンルも結構バラバラなので、一冊くらいは気になる本が見つかった方もいるのではないでしょうか。

 ぜひ、読んでみてくださいね。