これからも君と話をしよう

一度はここから離れたけれど、やっぱりいろんな話がしたい。

【前編】親不知を抜いたら意外なことに悩まされた

 歯は白骨化しても原型を留めていることから、身元確認の際には重要な部分になるとのこと。先月発覚した千葉県大網白里市での死体遺棄事件も、歯の治療痕やインプラントから身元特定を試みた結果、被害者の身元が判明したようですね。

「日本人ってあまり歯を大事にしていないよね」「他の先進国では、歯のメンテナンスはもっと当たり前に行われているのに」なんて意見もたびたび見かけます。歯並びが、家庭の経済力や育ちのよさと結び付けられる論を目にすることも……。

 

 それらの妥当性はさておくとして。10月11(木)、親知らずを抜いてきました!

「抜かなきゃなぁ」とは思いつつも、すぐに抜かなければいけないほどのトラブルもないので後回しにしていましたが、意を決して抜くことに。

 主な理由は、以下の通り。

  1. 奥歯と親不知のあいだにものが詰まりやすいのが前々から気になっていた
  2. 風邪など体調不良時に親不知が痛むのが気になっていた
  3. 結婚式や妊娠、試験、海外旅行等の予定がないうちにしたほうが良いと思った
  4. 3の理由で夏から脱毛サロンにも通いはじめていたので、これを機に、今年は身体のメンテナンスに力を入れようと決めた

 10月11日に左下の親不知を抜きましたが、今週は右下の親不知も抜く予定です。

 抜く前に感じていたこと、抜いてから感じたこと等まとめようと思います。

親不知を抜いた友人は意外と多い

 抜歯を決めたあと、「親不知、抜いたことある?」と周りの人に尋ねてみたところ、割とたくさんの人が抜歯経験があるようでした。

 体感としては、私が尋ねたうちの7割くらいの人は抜いている模様。

「右下と左下の2本だけを抜いた」という人がもっとも多かったです。上下左右全ての親不知を抜いたひともいました。

「痛くなかったよ」という人が多い、けど

 親不知を抜いた大半の人は「抜くのは麻酔がかかってるから、痛くはなかったよ」「麻酔が切れてからのほうが痛かった」と言っていました。

 ただ、意外と聞かなかったのが「抜いてよかったよ」という意見。

 これはなにも、「抜歯を後悔している」という意味ではありません(そういうことを言う友人はいませんでした)。

「抜いたメリットがわかりづらい」ということが大きいのかなと思います。親不知の抜歯って、どこかを「良くする」ためというよりは「悪くならないためにする」意味合いが大きいですし。

「抜いたらスッキリしたよ」と言っていたひとが一人だけいたのが印象的でした。

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抜歯の前に……

 佐賀県で歯科医をしている親戚にも、LINEで相談しました。口の中にスマホを突っ込んで口内の写真を撮ったり、頑張りました。THETAなど360度カメラがあれば簡単だったかもなぁ……。

 紹介状を書いてもらい、都内の某歯科病院の口腔外科にて、抜歯してもらうことになりました。

 

 紹介状が届いてから、病院を予約。まずは、歯がどうなっているのかを一度診てもらうことに。

 私の口には、奥のほうに、永久歯に生え変わらなかった乳歯のままの歯があります。

 学生時代に歯医者にかかったとき、

「この歯は弱りやすいので早めに抜いて、親不知を奥歯として活用するのが良いのでは」

と歯科医から言われたこともあったので、それなら抜歯の必要もないかも……と思っていました。抜くの怖いですし。

 でも、別の歯科医に相談すると、それは難しいという意見も多かったです。今回、見てもらった口腔外科の先生も「難しい」という意見でした。

 

「痛みやリスクの少ない抜歯方法が、近いうちに実現する予定ってありませんかね……?」

と尋ねたりもしましたが、抜歯に関してはあまり大きなイノベーションが起こる予定はない模様。もう、素直に抜歯することに決めました。

 

 抜歯日は、10月11日(木)に決定。

 抜いたあと、どのくらい痛みが続くかわからないので丸一日有休を取りました。

 いよいよ抜歯!

 そして、10月11日の13時頃、抜いてきました……!

 

 口をゆすいだあと、診察用の椅子の上で仰向けになり、口を開けます。

 塩水で歯を洗われたり、麻酔の注射が済んだかと思ったら、あっという間に抜歯が始まりました。

(麻酔の注射もちょっと怖かったけど、一瞬チクッとしただけで全然耐えられる痛みだった)

「口をずっと開いていることに疲れてきたらどうしよう」とか「麻酔が効かなかったらどうしよう」と怯えていましたが、それらに関しては特に問題はなかったです。

「抜くとき痛みは感じないけど、削られるからゴリゴリする感覚があるよ」といろんな人が言っていましたけれど、それは確かにその通りでした。下あごのあたりをゴリゴリ揺さぶられる感じ。痛みはありません。

 その状態の擬態語としては「ゴリゴリ」という音がピッタリではあるものの、じっさいに聞こえてきた音は、

「パリン、パリン」「ポキッ」という感じ。

 細い、繊細なものを壊すような音がしました。削ったり抜いたりしたときの音だと思われます。歯を割る音って意外と繊細なんだな……。

 

「終わりました」

 1時間程度で抜歯は終了。左頬は、麻酔のせいでまだ感覚がありません。

「止血のために、綿をしばらく噛んでください」と指示があったので、左の奥歯で綿を噛みしめます。

 

 抜いた親不知も見せてもらいました。3つほどのパーツに分解されていました。抜く際に割ったのだと思います。

 少しだけ赤く血がついていました。歯根のとがった部分を見たり触ったりできたことに、少し感動しました。これまで見ることも、手や舌で触れることもできなかった部分なので。

(写真を載せようか迷いましたが、ちょっとグロテスクなので割愛)

 

 ふと気づきました。そもそも、「自分の歯」って、抜いたもの以外は直接見ることはできないんですよね。あとはぜんぶ鏡越しになる。まぁ、歯に限ったことではなく、顔にあるパーツはほとんど「直接見ることができない」ものだとは思いますが……。

お昼ごはんを食べよう

 会計を済ませます。抜歯にかかった費用は3,900円でした。そして綿を噛み続けたまま病院を出ます。20分ほど噛み続けていればいいとのこと。

 調剤薬局で薬を受け取ります。痛み止めなど数種類。

 病院の最寄駅のお手洗いにたどり着いたときに、ちょうど20分くらい経っていたので綿を捨てました。

 

 とりあえずお昼時だし、なにか食べよう。せっかくこのあたりまで来たのなら普段あまり行かないところにしよう。

 ということで、病院から家に帰る途中の駅近くにある、フルーツパーラーへ行ってきました。ここに来るのは1年2か月ぶり。楽しみだな〜。

 

 ……ところが、店に入った途端、自分がすごく場違いに感じられました。

 今回私は、歯を抜いたあとはゆっくり過ごせるようにと思って、ゆるめな感じのシャツワンピースを着ていました。

 メイクも最小限でかなり薄め。

 抜歯の際にずっと仰向けになっていたので、髪もボサボサ。

 口は思うように動かないし、なんだか私すごく「病人」っぽい……。

 

 平日の昼間のフルーツパーラー。お金持ちのマダムっぽいひとが多い中、私のゆったりしたシャツワンピは、なんだか、まるで部屋着かパジャマのように思えて仕方ありませんでした。

 しばらく待たされ、奥のほうの席に案内されます。私はフルーツサンドを注文。

 さっそく食べよう、と思い、口を開けて噛もうとしたものの……うまく食べられない!!

 麻酔が残っている影響で、左半分がうまく動かせません。何度も何度も、間違って唇や口の中を噛んでしまいました。噛んでしまっても、麻酔のせいで痛みはありません。

 でも、そのぶんけっこう深く噛んでしまっているので、痛くはなくても、傷になっているのははっきりとわかります。

 そして、口がうまく閉まらないため、何もしてなくても「ブッ」って音が口から出てしまう……。恥ずかしかったです。

 

 口を動かすこともままならないということが、こんなにも不自由でみじめだなんて……。

 私の家族には現在、半身麻痺していて車椅子生活をしている者がいます。その気持ちがほんの少しだけ、わかったような気がしました。

 

 なんとか頑張ってフルーツサンドを食べたあと、気を取りなおしてお手洗いへ。少しでも身なりを整えようと思いました。

 ボサボサだった髪を梳かし、キュッとひとつに結びます。

 バッグに入れていたストールを取り出して首にくるくる巻くと、部屋着のようなシャツワンピも、こなれて一気におしゃれに。

 口紅も引くことにします。キャップをあけて紅を繰り出し、唇にあてて、右から左にゆっくり引くと、

 ……ん?

 ……あれっ?

 

 右から左に口紅を引く途中、唇の感覚がスッとなくなりました。

 唇に色はつくのですが……。

 そう、まだ麻酔が残っているので、左側の口の感覚が鈍っているんです。

 麻酔がかかっているのをはっきり自覚したのはこのときでした。どこまで麻酔がかかっているのかの境目がはっきりとわかりました。

 

 髪を結い、ストールを巻いて口紅を引いた私は、さっきの病人っぽさも抜けて、おしゃれな街でも違和感のない雰囲気になりました。

 メイクも薄めなぶん、色をつけた唇が際立って、これはこれで意外と悪くない感じ。 

 帰り際、店員さんからの「またのご来店をお待ちしています」の言葉も、(社交辞令だとしても)とても嬉しく響きました。

 

 からだにちょっと制限が出てしまうだけで、こんなにも惨めな気持ちになったりすること。

 逆に、着飾ることで自信を回復させることもできること。

 そんなことを知った親不知抜歯でした。

 ところが、予想外のことが起こったのは、抜歯の翌日以降の話……。

(後編へ続く)

 

 おまけ

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